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アメリカ会社設立前に知っておきたい!失敗しないアメリカ会社形態の選び方
アメリカで会社を設立する際に重要なのが、会社形態(Business Structure)の選び方です。
会社形態の選び方は、企業の規模や売上高で決めるのではなく、ご自身の会社のビジネス内容や状況、税制面のメリットなどから選ぶことが大切です。
1. アメリカの会社形態の種類
アメリカの会社形態には大きく分けて、
C-Corporation
LLC/LLP
S-Corporation
の3種類があります。
それぞれの特徴やルール、税制面でのメリット・デメリットを理解した上で、最適なものを選択することが重要です。
2. C-Corporation
C-Corporationはいわゆる一般的な株式会社の形態になります。
現在は、資本金に関係なく、1人からでも設立が可能です。また、ビザを持たない外国人(日本人)でも設立は可能です。
会社設立は可能ですが、もちろん就労ビザがなければ働いて給与を得てはいけません。日本からの場合は、その自分の会社への投資によるE-2ビザの取得が一番の方法になります。
C-Corpは税制面では、事業利益に対して法人所得税がかかります。また、その利益からオーナーに対して配当金(Dividend)を出した場合、そちらには個人の所得税が課税されるため、二重課税になると言われます。
ただし、C-Corpの場合、赤字決算だった場合は、その赤字分の繰り越しができるため、翌年以降、黒字決算になった場合にはその前年度までの赤字分で相殺することができるので、課税対象所得の控除が可能です。
また、黒字決算の場合、その利益は内部留保という形で会社に残るので、次の投資や仕入れなど在庫を抱えるビジネスに適した会社形態と言えます。
3. LLC/LLP
LLC/LLPは、Limited Liability Corporation/Pertnershipで、複数人の出資者(パートナー)で資金を出し合って事業を行い、その利益を出資者で分配をするようなビジネスに最適な形態になります。(アパート経営や映画制作など)
よく個人事業からの法人成りだから、小規模だから、1人だからLLCという傾向があるのですが、それは間違いで、上記のように複数の出資者で利益を分配するようなビジネスの場合に選択するものになります。
1人メンバーでもLLCを設立することは可能ですが、税法上は個人事業主扱いになるため、自分の会社でありながら自分で給与を取ることができません。
その代わり収入は事業利益そのものになりますが、そこに個人事業主の場合は自営業税と所得税が課せられるので、タックスリターン時に一気の支払いになるため、キャッシュフローに気をつけなければいけません。
自営業税(Self Employment Tax)は、個人事業主は給与が取れないため、所得税と社会保険料(ソーシャルセキュリティとメディケアタックス)の源泉徴収がされていません。その社会保険料の分を事業利益の15.3%課税されます。
また州によっては、LLCには売上に対して、Gross Reciept Feeも課せられますし、会社法上、「みなし法人」のため信用面でも、C-Corp、S-Corpよりも薄くなります(銀行からの借入時など)。
LLC/LLPは、外国人(日本人)でも設立は可能ですが、1人メンバーのLLCの場合は個人事業主になってしまうので、E-2ビザ取得の場合にグレーな部分が残ります(個人事業主にビザが出るのか)。
その場合、2人以上のパートナーであれば、給与を出すことは可能なのですが、今後はその場合、E-2ビザの申請条件がオーナー比率が50%以上、外国人でなければいけないので、出資金が欲しいということでアメリカ人のパートナーを増やしてしまうと、E-2ビザの申請要件から外れてしまうので、注意が必要です。
4. S-Corporation
S-Corpは、まず、C-CorpまたはLLCで会社を設立した後に、S-Corpへの切り替え申請をIRS(米国国税庁)に対して行います。晴れて承認された後に、S-Corpとしてタックスリターンなどの税務処理を行います。
S-Corpの特徴は、LLCと同じく事業利益がそのままオーナーへの分配金(Distribution)として全てを拠出するので、法人所得税がかかりません。その分配金は、オーナー個人の所得として、そちらに所得税がかかります。
この分配金には、社会保険料(ソーシャルセキュリティ・メディケアタックス)がかからないので、すでに社会保険料の上限まで納めている場合は、受給年齢に達した場合など、S-Corpで給与で取らず、分配金を受け取った方が節税になります。
特に小規模事業や家族経営など、それほど多くの在庫を抱える必要のないビジネスに最適な会社形態と言えます。
S-Corpは、アメリカ市民権・永住権保持者のみが切り替えができる会社形態なので、ビザを持たない、また非移民ビザの外国人(日本人)は、S-Corpには切り替えることができません。
アメリカ会社形態のまとめ
C-Corporation
外国人(日本人)でも設立が可能。
配当金を出す場合、二重課税になりうる。
赤字決算は翌年以降に繰り越しできる。
利益は内部留保金として会社に残せる。
LLC/LLP
外国人(日本人)でも設立できる。
利益分配(Path-through)するので法人税はかからない。
州によっては売上税(Gross Receipt Fee)がかかる。
1人メンバーLLCは個人事業主扱い。
パートナー比率に気をつけないとビザ申請に影響。
S-Corporation
外国人(日本人)は設立(切り替え)はできない。
C-CorpもしくはLLCからの切り替え申請が必要。
利益がオーナーへの分配金になるので個人の所得税が増える。
まとめ
アメリカで会社設立のための会社形態は、事業規模や資本金の額、人数で決めるのではなく、ご自身の就労・滞在ステータスや税制面(ソーシャル瀬キィリティ:年金の納付状況など)からも自分にマッチする形態を選択するのがベストです。
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