私が日本語講師に向いていない理由。
一年半の日本語講師生活の中で
私って日本語講師に向いていないんじゃないかと思うこともあった。
そんなこと?と思われるかもしれないけれど、
私は・・
アニメを見ない。
マンガを読まない。
日本のドラマを見ない。
J-popを聞かない。
ラーメン、焼き鳥、とんかつ、牛丼、、
前にいつ食べたか覚えていない。
居酒屋にも何年も行っていない。
唐揚げも枝豆もそんなに好きじゃない。
ウーロンハイとかいろんな味の酎ハイも飲まない。
「外国の方が好きな日本のもの」に
私はそんなに愛着がなく、精通もしていない。
生徒さんに「なんで日本語を勉強しているの / したいの?」と聞くと、ほぼ「アニメが好き!」と返ってくるし、「その他には?」と聞けば大体「ラーメン!」「とんかつ!」とか料理の名前が返ってくる。
アニメの名前を言われても普通に知らないことが多かったし、
「ラーメンが好き!!」ってハイテンションで言われても、同じ熱量でラーメンの話はできなくてちょっと困ることもあった。
テキストで朝ご飯のトピックを扱う時も少し困った。
我が家は純日本人の家庭だけど、祖父母の代からパンと卵やハムやベーコンにヨーグルトとコーヒーか紅茶みたいな朝食だった。
でも日本に憧れる海外の方は、日本人ならご飯と納豆と焼き鮭とお味噌汁と、、みたいな朝ご飯だと期待していたりする。
実際、私が本当に食べている朝ご飯のメニューを言ったら生徒さんに悲しそうな顔をされたこともあった。
日本語の先生を仕事にするなら、アニメやJ-popにも興味を持ったり、流行りのラーメンのトレンドを調べたりして、生徒さんが興味のあることにもっと関心を持った方がいいかなとか、食事の話はなるべく日本的なメニューを食べたことにしておいた方がいいかなと思ったこともあった。
でもできなかった。
私はしたいことしかできない '0か100人間' だし、
興味がないものに興味を持つことも、好きじゃないものを好きになることも、自分ではない自分になることもできない。
結局は「そんなことしなくていい」「私のままでいい」
という結論になった。
それで問題もなかったし
それが理由で私から離れた生徒さんもいないはず。
それに
海外の人も想像しやすい日本らしいもので
私も好きなものもたくさんある。
神社、お寺、着物、京都(京都在住)、
書道、茶道にお花も少し経験があり、
お寿司や和菓子も頻繁には食べないけど好きだし、家で出てくるような家庭料理やおばんざいみたいなものはとても好き。
レッスンの中で着物が好きな人に着物の種類をお教えしたり、盆略点前でお茶のお点前を簡単にお見せしたこともあったし、
季節に合わせて四季折々の京都の風景やお花の写真をお見せすると喜ばれたりもした。
今流行りのジャパニーズポップカルチャーや日本食ブームで話題になっている食べ物だけが日本ではないし、アニメを見ない日本人もラーメンを食べない日本人も私だけではなく一定数以上存在しているはずで、
それを含めて日本であり、日本人だと思う。
私は日本で生まれ育って日本で30年以上生きてきた、
どう考えても日本人なんだから、
私は私のまま、日本人の一例として堂々と生徒さんの前にいたらいい。
そう思って楽になった。
日本語講師のいちばん大切なことは、
日本語を教えることだから、
日本語をきちんと教えてあげられたらそれでいい。
日本とか日本人とか日本文化を変に背負いすぎなくていい。
一人の小さな背中で全部は背負えないからね。
「日本語講師」は、ひとりひとりが世界に一人しかいない唯一無二のオリジナリティーあふれる先生になることができる、本当に素敵な仕事。
これからもいろんな色の素敵な日本語の先生が
この世界にたくさん増えていってほしいと思う。