マイフェイバリット展2023!ーArtとTalk㉟ー
皆さんこんにちは、宇佐江です。
今日を含めて今年の月曜も残りあと2回となりました。来週は毎年恒例の「あとがき」ですので、通常回は今回がラスト。
最後の1本をアート記事で終われることを幸せに思いつつ、始めてまいります。
の前に。
去年から書いているこの展覧会の振り返り記事ですが、タイトルを「マイベスト展」から、「マイフェイバリット展」に今回変更しました。
私は心からの美術ファンではありますが、はっきり言って観覧数は決して多い方ではありません。
また、名古屋に住んでいるという土地柄もあり、どうしても鑑賞範囲が中部エリアに偏りがち。そして自分の鑑賞の仕方をあらためて振り返ると、
「美術展として素晴らしいか否か」
よりも、
「自分が感動するポイントがあったか、何か影響を受けたか」に私は展覧会の魅力を見い出すことが多いと気づいたので、今年から割り切って「自分が好きだった展示」をシンプルに発表していきたいと思います。よろしければお付き合いください。
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年が明けて少し経つと各美術・博物館の次年度のラインナップがおおよそ出揃い、
「この展示は絶対、観に行かねば!」
と赤丸をつけたくなるような企画をいくつかメモして、実際観に行くのですが、観終わると
「…うーん…。まあ、本物観られて良かったな」
程度の感想で終わってしまうこともしばしば。
逆に、さほど熱い想いなく出掛けたら「なにこれ、すごい!!」と度肝を抜かれる出会いもあります。今年で言うと、個人的にそれは「展覧会 岡本太郎」(愛知県美術館)でした。(※巡回展で大阪中之島美術館と東京都美術館では昨年開催されていますが、愛知は2023年開催。)
正直言って、有名すぎるが故に今まで岡本太郎の作品をじっくり観たことがなく、さほど画風に興味もないと思い込んでいて、それでも「せっかく地元開催されるなら」と軽い気持ちで出掛けたら、もう、すごすぎて。
本物の作品と相対したときの迫力。
カンヴァスの放つ、生命を脅かすような圧倒。メディアを通して今まで抱いていた「なんだかわけわからない、でも造形的におもしろい」というある種「陽」っぽいイメージが私の中にはあったのですが、実際に観て感じたのはどこまでも深く続く「陰」「暗」、人間の持つ、本能的な畏れのようなものが、まるで、この世の真実みたいにはっきりと画面の中で存在していました。
詳しくはこちらの記事で書きましたので興味ある方はぜひ↓
そんな、先入観から入った岡本太郎と真逆に、まったく予備知識なく観てすっかり虜になったのは「福田美蘭ー美術って、なに?」(名古屋市美術館)。
これは、広報ビジュアルに騙されましたね(笑)。おいしそうな鰻のお重を描いたチラシでは展示内容がまったく想像できなくて、ちょっと奇をてらった感じなのかな~と漠然と想像していたら、内容はザ・絵画。その描きっぷりがなんだか美大受験の頃を想起させるストイックさと生真面目さが感じられて、同じく美大出身の人がみた感想が「すごいと思った派」と、「ちょっとあまりにドストレートすぎて、気恥ずかしさを感じた」という意見もあったのが面白かったです。
こちらも、別記事にしておりますのでよろしければどうぞ↓
そして最後、3つめは「はしもとみお木彫展 いきものたちの音」(おかざき世界子ども美術博物館)です。
偶然今回、ご紹介したのが愛知県内ばかりで「行きやすいところばっか」な感じですが、このおかざき世界子ども美術博物館は、決して行きやすい場所ではないんです。車ならそうでもないと思いますが、公共交通機関を乗り継いで、タクシーまで乗って、ようやく辿り着いた森の中にひっそり佇むような建物。その中の、展示室入り口を覗くと、はしもとみおさんが生み出したたくさんの木彫動物たちの「いのち」が賑やかに集まっていました。
作品が素敵なのはもちろんのこと、この展示でははしもとさんの制作に対する姿勢やライフスタイルにとても憧れて、鑑賞後、はしもとさんの言葉が紡がれた本を買い、自分のアトリエの見やすい位置に御守りのように飾っていました。
展示内容に関しては詳しくはこちらの記事でどうぞ↓
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今週もお読みいただきありがとうございました。
今年は、自分の生活環境などが目まぐるしく動き続けた1年で、その分あまり刺激的な展示よりも、じんわり沁み込むような展示に心が寄せられる年でした。
ひとりで美術館ハシゴ旅も今年から記事化して、今後も続けて行きたいと思っているので、来年、さらに沢山の美術・博物館に出掛けたいです。
皆さんは、今年記憶に残った美術館や展覧会はありますか?
◆次回予告◆
2023年のあとがき
それではまた、次の月曜に。
*昨年の記事はこちら↓
*宇佐江みつこ的アートの扉。展覧会感想もあります↓