vol.6 RDTの効果
ロス・ドロップレット・テクニック(Ross Droplet Technique)は、David Rossさんが考案された一滴の水を豆に落としてから挽くというテクニックです。水滴を落とすと言いましたが、実際には霧吹きを使用して吹きかけています。RDTにより得られる効果を考えていきたいと思います。
早速ですが、RDTを行うことで、豆を挽く際の静電気が抑えられ、粉の飛散とグラインダー内への付着を防ぐ、静電気により粉がダマになるのを防ぐことが出来ると考えます。
飛散、付着による影響は粉量の減少と次に異なる豆を挽いた際の粉の混入です。
多めに挽いて、ペーパーに移す際に軽量をする場合には影響を受けませんが、家庭でコーヒーを挽く場合には多めに挽くということはあまりないと思います。豆の状態で軽量する訳ですから粉が減っていても気が付かないかもしれません。粉1.0gは豆4粒程度の重さであり、味わいに大きな影響を及ぼします。出来る限り飛散、付着による粉量の減少は避けたいところです。またグラインダー内に豆が付着していると前回挽いた豆の影響を受ける可能性があります。例えば発酵系プロセスの粉が付着した状態で水洗式のクリーンなコーヒーを挽くとどうでしょう。クリーンでキレのある酸味、余韻を充分に味わうことができないかもしれません。
次に静電気によるダマの影響について考えてみます。
RDTを行わずに豆を挽いた場合グラインダー内で静電気が発生し細かく挽く程に粉にダマができてしまいます。静電気を帯びたダマができることで、水が静電気を避けて通るため、抽出ムラがおこる可能性があります。この現象をチャネリングと呼んでいます。チャネリングがおこると未抽出の部分と過抽出の部分が混在し、コーヒー全体のバランスが崩れるのはもちろんのこと、雑味の増大、甘味や余韻の心地良さを阻害する原因となると考えられます。
これらの理由からRDTはコーヒーのクオリティを向上させるのに有用な手段であると考えます。ただし、現在RDTによる故障への保証を行っているのはvaria社のvs3のみとのことですのでその他のグラインダーでのRDTについては自己責任ということになりますのでご注意下さい。
今後、日本のスペシャルティコーヒーシーンにおいても一般的になっていくでしょう。