カフェ・ナインへようこそ!
…珈琲の香り…?
「おっ、目が覚めたみてえだぞ!」
眩しい…ここはどこだろう。
「大丈夫か兵隊さん。あんた脱出艇で落ちてきたんだ。おうウージー、ベレッタちゃんに頼んで水もらってこい」
数人の農作業姿の男性がこちらを覗き込んでいる。
「ここ…は?」
「ここか?ここはガニメデの」
「カフェ・ナインですよぉ。はいお水どーぞ。私は店主のベレッタです」
「タイプM92!?」
ベレッタと名乗った女性型ドロイド!見間違えるはずがない!何人の戦友がこの機械歩兵にやられたか!
「ああ、私の型番ですね。よくご存知で」
「なぜここに!?まさかガニメデは連邦の手に落ちたのか!?…いや、もうそんなことはどうでもいいか。俺は戦場で見てしまったんだ、地球が無くなるのを…」
全員が無言で心配そうな顔を見合わせる。当然だろう、人類は母なる地球を喪ったのだ。
皆を代表して、ベレッタがおずおずと話しかけてきた。
「ええと、それは130年前の話ですね」
【2杯目へ続く】