京都旅行にいくならvol.⑤ 10月は琳派を巡る旅はどうでしょう?
こんにちは。
勝手にシリーズ化した「◯月△日に京都旅行にいくなら」の第5弾※です。
楽しみにしてくださっていた方がいらっしゃったら嬉しいです☺️
※以前の投稿は、以下からご覧いただけますので、良かったら、ぜひ!
https://note.com/usa_kuma/m/m11120a7bd26d
1.今回はいつ?
今回は日付指定ではないのですが、だいたい10月頃なので選びました。
今回のテーマは「琳派」です!
琳派(りんぱ)は、安土桃山時代の後期に興り、同傾向の表現手法を用いる美術家・工芸家やその作品のことを指します。本阿弥光悦と俵屋宗達が創始し、尾形光琳・乾山兄弟によって発展し、様々な芸術家の手によって江戸に定着していったと言われています。狩野派などとは異なり、琳派は家系による継承ではなく、私淑によって断続的に継承されてきたという特徴があり、時間も、場所も、身分も、遠く離れた人々によって受け継がれているという他に類を見ない特色があります。同じようなテーマや図柄、独特の技法を意識的に選択・踏襲することで琳派としての主体性を保持する一方、それぞれの絵師独自の発見や解釈が加わり昇華され、単なる模倣ではない新たな芸術を生み出し受け継がれているそうです。今流行りのダイバーシティ&インクルージョンの先駆けのようで、面白いのではないかと思い、今回ご紹介することにしました。
琳派では、背景に金箔や銀箔を用いたり、大胆な構図、型紙による繰り返し、たらしこみの技法などに琳派独特の特色を見ることが出来ると言われています。
2.尾形光琳が描いた菊をモチーフにした和菓子
早速話が外れてしまうのですが、皆さまは秋の和菓子と聞いて、何を思い浮かべますでしょうか?
秋は多くの野菜やフルーツが旬を迎える季節であり、かぼちゃ、さつまいも、栗などを使ったものを思い浮かべる方も多いかもしれません。
今回テーマにしている琳派と関わりの深い秋の和菓子として、「光琳菊(こうりんぎく)」というものがあり、全国の和菓子屋さんで、秋のお菓子として、期間限定で販売されています。
ほんの一例ではありますが、京都であれば、千本今出川上ル西陣にある千本玉壽軒(せんぼんたまじゅけん)さんの光琳菊はこんな感じです。
もう一つご紹介すると祇園にある鍵善良房さんの光琳菊はこんな感じ。
「同じようなテーマや図柄、独特の技法を意識的に選択・踏襲することで琳派としての主体性を保持する一方、それぞれの絵師独自の発見や解釈が加わり昇華され、単なる模倣ではない新たな芸術を生み出し受け継がれている」とされる琳派、同じテーマでも、お店ごとに「違う」のです!
この光琳菊が食べられる10月に京都を訪れ、琳派の名前にもなっている尾形光琳ゆかりの場所へ訪れる旅、いかがでしょうか?
3.尾形光琳ゆかりの場所
和菓子「光琳菊」の紹介から始まり、この流れで尾形光琳の描いた「菊図屏風」が京都にあったら良かったのですが、こちらは箱根にある岡田美術館に収蔵されています。今年2月頃は公開されていたようですが、HPを見る限り、2024年7月現在は公開されていないようです。
この記事のタイトル挿絵に使用した「八橋図屏風」も海外収蔵です。光琳の最高傑作と言われ、装飾性を追求した琳派様式の一到達点を示すとされる「紙本金地著色紅白梅図」は熱海にあります。
では、京都で尾形光琳を感じるには?
ここで改めて「琳派」の特色を思い出してください。
「同じようなテーマや図柄、独特の技法を意識的に選択・踏襲することで琳派としての主体性を保持する一方、それぞれの絵師独自の発見や解釈が加わり昇華され、単なる模倣ではない新たな芸術を生み出し受け継がれて」います。
正にそれを楽しめる場所が、京都上京区にある妙顕寺です。(前置きが相当長くなってしまった…💦)
電車で行かれる場合には市営地下鉄 烏丸線「鞍馬口駅」より徒歩約10分または「今出川駅」より徒歩約15分、バスで行かれる場合には京都市営バス9・12・67系統「堀川寺之内」下車徒歩約5分です。
もともとこちらには尾形光琳自ら手がけた庭園があったそうですが、天明の大火で焼失後に、光琳の作品を摸して造られたお庭があり、それを鑑賞することが出来ます。
時間も、場所も、身分も、遠く離れた人々によって受け継がれてきたお庭を眺めながら、琳派を感じてみるというのはいかがでしょうか?
以下のお写真2つは妙顕寺さんのHPから拝借しております。
4.琳派を知るのにおススメの場所、作品
9年前に行った琳派のセミナー資料と当時自分が書いたメモが出てきたので加筆します。(琳派について、とても魅力的にお話しをしてくださった中部義隆先生は、このセミナー翌年にお病気で亡くなられていたのですね、とても残念です。)
このセミナーで紹介いただいた琳派を知るのにおススメの場所は3つ。
①養源院
俵屋宗達が実際に描いた襖絵があるのはここだけ。
画面の枠から飛び出すスケール、立体感、動きをいかに表現するかの工夫。そして、一枚の絵の中に「時間」が含まれているそうです。
絵師が見ていた目線に合わせて鑑賞すべし、とのこと。
②醍醐寺
舞楽図屏風(下記リンクご参照)を見るべし。右側の白い服の老人の服の裾が地面を表し、上から見ている。画面空間に流れを作り出し、俯瞰して見ている構図が素晴らしい。
③光悦寺
茶人にとって本阿弥光悦は偉大な方。焼物に名を残したのは光悦が初めて。光悦の書物も茶人に愛されており、楽しめる。
5.まとめ
今回は、「琳派」をテーマに10月に京都旅行をされる場合のおススメのスポット(和菓子店とお庭)を紹介いたしました。
これを読んで、10月に、「そうだ 京都、行こう。」と思ってくださる方がいらっしゃったら嬉しいです。
では。(長くなりすぎました、ごめんなさい。)