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餃子の「有り無し」から韓国人の意識を探る
「餃子はサービスです」
中華料理店の出前持ちはそういった。
そう、中華料理店の餃子は、註文して食べる料理というより、こうしてサービス品として提供されることが多いのではないか。
韓国で中華料理というと、お店に行って食べることもあるが、むしろ出前を頼むことが多いような。どちらにしろ、韓国料理以外で身近な料理にちがいない。
ここで、韓国の中華料理店のメニューについて説明を加えておく。日本の中華料理店と明らかに異なる点があるからなのだ。
メニューは、大きく分けると「料理の部」と「食事の部」に分かれる。どう違うのか。
「料理の部」は、一言で言うと量が多く、多人数で分け合って食べることを想定した料理である。タンスユクと呼ばれる酢豚、パルポチェと呼ばれる八宝菜、ナンジャワンズーと呼ばれる肉団子の甘酢炒めといった料理が代表的であろうか。
一方の「食事の部」は、ひとりで食べることを想定した料理である。以前、取り上げたチャヂャン麵やチャンポンといった麺類。またポックムパップゥと呼ばれるチャーハンやチャプチェパップゥと呼ばれる中華丼のようなご飯ものがある。
たとえば、タンスユクひとつに、チャヂャン麺みっつ、ポックムパップゥひとつと、出前を頼んだとする。そんな場合、たいてい餃子がサービス品として、頼んでいないのに、付いてくることがほとんどである。
こういったやりとりは、お客さんとお店の暗黙の了解のようなところがあるように感じられる。
暗黙の了解だから、たまに相互で、認識のズレがおこる。
当然、ある一定量の註文をしたので、お客さんは餃子がサービスされるだろうと確信している。だが、餃子が「ない」と、出前を持ってきた配達員に文句をいったりしている光景を何度か見たことがある。
韓国人は、どうも「加える、プラスする」ということに、価値を認めている、大事に考えている、ように見受けられる。
同じような場合は、ほかにもある。日本のイ〇ンのような大手量販店で、お菓子などの特売時に、ワン+ワンやツー+ワンといったやり方で、販売をしている。ワン+ワンなら、ひとつ買うとひとつを無料でくれるのだ。
またピザのチェーン店などでも、Ⅿサイズのピザを1枚頼むと、缶コーラを2缶サービス。Lサイズだと、1.5リットルペットを1本サービスというようなことをやっているお店も珍しくない。
この場合、サービス品は暗黙の了解でなく、はっきりと明示されているので、餃子の例とは異なるが、「加える、プラスする」という考え方は同じである。
中華料理店の餃子の「有る無し」から、韓国人が暗黙の了解としている「追加する、プラスする」の意識を、垣間見たような気がした。