息子の小さな指を風呂場で挟んでしまったあの日のこと
風呂場のドアで、当時4歳の息子の指を挟んでしまったことがあります。何気なく閉めようとすると、突然、息子が激しく泣き出しびっくりするとともに、ものすごく後悔しました。
いまから11年も前の出来事にもかかわらず、私はそれが「2013年3月3日の17時35分から18時4分のあいだ」に起こったとわかります。
そのころに使っていた手帳の一週間の見開きには、黒のシャープペンで起きてから寝るまでの毎日の予定を記録していました。さすがに、この息子の件だけは、赤のボールペンで目立つように書かれていました。
おそらく、自分自身に「二度とやるなよ!」と言い聞かせるだけでなく、その気持ちを絶対に忘れないようにしたかったのだと思います。
いまでも、タスクシュートを読み返すと、この日に私が何をやっていたかがはっきりと蘇ってきます。
前日の土曜日の夜中は22時4分から3時2分のあいだに、286分をかけて7つの仕事に取り組んでいます。翌朝は起きてすぐに9時35分から子どものプリントのまるつけをしています。
手帳には「家族」と一言だけ書いてある時間にも、銀行の振り込みをしたり、会社のパソコンでセキュリティーのアップデートをしたり、新しい家の内装に関するメールを見たりしています。なんだかんだで寝るのが深夜の2時41分になりながらも、月曜は9時10分に出社しています
もし、私がタスクシュートに自分の行動を記録していなければ、10年以上も前の暮らしぶりをここまで細かく思い出せなかったでしょう。
もちろん、週末も夜まで仕事をして寝る時間も足りてない中、うわの空で子供と接していたから注意が不足した、などと自分を責めるつもりはないし、その必要もないと思います。
いまでこそ、私はタスクシュート認定トレーナーとしてそのメソッドを人に伝える活動もしています。だからといって、けっして日々の行動を細かく記録し続けているわけではありません。
それでも、間違いなく「ライフログ」と呼ばれる生活の記録を採っていた時期のほうが、自分の過ごしてきた時間と空間や、そのときどきの心の動きを味わい深く思い出せます。
よりよい時間の使い方を見つけるヒントとしてタスクシュートを活用している人も多いと思います。じつは、そこに刻まれた内容は、それぞれの一日をしっかりと生きた証しにもなるのです。
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