うっとりしたい日のおすすめ美術館(愛知)ーArtとTalk 51.ー
皆さんこんにちは、宇佐江です。
突然ですが皆さんはどんな気分を求めて美術館に行きますか?
頭を空っぽにしたい、クリエイティブな刺激を受けたい、のんびりしたい……。人によって、だけでなくタイミングによってもそれは変わってくると思います。
そんな中で今回は、私が「うっとりしたい日」に訪れる地元・愛知県の大好きな美術館を2つご紹介いたします。
それでは早速参りましょう~!
(記事の内容は公式なものとは関係なく、あくまで宇佐江個人の主観的感想です。本文はエッセイ形式でお送りします。)
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①メナード美術館
名古屋市のお隣、小牧市にあるメナード美術館。
名古屋駅からは高速バスも出ているらしいが、私はいつも地元駅から名鉄に乗り小牧駅で降りる。駅からは徒歩15分。特に何があるでもない道なのだけれど、昔からなぜか心地良い。
そしてひょっこり現れる「MENARD」の文字と美術館。
この、重たく閉じた扉に初めはちょっと緊張した。けれど慣れると、秘密めいたその扉を開けるだけでわくわくしてくる。
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チケットを買い展示室への扉を開けると、突然、外光の射す明るい空間に出る。その後は、じっくりと作品に向き合える小部屋が続いていく。
ちょうど舟越桂の追悼展がやっていた。
今年の3月に亡くなった、昔から大好きな彫刻家。2012年にこのメナードで開催された企画展も観に来た。
いつも、作品が目に入った瞬間ドキリとする。
揃えられたコレクションは豪華で、けれどただ有名というだけでなく、巨匠たちの画業の中でもとりわけ観る人の心を豊かに潤すような、幸せな作品が選りすぐって展示されていると思う。
「ひとりでも多くの方に美に触れる歓びを感じていただきたい」
公式HPに書いてあるシンプルなこの想いを、いつ来ても感じられるのが好きだ。
②ヤマザキ マザック美術館
ところ変わって、名古屋の繁華街・栄のお隣、新栄。
地下鉄を降り、目の前にそそり立つビルに入って行くとなんともゴージャスな空間が待っている。
1階でチケットを購入すると、エレベーターでまず5階へ案内される。驚くことに、ここでは特別展・常設展に限らず音声ガイドがいつも無料で利用できる。これは日本初の取り組みらしい(公式HPより)。
エレベーターの扉が開くと、別世界。
赤いベロア調の壁に、磨き込まれた床。そして豪華なシャンデリア!
まるで王宮を改装してつくられたヨーロッパの美術館のよう。飾られている作品は、日本では意外とコレクション展で出会う機会が少ないロココ時代の名画たち。ヴァトーに、ブーシェ。大好きなジャン=バティスト・グルーズ。部屋を進むと新古典主義のアングルや、ロマン主義のドラクロア。写実主義のクールベ。そして20世紀へと続く、フランス美術の黄金時代を堪能できる。
しかし、作品ももちろん素晴らしいのだけれど、やっぱりマザックに来ると豪華絢爛な部屋のつくりについ目が奪われてしまう。ただただうっとり、薄口開けて眺めている自分がいる。
4階へ行くと、こちらは工芸品の部屋。どこかの超お金持ちの御屋敷に忍び込んだような気持ちになる。
この時は常設展のみだったけれど、面白いのが特別展の時はこのフロアで、現代作家さんの作品の背景に常設されているアール・ヌーヴォーの家具や調度品がまんまコラボレーションしている様子。アンバランスなのでは?と思いきや、毎回、なぜか不思議と調和している。
この日は平日の夕方だったけれど、ぽつりぽつりと人がいた。皆、自分の好きな作品を自分のペースで、好きなだけ味わっている感じだった。職場の近くにこんな美術館があったら、しょっちゅう寄り道してしまいそう。
ビルの中の美術館は味気ない気がすることも多いけれど、ここだけは、外観を裏切る展示空間のギャップがたまらない。
目の前の地下鉄入り口をスルーして、ゴージャスな余韻をもう少し感じていたくて一駅か二駅、いつも歩いて帰る。
(写真/©宇佐江みつこ)
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今週もお読みいただきありがとうございました。公立美術館だと特別展が開催されていない時期は展示空間が少々淋しい時もありますが、今回ご紹介した施設はいつ行っても、コレクションだけで安定した見応えが得られるというのも私の好きなポイントです。
皆さんも、愛知県に来て美術館をお探しの際はぜひ訪れてみてくださいね。
◆次回予告◆
久しぶりのおでかけ。
それではまた、次の月曜に。
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