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注目のNO-Tillファーマー ブライアン・オハラ

農場の基本的情報

タバコロードファーム(ブライアン・オハラ)
・栽培面積 3エイカー(2.4㏊)
・春から夏に栽培期間。冬の間は緑肥作物で覆っておく。
・20年以上の栽培経験
・韓国自然農法を取り入れている

栽培方法の特徴


ブライアンの栽培の特徴は太陽熱を使った除草と害虫対策。そして大量の堆肥と緑肥栽培です。
 まず堆肥を入れる理由としてあげるのは、ミミズが堆肥を食べて土壌を肥沃にしてくれるからです。堆肥はミミズと土壌微生物にの為に畑に散布しています。堆肥の材料としては植物性の物で藁や落ち葉、バークを混合して作っています。毎年7トン/1反もの堆肥を入れているとの事です。ブライアンは耕耘しないので、堆肥は表面にマルチングされる事になります。
 そこで問題になってくるのが、ナメクジなどの害虫の問題です。
 ブライアンはナメクジ対処方法として、透明マルチを使った日本でもおなじみの太陽熱マルチをオススメしています。
 以前は一般的な農家のやり方のように耕耘をしていましたが、耕耘してしまうと土が乾燥しやすく、土に保持された肥料も離れてしまい、土壌微生物も少なくなる事に気がつきます。
 そこで彼は不耕起栽培を始めて、毎年多くの実験を重ねながら土壌を作ってきました。そして2012年に全ての圃場で耕起栽培を辞めました。
 不耕起の為のステップとして、まずは深く耕耘する事を辞めて固定畝栽培方法を取り入れて表層耕起に切り替えしました。次に耕耘機を農場から無くして最後には耕耘する事なく栽培出来るようになりました。


堆肥


 堆肥の特徴として炭素率の高い堆肥を使っています。量にすると反当たり7トン程の堆肥を投入しており、自分達も含めて反当たり2トンくらいでも多いのでかなりの量を投入していますね。
 主な堆肥の材料として、牛糞、野菜の残渣、ウッドチップ、落ち葉、ワラになります。ミネラル資材としてシリカとカルシウムを加えています。基本的な材料はこれですが、野菜の特徴に合わせてブレンドしていきます。
 この堆肥によって炭素を多く含んだ肥沃土の高い土壌になります。炭素を確保するために40%以上はウッドチップを含んでおり、物理性も良くなります。ワラも細かくする事で分解促進の面と圃場に散布しやすくなり作業性も上がります。
 この堆肥を畝の上にまんべんなく敷き詰める事で雑草対策にもなり、実際彼は除草作業をほとんどしなくても良いような状況になっています。


太陽熱マルチ

  太陽熱マルチを聞いた事があるでしょうか?日本の多くの農家さんが取り入れています。まず日本の太陽熱マルチを簡単に説明すると、太陽熱(直射日光+発酵熱+蒸気の熱)と微生物の繁殖力を利用して、夏季に、微生物の餌が多く残っている中熟堆肥(C/N比25と高め)と、ミネラルを適正量に対してプラス20%を施肥、ほ場の土壌水分を60%を目安として灌水したうえで、積算温度が900℃を超えるまで透明ビニールマルチを施用するという作業です。

 メリットとしては①土壌団粒化②雑草の種を死滅させる③病害虫死滅させるの3点になります。

 デメリットとしては①実施期間(夏だけ)が限られる②技術がないと再現性が低いなどが上げられます。③積算温度が900℃なので20日程度かかる

 続いてBryanの太陽熱処理の特徴として
①短い期間(24時間)のマルチング
②表層の雑草と虫がターゲット
③長い期間実施可能(4月~9月*ブライアンの気候で)
④透明マルチは使い回し
になります。

 最低21℃の晴れた日であれば実施可能です。

 この太陽熱マルチのメリットは
①ナメクジなど害虫が駆除できる
②一年性の雑草は駆除出来る
③緑肥をモアで借り倒した後であれば緑肥の分解を促進する

デメリットとしては
①土壌の物理性が上がるわけではない
②根っこの深い多年性の植物に効果は無い
 Bryanは実験を重ねる内に発見したことがあり、外気温を透明マルチの中の温度差が10℃あると土壌の表層2.5㎝が少し温度が上昇する。この事によって緑肥のナメクジに効果がある。

 透明マルチを24時間被せて置けば良いので栽培の邪魔にもなりにくく、実施期間も長いので取り入れやすい。

まとめ

 今回は多くの堆肥と太陽熱マルチによって、土壌肥沃土を高め、耕耘作業をやめることで時間もコストも抑えられて、除草効果抜群のNO-TILL栽培方法について紹介させてもらいました。
自分も表層耕起は実践しています。確かに年々雑草は減ってきています。
何かヒントがあれば幸いです。最後まで読んで下さりありがとうございました。

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