カード発行企業向けのオープンAPI手がけるマルケタ(2022年1~3月期)
アメリカでは、投資や資産管理、保険、決済、暗号資産やブロックチェーンなど、さまざまなフィンテック分野で続々と新たなプレイヤーが登場しています。
そんな企業の一つがマルケタ。クレジットカードやデビットカードを発行する企業向けにプラットフォームを提供している企業で、2021年6月にNASDAQ市場に上場しました。
マルケタってどんな会社?
マルケタは、自社が提供するサービスについて「モダンカード発行(modern card issuing)」と呼び、今日のデジタル経済の中核をなすものと位置付けています。
例えば、消費者がアプリで買い物をすると、「モダンカード発行」がバックグラウンドで機能して、注文した金額が間違いなく支払われます。
BNPL(後払い)で分割払いを利用する場合は、「モダンカード発行」がBNPL業者の決済カードにお金を移動させ、店舗への支払いに充てられます。
マルケタのサービスプラットフォームと機能
マルケタのプラットフォームでは、以下の3つの機能を提供しています。
①Marqeta Issuing(カード発行)
・顧客企業は、金融機関との接続やカードネットワークとの統合など複雑な仕組みを自前で構築することなく、ニーズに合ったカスタマイズされたカードプログラム(クレジット、デビット、プリペイドなど)を構築することができる。
・ATMやオンライン、店舗など使用される場所、国や通貨など、さまざまなユースケースに応じた設定(承認や使用制限など)が簡単に行える。
・機密性の高いカードデータをモバイルアプリに埋め込むことができる。
・カードのセキュリティ機能をカスタマイズできる。
②Marqeta Processing(プロセッシング)
・PIN、住所確認、カード検証値、3Dセキュア、EMVチップなど、ユーザー認証のためのさまざまなツールが利用できる。
・加盟店(カテゴリやグループ)、金額、ユーザー(グループ)、使用頻度、使用時間、開始/終了時間など、ユーザーが取引できる場所と方法を制限することができる。
・業界初のJITファンディング機能により、各取引をプログラムによりリアルタイムで承認し、資金を提供することができる。
・プラットフォームで処理される取引のリアルタイム更新を受け取ることができるため、ユーザーにリアルタイムでメッセージを提供できる。
③Marqeta Applications(アプリケーション)
・開発者ツールを提供し、カードやプログラムのシミュレーション、テストを行うことができ、新機能を迅速に展開することができる。
・不正行為を検知・防止する機能により、マネーロンダリング防止やコンプライアンス違反の監視を行うことができる。
・取引残高や承認、決済を長期間モニターでき、これら取引データの分析・解析ができる。
マルケタは、ブロック(旧スクエア)のキャッシュアプリやカードプログラムの管理を手がけているほか、アファーム(Affirm)やクラーナ(Klarna)といったBNPL企業、フードデリバリーのドアダッシュ(DoorDash)、買い物代行・配達サービスのインスタカート(Instacart)のプラットフォーム支援を行っています。
また、ビザ、マスターカードのほか、多くのカードネットワークと提携しています。
最新の業績動向
では、マルケタの直近の業績を見てみましょう。
5月11日に2022年1~3月期の四半期決算を発表しています。
売上高は1億6610万㌦で、前年の同じ期と比べ54.2%増加しました。
マルケタの売上高は「プラットフォーム収入」と「その他のサービス収入」に分けられていますが、「プラットフォーム収入」が全体の97%とほとんどを占めています。
この「プラットフォーム収入」は、プラットフォームを通じたカード取引から発生する手数料(インターチェンジフィー)のほか、各種のプロセッシングからの手数料が含まれています。
「プラットフォーム収入」は前年同期比51.2%増加しました。
「その他のサービス収入」は主にカードフルフィルメントサービスによるよるもので、前年同期比233.5%増と大きく増加しました。
支出面では、営業費用が前年比で倍増しました。
最大の要因は、人件費が1億㌦と前年比2倍以上に増加したことです。
その結果、営業損失は4,927万㌦と前年同期比で約4.6倍に膨らんでいます。
また、オプション取引の減損を計上したため、純損失は6,060万㌦と、こちらも前年同期比で約4.7倍となりました。
一方、1株当たり利益(EPS)は▲0.11㌦で、前年同期の▲0.10㌦とそれほど変わらない水準となっています。株式公開により、株数が約4倍に増えたことが要因です。
見通し弱く、株価は低水準
4~6月期のガイダンスが発表されています。
売上高の伸び率は、これまでの四半期と比較すればやや抑えめですが、それでも引き続き高い伸びを見込んでいます。
粗利マージンは、1~3月期が45%でしたので、かなり低下すると見込んでいます。
株価は、昨年11月に上場来の高値を付けた後、今年の2月まで下落が続きました。直近は10㌦前後と低水準での推移が続いています。
まとめ
・2021年6月にNASDAQ市場に上場した新興フィンテック企業
・カード発行のプラットフォームサービスを展開
・2022年1~3月期の売上高は前年比54.2%増加
・人件費倍増などコスト膨らみ、純損失は前年比5倍弱と急増
・4~6月期は引き続き売上高の高い伸びが続く見込み
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