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キャンベル・スープ決算発表(2020年2~4月期)
筆者がキャンベル・スープなるものを知ったのは、たぶん学生時代だったと思います。
しかもそれは、商品そのものではなく、有名なアンディ・ウォーホルの作品によってでした。
その当時、日本でキャンベル・スープが普通に販売されていたかどうかは定かではありませんが、いまでは、デパートでもスーパーでも手軽に買えるようになっています。
キャンベル・スープというと、赤い缶のスープが有名ですが、スープ以外にもパスタソースやサルサソース、スナック菓子、健康飲料なども手がけています。
最新の決算動向
6月3日に発表された2020年2~4月期の決算によると、売上高は22億3800万ドルで、前年の同じ時期と比べ14.6%増加しました。
新型コロナウイルス感染拡大により、在宅での食料品需要が高まり、特に保存がきく缶スープやスナック菓子などの販売数量が増加したことが要因です。
支出面では、売上原価やマーケティング関連費用が増えたほか、新型コロナ対応で従業員に対するインセンティブ報酬も増加しました。
また、昨年は計上されていたフレッシュグルメ事業にかかわる損失がなくなったこともあり、純利益は1億6800万ドルと前年比で倍増となりました。
1株当たり利益も0.55ドルで、前年同期比96.4%増となりました。
セグメント売上高
キャンベル・スープの事業は、2つのセグメントからなっています。
1つは「Meals&Beverages」です。
このセグメントは米国とカナダでのフードサービス事業が該当します。
主な商品としては、代表的なブランドである「キャンベル」スープのほか、ブイヨン、「プレゴ」ブランドのパスタソース、「ペース」ブランドのサルサソース、「プラム」ブランドのベビーフードやドリンク、「V8」ブランドの野菜ジュースなどが含まれます。
セグメント売上高は12億1000万ドルで、前年同期比20.3%増加しました。
外出制限や外食産業の営業制限などの影響で、フードビジネス向けは減少したものの、それ以上に在宅での需要が高まったこともあって、小売店での売り上げが大幅に伸びたことが牽引しました。
特に米国内でのスープ製品の売り上げは35%も増加したようです。
もう1つは「Snacks」です。
こちらのセグメントはスナック食品事業が該当します。
主な商品としては、「ペディグリーファーム」ブランドのクッキーやベーカリー、「ゴールドフィッシュ」ブランドのクラッカー、そのほかのスナック菓子やポップコーンなどが含まれます。
セグメント売上高は10億2800万ドルで、前年同期比8.6%増加しました。
こちらも在宅での需要が高まったことが大きく影響しました。
事業再編進める
キャンベル・スープは、2018年から事業再編に取り組んでいます。
まず2018年8月、オーストラリアのアーノッツ社と海外事業の一部を投資会社KKRに売却することを発表しました(19年12月売却完了)。
アーノッツ社はオーストラリア最大のビスケットメーカーで、チョコレートビスケットの「TimTam」はご存じの方も多いのではないでしょうか。
19年6月には、冷製スープ事業とフレッシュグルメ事業を、同9月には欧州のチップス事業とデンマークの焼き菓子企業であるケルセンを相次いで売却しています。
こうした売却によって得た資金で債務を返済し、現在は2つのセグメントで示されているコアビジネスに注力しています。
まとめ
・2020年2~4月期の売上高は前年比14.6%増加
・1株当たり利益は0.55ドルとほぼ倍増(96.4%増)
・新型コロナで在宅での食料品需要増が好決算要因
・海外事業を相次いで売却し、コア事業に集中
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