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株価水準を25%切り上げたアトラシアン・コーポレーション(2021年4~6月期、2021年6月通期決算発表)

アメリカ企業の4~6月期の四半期決算発表は、GAFAMやダウ30採用銘柄などの主要企業がほぼ終了し、終盤を迎えています。

今回の4~6月期決算は、コロナ禍により大きく落ち込んだ昨年との比較ということもあり、多くの企業が売上高、利益とも大幅に回復している姿が目立っています。

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そんななかで、実際の収益が予想を大きく上回ったり、2021年(度)通期の見通しを上方修正したりする企業も少なくありません。
想定していた以上に回復が早かったり、新たな需要により顧客を獲得したりしたことが要因となっています。

そうした企業では、決算発表の後、株価が大きく上昇して水準を切り上げたケースも見られます。

ここでは、そうした企業をいくつかご紹介していきたいと思います。

豪州企業のアトラシアン・コーポレーション

いきなりアメリカ企業ではなく、オーストラリアの企業というのもなんですが、ナスダック市場に上場(ティッカー:TEAM)している企業です。

①アトラシアン・コーポレーションってどんな会社

アトラシアン・コーポレーション(以下、アトラシアン)は、オーストラリアのニューサウスウェールズ大学の学生だったマイク・ブルックス(Mike Cannon-Brookes)と スコット・ファーカー(Scott Farquhar)が2002年に設立したソフトウェア開発企業です。

アトラシアンは、オーストラリアのシドニーに本社を持つほか、アメリカ、イギリス、オランダなどに拠点を持っています。日本では、2013年6月に日本法人が設立されています。

Our mission is to unleash the potential of every team.

同社は「すべてのチームの潜在能力を解き放つこと」をミッションとして掲げています。
日本語版のHPでは、以下のように記されています。

歴代の偉大な功績の裏側にはいつもチームがついています。
新薬開発や宇宙旅行、災害対策やピザの宅配に至るまで、私たちの製品は、地球上のすべてのチームがソフトウェアの力により人類を未来へ前進させることに貢献します。

提供するアプリは、企業がソフトウェア開発をするうえで、開発者と開発者以外の人たちのコラボレーションを支援するような設計になっているようです。

ティッカー「TEAM」が示すように、チームを重視する姿勢が前面に表れています。

②アトラシアンの製品群

アトラシアンが提供する主な製品(ソフトウェア)は以下の通りです。

・Jira - 主軸の商品。開発チームの計画・作業整理・追跡、プロジェクト管理などを行うほか、レポートによるパフォーマンス管理もできる。

・Confluence - プロジェクトの作成、共有、整理、議論に使用される、ソーシャルで柔軟なコンテンツコラボレーションプラットフォームです。

Trello - ボードでタスクを整理することができ、ユーザーやチームに、誰が何を作業しているのか、タスクやプロジェクトがどれくらい進んでいるのかを伝えることができます。

・Bitbucket - 分散型バージョンコントロールシステムを使用するチームのためのコード管理およびコラボレーション製品で、共有コードの構築、保存、テスト、共同作業、デプロイを行うことができます。

最新の決算動向

①2021年4~6月期

7月29日、アトラシアンは2021年4~6月期の四半期決算を発表しました。

(100万㌦)   売上高   営業利益  純利益 1株当たり利益
2020年4~6月期  430.4   -3.3   -385.2    0.25㌦
2021年1~3月期  568.7   69.5    159.8    0.48㌦
2021年4~6月期  559.5   -7.5   -213.1    0.24㌦

売上高は5億5950万㌦で、前年の同じ時期と比べ30.0%増加しました。

内訳は、柱であるサブスクリプション収入が3億8550万㌦で、前年同期比49.7%増加しました。
ユーザー数が拡大したこと、プレミアム版の割合が増加したこと、解約率が低下したことが要因のようです。

