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マイクロン・テクノロジー決算発表(2020年6~8月期、2020年8月期)

インテル、エヌビディアと、コロナ禍のもとでも米国の半導体企業は好調な業績を上げてきました。それは、マイクロン・テクノロジーも例外ではなかったようです。

決算の報告に入る前に、半導体の種類について簡単に見ておきましょう。

この分類の中では、インテルやエヌビディア、AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイシズ)はコンピュータの頭脳部分である中央演算装置(CPU)のメーカーです。
対するマイクロン・テクノロジーは、プログラムやデータを記憶するDRAMやフラッシュメモリを主軸とするメーカーです。

かつては、DRAMを中心に日本の半導体産業が世界の過半数のシェアを持つほど強かった時期もありましたが、いまではわずか6%にとどまっています。

NECと日立の半導体部門を統合して誕生し、のちに経営破綻したエルピーダメモリを買収したのが、マイクロン・テクノロジーです。

最新の決算動向

 (万ドル)    売上高   純利益  1株当たり利益
2019年6~8月期   4,870    586    0.49ドル
2020年3~5月期   5,438    805    0.71ドル
2020年6~8月期   6,056    990    0.87ドル

9月29日に発表した2020年6~8月期決算によると、売上高は60億5600万ドルで、前年の同じ時期と比べ24.4%増加しました。
クラウド向け、パソコン向け、ゲーム機向けに主軸のDRAMの出荷が好調だったことが最大の要因です。

支出面では、売上高の増加とともに売上原価も増えましたが、軽く吸収しマージン比率は上昇しています。
また研究開発費や販売費などのコストはほぼ前年同期と同等水準に抑えられたため、純利益は9億9000万ドルと前年同期比68.9%増加しました。
1株当たり利益は0.87ドルで、前年同期比77.6%の増加となりました。

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マイクロン・テクノロジーは8月決算なので、2019年9月~20年8月の通期決算もあわせて発表になっています。

 (万ドル)    売上高   純利益  1株当たり利益
2018年8月期   30,391   14,994    11.51ドル
2019年8月期   23,406     7,376      5.51ドル
2020年8月期   21,435     3,003      2.37ドル

2017年から18年にかけては、いわゆる「DRAMバブル」と呼ばれた時期であり、18年8月期は売り上げ・利益ともに大きく膨らみました。
19年8月期はバブルの余韻を一部残しつつも収縮し、20年8月期は大底から、コロナによる需要増が回復につながるか、というタイミングのようです。

事業ユニット別の結果

マイクロン・テクノロジーの四半期資料(10Q)では、事業ユニット別の売上高が公表されています(リリースにはありません)。

分類は以下の4つです。
・Compute and Networking Business Unit(CNBU)
・Mobile Business Unit(MBU)
・Storage Business Unit(SBU)
・Embedded Business Unit(EBU)

CNBUは、クライアント、クラウドサーバー、エンタープライズ、グラフィックス、およびネットワーキング市場に販売されたメモリ製品のユニットになります。同社の事業の中で最大のユニットです。
ユニットの売上高は、四半期(20年6~8月期)が前年同期比59%増の約30億ドル、通期(19年9月~20年8月)は前年比8%減の約92億ドルでした。

MBUは、スマートフォンを中心としたモバイルデバイス市場に販売されているメモリ製品のユニットです。
ユニットの売上高は、四半期が前年同期比4%増の約15億ドル、通期は前年比11%減の約57億ドルでした。

SBUは、各種市場向けに販売されるSSDやコンポーネントソリューション、ストレージ製品のユニットです。
ユニット売上高は、四半期が9億1300万ドルで前年同期比で8%増え、通期は約38億ドルで前年比2%減少しました。

EBUは、自動車向けや各種産業向け、および消費者市場に販売される組み込みメモリおよびストレージ製品のユニットになります。
ユニット売上高は、四半期が前年同期比7%減の9億1300万ドル、通期は前年比12%減の約28億ドルとなりました。

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厳しい見通し

同時に発表した20年9~11月期については
 売上高:52億ドル±2億ドル
 1株当たり利益:0.39ドル±0.07ドル
との見通しとしています。

サンジャイ・メロトラ(Sanjay Mehrotra)社長兼CEOは、9月14日にファーウェイ向けの出荷を停止したことを公表しました。
米国と中国の経済対立の象徴ともいえるファーウェイへの半導体輸出規制の強化を受けた格好ですが、ファーウェイは同社の売上高の1割を占める大口顧客であり、これが消滅することでかなりの影響が出てくると思われます。

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まとめ

・DRAM、フラッシュメモリを主軸とする世界的半導体メーカー
・2020年6~8月期の売上高は前年同期比24.4%増加
・1株当たり利益は0.87ドルで前年同期比77.6%増加
・10%占めるファーウェイ向け出荷ストップで厳しい見通し


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