【ETFシリーズ②】バイデン新大統領就任で注目、クリーンエネルギー銘柄に投資したい
11月に投票が行われたアメリカの大統領選挙は、選挙人の投票でもバイデン前副大統領が過半数を獲得し、大統領就任が確定となりました。
バイデン新大統領の経済政策の柱の一つが、クリーンエネルギー分野の強化です。EV(電気自動車)への支援やエネルギーインフラなどへの巨額投資を行うことが公約となっています。
そうなると、これらの政策に関連のある銘柄には注目が集まります。
実際に、すでにこうした銘柄には資金が集まり始めています。
トランプ政権が新エネルギーには背を向けていただけに、バイデン新大統領で大きく方向性が変わるとなると、より期待は高まります。
でも、日本にいる私たちにとって、どの銘柄が関連企業なのかは、なかなかわかりません。
そんなニーズにこたえるのもETFの良いところです。
クリーンエネルギー技術に特化したETF
クリーンエネルギー関連銘柄を投資対象としたETFとしては、ブラックロックが運用する「iシェアーズ グローバル・クリーンエネルギー ETF」(以下、ICLN)があります。
このICLNは、2008年6月に設定され、クリーンエネルギー分野の企業で構成される「S&P Global Clean Energy Index」という指数に連動する運用を行っています。
設定当時は、原油価格が1バレル=140ドルを超え、史上最高値圏にありました。そのため、石油に代わる新しいエネルギーへの期待やニーズが高まっていたことが背景にあります。
ところが間もなく、リーマンショックが発生し、世界経済は大きなダメージを負います。生産、消費、貿易が大きく縮小し、エネルギー需要も大きく減退します。原油価格も一気に30ドルまで急落しました。
そのため、新エネルギーに対する期待や関心も薄れていき、このETFは出足でつまずいた格好となりました。
それ以降、長らく価格は10ドル前後と低水準で推移し、取引高も少ない状況が続いてきました。
今年2020年夏、大統領選挙でバイデン氏が民主党の大統領候補に指名され、経済政策を発表してから、大きく動きだしました。
取引高が急増し、価格も直近では25ドル近くまで上昇しています。
どんな銘柄があるのでしょうか。
12月14日時点の組み入れ銘柄数は30銘柄です。
組み入れ比率のトップ5は以下のようになっています。
1.PLUG POWER INC
2.ENPHASE ENERGY INC
3.MERIDIAN ENERGY LTD
4.CONTACT ENERGY LTD
5.VERBUND AG
PLUG POWER は米国の燃料電池メーカーで、産業機器向けの液体水素燃料や、通信向けの燃料発電装置などを開発・製造しているメーカーです。
ENPHASE ENERGY は太陽光発電、貯蔵、通信を一体で管理するマイクロインバータシステムを提供しています。
MERIDIAN ENERGY はニュージーランドの電力会社で、100%再生可能エネルギーによる電力供給を行っています。
CONTACT ENERGY もニュージーランドの電力会社で、再生可能エネルギーによる電力のほか、天然ガスも販売しています。
VERBUND AG はオーストリアの電力会社で、発電所の建設・運営から、送電網の運営管理、家庭や企業向けの販売を一貫して展開しています。
新しいETFが登場
クリーンエネルギーへの関心や期待の高まりを受け、新しいETFが登場しました。それが「グローバルX クリーンテック ETF」(CTEC)です。
今年10月27日に設定されたばかりの、まだ誕生間もないファンドです。
そのCTECが、今月から日本でも取引できるようになりました。
SBI証券では12月4日から、楽天証券では12月11日から取り扱いが始まっています。
環境への悪影響を抑制、軽減するテクノロジーの需要の高まりから恩恵を受ける企業への投資を目指します。再生可能エネルギーの生産、エネルギー貯蔵、スマートグリッドの実装、住宅・商業エネルギー効率、環境汚染を低減する製品・ソリューションの生産と提供に関与する企業を含みます。
これが、このETFの投資対象であり、運用方針です。
運用がスタートしてまだ1か月余りですが、環境の追い風もあり、まずは順調な滑り出しと言っていいのではないでしょうか。
同じく、12月14日時点の組み入れ銘柄をみてみましょう。
38銘柄を組み入れています。
組み入れ比率のトップ5は以下の通りです。
1.ENPHASE ENERGY INC
2.SOLAREDGE TECHNOLOGIES INC
3.PLUG POWER INC
4.XINYI SOLAR HOLDINGS LTD
5.VESTAS WIND SYSTEMS A/S
ENPHASE ENERGY とPLUG POWER は ICLN でも上位5社に名前がありましたね。
SOLAREDGE TECHNOLOGIES はイスラエルの企業で、太陽光発電システムの最適化インバータソリューションを手がけています。
2019年2月に、日本の太陽光発電市場向け環境ソリューション提供で、オムロンとの協業を発表しています。
XINYI SOLAR HOLDINGS は、太陽光発電用ソーラーガラスの製造・販売を行う中国の企業です。
VESTAS WIND SYSTEMS はデンマークの企業で、風力発電タービンの開発・製造・販売・運用を行っています。
テーマ型は見極めも大事
クリーンエネルギーに関連する2つのETFを見てきました。
ICLNの30銘柄と、CTECの38銘柄をみてみると、どちらのETFにも含まれている銘柄が複数あります。
一方で、EVトップでソーラーシステムも手がけるテスラや、フロリダ州地盤の電力会社で風力や太陽光発電では世界最大のネクステラ・エナジーといった企業は含まれていません。残念ながら、日本企業の名前もありません。
どういった銘柄が組み入れられているのか、ということは運用会社のホームページや発表されている資料から確認することができます。
クリーンエネルギーは地球温暖化をはじめとする気候変動に対応するため、長期的に求められるテーマであることは間違いないでしょう。
しかし、別の有力なテーマが出てきたような場合には、そちらに関心が移って資金もシフトしていく可能性は十分考えられます。これまでも、そういうケースはしばしばみられました。
そうすると、期待しているようなパフォーマンスがあがらなくなることも考えられます。
特定のテーマに注目して投資する場合は、このあたりの見極めに注意する必要があります。