永久ライセンス収入は920万㌦で、前年同期比54.6%減と大きく減少しました。データセンター製品を除くソフトウェアのライセンスから得られる料金ですが、ユーザーがサブスクリプションへ移行していること、新規のライセンス提供を終了したことなどが影響しています。

メンテナンス収入は1億3110万㌦で、前年同期比6.8%増加しました。
永久ライセンス製品のアップデート、機能拡張、技術サポートなどからの収入です。

その他の収益は3370万㌦で、前年同期比13.1%増加しました。
「Atlassian Marketplace」でのサードパーティアプリの販売手数料や、コンサルティング、トレーニングサービスなどからの収益が含まれます。

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ちなみに、21年6月末のユーザー数は23万6118件で、1年前と比較して6万2000件あまり増加しています。
とくに21年に入ってからの伸びが目立ちますが、これはTrelloのシングルユーザーが増えたことも寄与しています。

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支出面では、売上高の増加に伴い、売上原価も増加しました。
また、マーケティング関連費用が大幅に増加したほか、研究開発費や一般管理費も増加しました。

ただ、営業外費用が半減しましたので、純損失は前年同期比で44.7%減少しました。

1株当たり利益(Non-GAAP)は0.24㌦で、前年同期を4%下回りました。

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②2021年6月通期

アトラシアンは6月決算企業ですので、合わせて2021年度(2020年7月~21年6月)の通期決算も発表されました。

(100万㌦)   売上高   営業利益  純利益 1株当たり利益
2019年6月期  1,210.1   -63.4  -637.6    0.86㌦
2020年6月期  1,614.2       14.1  -350.7    1.15㌦
2021年6月期  2,089.1     101.6  -696.3    1.40㌦

売上高は20億8910万㌦で、前年度と比べ29.4%増加しました。

ここまで本業は順調に拡大、売上高は増加し、本業のもうけを表す営業利益もプラスに転じて、増加しています。

一方、純利益は、債券やオプションの評価損を営業外費用で計上しているため、大幅な赤字が続いています。
ただ、こうした一時的な項目を除外したNon-GAAPベースの1株当たり利益は、着実に増加しています。

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今後の見通し

アトラシアンは、7~9月期について、以下のような見通しを発表しました。

売上高:5億7500万㌦~5億9000万㌦(前年同期比25~28%増)
1株当たり利益:0.38~0.39㌦(同26~30%増)

22年度については、新規のライセンス提供と、既存ライセンスのアップデートを停止することから、ライセンス収入とメンテナンス収入は減少する見込みです。

一方で、サブスクリプション収入の増加率を前年度比40%台前半から半ばになると見込んでいます。クラウドベースへのシフトで、サブスクリプション収入が一段と主軸になってくるのは確実です。

株価急騰の要因

アトラシアンの株価は決算発表後の7月30日、大幅に値を切り上げて取引が始まりました。

29日の終値が266.79㌦だったのに対し、30日は310.00㌦からの取引となりました。
株価はその後、さらに上昇し、8月6日の終値は334.51㌦と、決算発表後の1週間で25%上昇しています。

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株価が急騰した要因としては、

・4~6月期の売上高が5億5950万㌦と、アナリスト予想の5億2400万㌦を上回った。
・4~6月期の1株当たり利益が0.24㌦と、アナリスト予想0.18ドルを上回った。
・7~9月期の売上高見通しが5億7500万㌦~5億9000万㌦と、アナリスト予想の5億4000万㌦を上回った。
・22年度のサブスクリプション収入の増加率が、前年度比40%台前半から半ばと引き続き高い成長が見込まれることが表明された。

ことがあげられます。

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まとめ

・豪シドニーに本社を持つソフトウェア開発企業
・「Jira 」軸に、開発支援や業務効率化のアプリを提供
・2021年4~6月期の売上高は前年同期比30%増加
・クラウド化進めサブスクリプション収入が収益柱に
・想定上回る実績&見通しで株価水準切り上げ



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