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自尊心と素直
遠い土地に住む友のことを考えていた時、「健やかな自尊心」という言葉を読んだ、ぴったりだと思った。
自尊心とは、辞書によると
①自分は値打ちのある、優れた人間だと思う気持ち
②自分の名誉を傷つけまいとする気持ち
少しだけ排他的に、身にかかる何かを払って、すんっと立っている、こんな印象の言葉。
そこに、健やかな、がつくととっても健全な感じがする。
昔はもうちょっとマイペースな人だったような気もするが、今は、わたしからはとても健全な人と、見えている(昔は健全じゃなかったんじゃなくて、健全さアップ⤴️と言う感じです)。
素直でオープン、そして明るい、大好きだ。
なんだろう、信じる力が強い、ように見える。
自分自身を、家族を、まだできる、変わりたい、こうなりたいと、信じて、行動していく。
この、信じる力はどのように養われたのだろう。
自尊心、わたしについては、どうだろう。
年を経るごとに、素直になってきている。克服とか、乗り越える、といったことをある時から手放すようになったのがきっかけだと思う。
ある日「仕事は素直さが大事、伸びるのよ」と、新人の面談後の先輩の言葉。
仕事で、素直ってどういう意味?はて?と思いながら聞いた。その頃、社内人材育成の部署におり、新人研修の時期。
研修では、大人数の前で話す機会が多く、
自分の気持ちを人前で話すと、声が震えて、涙が出そうになる、そんな風な自分に気がついたのも、この頃。準備したシナリオ、研修の内容や連絡事項を伝えること、プレゼンは大丈夫。時々、自身の経験や考えを、新人たちに伝えなくてはならないシーンもあって、その場合には必ず事前に内容を詰めて、シナリオ通りに話す。練習して練習して、当日を迎える、と過ごしていた。
流石に、教壇で涙を流すことはないのだけど、声ががたがたに震えるのだ。
こうなると、なかなか素直に気持ちや考えを話すのができなくなってきていた。仕事では求められる姿、態度を徹底的に演じる、クセがついていたように思う。それで、仕事で素直って?と思ったことを覚えていた。
この部署を離れた後も、この感じは続いていて、さらに顕著になっていた。
キャリアに悩んでいたこと、人材育成の仕事が好きだったことから、キャリアコンサルタントの取得のため、養成講座に通い、そこで温かく志あるクラスメートと先生に出会った。
約3ヶ月間、週末の講座では、心理学やキャリアについて学び、知識をインプットしながら、経験や考えと照し合わせながらアウトプットして、知識を定着させていく(試験に向けては、ひたすら語呂合わせの暗記もあったけども)。
これゆえ、講座の中では、これどう思った?どう感じた?どう捉えている?と問いかけがある。
最初のころは、わりのまだ関係性がないクラスメートの中で、のびのびとできていた。知らない人の中の方が、意外に自分が出せるもの。
講座終盤のある日、
発言しながら、声が震えてきてしまった、あれ、ここでもこうなっちゃう。
クラスメートは気がつかないふりをしながら、あたたかく見守ってくれた。
まさにあたたかく、見守られていることをかんじながら、声を振るわせ、涙をたえながら、話し切った。
エモーショルな言葉だったわね、ありがとうと、先生。
講義の後、わたしがさっき泣きそうだったの、気がつきました?と聞いてみた。
そりぁもちろん、何かあったのかな、泣いちゃうかな(泣いてたけど)っておもったよ、思ったけどちゃんと話し切れてよかったよと、親しいクラスメート。今でもこの日のこと、は忘れられない。
なんだろう、わたしの言うこと、をそのまま受け止めてくれる、かも知れないと感じていた場で、
まさに受けてもらいながら、話をしてみたら、話すことができた。
また話してみよう、聞いてもらいたいと、思えた。
これが、素直の入り口だったように思う。成果やゴールを意識せず、目の前できること、心動かされることに向き合うこと、そして真摯にやってみること、これがわたしの素直だった。
自尊心のかたまりだった、これ以前のわたし。今はどうだろう、以前よりはだいぶ自分を信じられるようになってきたように思う。
彼女も何か、きっかけがあったのかな。
それとも積み重ねだろうか、話してみたい。
彼女の考える、自尊心は、どんなだろう。