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素人土木ICT#11【現況横断測量で楽をする】

随分と寒くなってきた。朝晩の路面凍結には十二分に気を付けたいところである。また、忘年会シーズンという事で、それにかこつけ、行かなくてもいい宴会にわざわざ行く人も居るのではないだろうか。
私の事だが。

さて今回は「水準測量による現況横断測量(以下「横断測量」と呼称)」及び「TSによるワンオペ横断測量」並びに「UAVによる空中写真測量」をゴチャゴチャと比べてみようと思う。

土木施工は測量に始まり測量に終わる。
準備第一段階たる起工測量においては、多角測量等を実施して各水準点や工事基準点等の真値を明らかにする。
これらを終えたならば引き続き土量算出の根拠となる各測点に直交する横断方向に対し「横断測量」を実施する。

今回はこの「横断測量」が焦点である。
因みにうちの場合だと、そこそこ大きな現場の場合、トラバース測量(基準点等の確認)に関してはほぼ外注している。
成果物その他を鑑みると自社でやる方が割高であるからだ。餅は餅屋なのである。

さて残された横断測量は自社でやらなければならない。現地踏査も込み込みなので監督と助手で実施する。

水準測量による横断測量

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水準測量とはレベルでメモリを読む人間と、スタッフ(標尺)を持つ人間の2名一組で視準距離と高低差を延々と計っていく測量方法である。

上図は概略図(拾い物)であるが、縦断測量の図であった。探しなおすのも面倒なのでこのまま。

先述したように、線形上の各管理測点に直交する横断方向に対して実施をする。例えば施工延長300m、測点間隔25mであれば概ね13箇所測らなければならない。(道路土工)
地盤の変化点を拾っていかなければならないうえ、必ずしも25mピッチで済むとは限らない為、なかなかに骨の折れる作業である。

現況の高低差が激しくこまごまと測らなければならない場合、300m程度でも計測だけで2日程度かかるのでは無いだろうか。機械の据え直し、角度の振り直しで思いのほか重労働かつ危険である。

計測が終わった後は図面に現況横断線を起こさないとならない為、野帳に記載した数値をPCに入力し計算、CADに入力していくという退屈な作業が待っている。
概ね2日程度かかるかと思う。ここまでで4日である。

2人×2日+1人×2日で凡そ13万程度、給与・労務費で吹き飛ぶ計算になる。

TSによるワンオペ横断測量

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次に自動追随機能があるTSである。こちらは2級TSであれば半径150mまで計測可能(出来形検測精度)である。
300m程度の施工延長だと、上手いこと据えれば機械の据え直しも必要ない。(もっともそんな現場はなかなか無いが)

据えてしまえばこちらのもので、あとは一人でポチポチ記録ボタンを押していくだけで横断SIMAデータが出力できる。
なお線形データは最低限度必要になるのには留意したい。
ここまでで1人×1.5日程度である。(※地形による)

事務所に帰ったならば横断SIMAを基に横断図を描いてもよし、横断SIMAをTIN化して2Dに落としても良しと選択肢は多彩である。
なお事務所内の作業はUAV使用時と大差無い。
ここで1日~0.5日程度であろう。

1人×2.5日で、概ね給与(監督)ベースで7万円程度である。+システム使用代を取ってもいいだろう。助手に丸投げだっていい。これが3Dデータの威力である。

UAVによる空中写真測量

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これは再三書いてきたので過去の記事を見て頂ければと思う。

空中写真測量に手を出しているという事は、なんらかICT施工化が進んでいる証左であり、「わざわざ2D横断面図を描く必要はないのでは?」と思われる方もいると思う。

全くその通りなのであるが、悲しいかな二重管理(2D横断面図提出の口頭指示含む)があるのも事実なのである。
さらに、ICT施工適用範囲協議如何によってはTS出来形や従来手法が単一断面において混在する可能性もあるため、2D図面起こしは死に技術ではなく、寧ろ必須とも言えよう。

ブースカ文句を言っていても始まらないので、そこらのICT施工でも何でもない現場においてもうちはUAVを活用して起工測量を実施している。

圧倒的に早く楽だから。楽だから。

施工延長300m程度であれば0.5日程度で計測は終了する。

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その日の昼飯を悠々と食し、1時間程度で点群化、間引きを実施してLandXMLとして出力する。

プレゼンテーション1

LandXMLをちょめちょめして横断SIMA化し、2D横断図に読み込みカチカチカチ~

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上図のような綺麗かつ正確な現況横断面図が完成する。誰でもできるのが魅力的である。当然、打ち合わせ等で「空中写真測量で現況横断面図書きまっせ」と事前に発注者の了解を得なければならないが。

必要に応じ精度確認の帳票は提出しなければならないが、それも数十分で終わる作業である。

凡そ1日で横断図が完成してしまう計算である。UAV自体は2名体制で飛ばすため、給与・労務費に関して3万円程度になる。安い安すぎる。怖い。

なおUAV空中写真測量には弱点もある。
水中や植生が濃い現場は計測不可能である。水替え、伐木、除草がされていることが大前提である。

条件が整えば恐ろしい生産性の向上が見込める。。

まとめ

・水準測量による横断測量⇒13万
・TSによるワンオペ横断測量⇒7万
・UAVによる空中写真測量⇒3万

基本的に給与、労務費は適当である。監督給与25,000/日、助手15,000~/日程度で計算している。

従来手法である水準測量に比し、ドローン使用は77%程度効率化が図られている。現場状況に左右されるが・・・・

実際のところは、水準測量に比し・・・TS使用で40%程度、UAV使用で60%程度改善で落ち着くという感じであろうか。

もちろん投資額もそこそこかかるので、いろいろな考え方をしてみても面白いかもしれない。「働き方改革に乗っかった投資なんだーー(白目)」とか。

とにかく楽なので一度試してみて欲しい。


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