魔法少女(少年)は邪神と別れたい

『ぼくと契約して魔法少女になってよ!』
あの日、僕は魔法少女になった。

そう、あの日。
夏の輝く太陽が、喧しい蝉の鳴き声が、暑い空気が、全てが唐突に消え失せた空間。
何もない空から、ソレはズルリと落ちてきて、べチャリと地面に張り付いた。
大きさは人間の子どもくらい。その見た目は控えめに言っても腐り溶けた海産物と粘菌の集合体。大きな一ツ目と無数の小さな目がこちらを見ている。
吐き気を催す臭いを撒き散らしながら、ソレは僕の脳に直接言葉を送り込んできた。
『ぼくと契約して魔法少女になってよ!』
「嫌…嫌だ」
『魔法少女になってよ!』
こちらの回答を聞いているのかいないのか、じりじりとソレは這い寄ってくる。
『なってよ!』
「無理…無理だよ…僕は男だもの!」
『…』
ソレが止まる。
助かったと、思ったんだ。
でもソレは次の瞬間僕に覆い被さり、穴という穴から侵入してきて…

とにかく、僕はそうしてあの日、魔法少女…そう、少女になった。

【続く】

#小説 #逆噴射プラクティス #逆噴射小説大賞

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