ベライゾン・コミュニケーションズ決算発表(2020年1~3月期)
米国の通信サービス会社では、AT&Tとともに2強といわれているベライゾン・コミュニケーションズが2020年1~3月期の決算を発表しました。
地域電話会社だったベル・アトランティック社が通信会社のGTE社を買収して2000年に誕生しました。
その後2014年に、英国ボーダフォンとの合弁事業を解消し、ベライゾン・ワイヤレスを完全子会社化して、巨大な通信会社へと成長してきました。
2018年秋にロサンゼルスなど一部都市を皮切りに「5G Home」という家庭向けのサービスを開始しており、5Gの展開では先行しています。
最新の決算動向
4月24日に発表した2020年1~3月期決算は、売上高が316億1000万ドルで、前年の同じ時期と比べ1.6%減少しました。
大半を占める通信サービスからの売り上げは、1.0%増とわずかながら増えましたが、設備関連の売り上げが16%減少したことから、全体の足を引っ張る格好になりました。
サービスや設備関連のコストは減りましたが、販売費や一般管理費などが増えたため、純利益は16.9%減少しました。
1株当たり利益は1.00ドルで、18.0%の減少となりました。
内訳をみてみましょう。
セグメント情報
ベライゾン・コミュニケーションズのセグメント情報は、2018年までは「ワイヤレス」と「ワイヤライン」という2つで公表されていました。
2019年以降は、消費者向けとビジネス向けという区分に変更されて公表されるようになりました。データは2018年から遡及されています。
消費者向け
消費者向け部門の売上高は、前年比でわずかに減少しました(1.7%減)。
このうち、通信サービスの収入は前年とほぼ横ばいでした。機器関連の収入が大幅に減少しましたが、その他の収入が増えたことで、その大部分は補われました。
新型コロナの影響で、会社が運営する小売店舗の約70%を閉鎖し、またサービス時間を短縮するなど、社会的な距離をとるという措置をとったことで、端末の販売に大きな影響があったとしています。
この1~3月期に、契約者数は電話が30万件、タブレットが22万件などの解約があり、新規加入と合わせた純減は52万件に達しています。解約数は、数値が確認できる2018年1~3月期以降では最多となっています。
ビジネス向け
ビジネス向け部門の売上高は前年比でほぼ横ばいでした(0.5%減)。
在宅勤務の増加でモバイルを中心に需要が拡大し、特に中小ビジネス向けの収入は増加しました。
契約者数は、電話が23万件、タブレットが6万件、その他の接続デバイスが17万件の新規加入があり、この1~3月期の純増は47万件と、こちらも数値が確認できる2018年1~3月期以降では最多となっています。
ガイダンス
新型コロナの影響から、2020年通期の見通しを変更しました。
それによると、4~6月期も大きな逆風になるとの前提で、1株当たり利益(非米国基準)の伸び率を、これまでの2~4%から、マイナス2%(2%減)~2%へと下方修正しました。
売上高に関しては以前のガイダンスを撤回し、修正後の見通しについては公開していません。
通信回線の容量、サービスなどの需要の拡大は続くうえ、新型コロナの混乱に対するサポート強化のため、設備投資は175~185億ドルという当初の見通しを変えませんでした。
まとめ
・2020年1~3月期の売上高は前年比1.6%減少
・1株当たり利益は1.00ドルで前年より18.0%増加
・店舗休業の影響もあり、消費者向け部門の売り上げは1.7%減少
・ビジネス向け部門は在宅勤務などの需要が増加
・2020年通期の利益成長見通しを下方修正