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彼と私の関係性#2

お互いの部屋で自然と過ごすことが増えてきた。

その日は彼のアパートに居て、彼はモンスターをハントし、私は寝っ転がってマンガを読んでいた。
同じ時間、同じ空間にいても別のことができる。そしてそれが苦ではない、というのは、私の理想の関係性の1つであった。

だらだらとした時間が流れる中、突然インターホンの音が鳴った。

予期せぬ来客に身を固め、寝っ転がっていた私はなんとなく部屋の隅に正座した。

玄関から、彼が男性とやりとりしている声が聞こえる。

「思ってたより届くの早かったな〜」
紙袋を手にしながら彼が部屋に戻ってきた。

なんのことはない。来客は宅急便の配達人で、送り主はAmazonさんである。

早速、中身を確認する彼。
「見て見て!これ買ったんだ!」
それはレシピ本だった。
「手抜きごはん」という大きな文字が表紙に鎮座している。
最近人気のその本は簡単にメイン料理が作れることを売りにしているようで、確かに、ページを開くと3ステップで1品が完成している。
一目で分かる3枚の写真で、作り方が説明出来ているのだ。
す、すごい!分かりやすい!
私にもできそうという気になる。

料理が好きな彼なので、レシピ本を買ったことに特に疑問は持たなかった。

「これから2人でごはん食べることも増えるだろうと思って。あっちゃんを待たせず、仕事終わりにちゃちゃっとできるように、時短のレシピ本買ってみたんだ〜。」

?!?!
私の為か!!!
愛しすぎる!


しかし、この本。
簡単をうたっているわりに、クリームシチューは小麦粉からちゃんと作るようになっている。
それ、本当に時短?そこは市販のルーじゃないの??
あまり料理をしない私にはツッコミどころだったが、作るのは彼のようなので、まっいっか!


#恋愛 #エッセイ #よくできた彼氏

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