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東京の芸術的な公衆トイレ17選 - ザ・トウキョウ・トイレットプロジェクト グーグルマップで探す (feat. パーフェクト・デイズ)

最高の実力者が公共空間を作ったら、世界はどう変わるだろうか?

私たちが共同で利用する公共環境は、大抵、我々の時代が持つデザイン能力の最も低い水準で作られる。これは公共部門の最低価格入札の盲点のためだ。実力のある専門家は、自分たちのレベルに見合った予算が提供されない公共プロジェクトには参加できない。忙しい合間を縫って才能を寄付するレベルで関与することも考えられるが、それはあくまで例外的なケースであり、結果的に私たちの生活環境は平均以下のデザインで満たされてしまう。

最高の実力者が公共空間を作ったら、世界はどう変わるだろうか?そんな夢のような構想が実現することもある。たとえば「ザ・トウキョウ・トイレットプロジェクト(The Tokyo Toilet Project)」がその例だ。2024年7月3日に韓国で公開された映画『パーフェクト・デイズ(Perfect Days)』は、このプロジェクトを背景にしており、公共デザインの革新について考えさせられる。

ザ・トウキョウ・トイレットプロジェクトとは?

ヒラヤマ(役所広司)の服がザ・トウキョウ・トイレットのユニフォームである。この制服は神宮前トイレをデザインしたファッションデザイナーNIGOが監修した。
ポスター画像の出典:https://laikacinema.com/


映画『パーフェクト・デイズ』(監督:ヴィム・ヴェンダース、2023年)では、主人公ヒラヤマの動線に沿って渋谷の至る所に公衆トイレが登場する。これらは、単に機能が強調された従来の無表情な公衆トイレではなく、それぞれが独特の個性を持つ建築物である。ザ・トウキョウ・トイレットプロジェクトは、日本財団が渋谷区と協力して推進した公共デザインプロジェクトだ。
* 日本財団 Nippon Foundation: A級戦犯である笹川良一がギャンブルで得た資金で設立した財団。彼の息子である笹川陽平が現在の会長を務めている。主要な大学に資金を提供し、日本の歴史を歪曲し美化する役割を果たしていると知られている。

このプロジェクトを知らせるために、ドイツの映画監督ヴィム・ヴェンダースに公衆トイレが登場する映画の制作を提案し、その結果生まれたのが『パーフェクト・デイズ』である。主演の役所広司は、この映画で2023年カンヌ映画祭の男優賞を受賞した。


 https://tokyotoilet.jp/

ザ・トウキョウ・トイレットプロジェクトは、2020年の東京オリンピックとパラリンピックという国家的イベントを迎え、「暗くて、汚くて、怖い」という公衆トイレの固定観念を払拭するために行われた。プロジェクトの目標は、公衆トイレを誰もが利用できる清潔で安全な空間に変えることだった。このため、プリツカー賞受賞者を含む16人の世界的な建築家やデザイナーが参加し、渋谷区の17か所の公衆トイレを新たにデザインした。建築家だけでなく、プロダクト、グラフィック、ファッション、インテリアなど多様な分野のデザイナー(さらにはデザイナーでない広告企画者もいた)が参加し、より革新的で多様なデザインソリューションを提示することができた。こうして開発された公衆トイレは、公共デザインが単に機能的で実用的な面を超え、文化的で芸術的な価値を持つことを示している。

公共デザインは都市の顔を変え、住民の生活にポジティブな影響を与える。このプロジェクトは、公共デザインがどのように社会を変え、より良い生活環境を提供できるかを示す例だ。韓国も専門家が公共プロジェクトに参加できるように、公共調達の仕組みと方法を改善する必要がある。そうすれば、私たちも日常の環境で最高水準のデザインに出会えるようになるだろう。

17か所のトイレを巡ることができるGoogleマップを用意した。東京旅行を控えているなら、公衆トイレツアーを計画してみてはいかがだろうか。

Yoon Seongwon
2024年7月21日

グーグルマップで見る... :


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