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AT&T決算発表(2020年1~3月期)

AT&Tという会社をご存じですか?
(あ、昨日、「アメリカの通信会社の2強」って書いてましたね)

電話を発明したことで知られるグラハム・ベルが設立した「ベル電話会社」をルーツに持つ会社です。
旧AT&Tが長距離通信と地域電話会社に分割され、長距離通信事業だけが残されましたが、2005年に分割された地域会社の1つであったSBCコミュニケーションズに逆買収され、AT&Tの社名を引き継いで現在に至っています。

2015年に衛星放送のディレクTVを買収、2018年には映画会社ワーナー・ブラザーズやニュース専門チャンネルCNNを持つタイムワーナーを買収し、コンテンツ配信事業にも注力しています。

最新の決算動向

4月22日に発表した2020年1~3月期決算は、売上高が427億7900万ドルで、前年の同じ時期と比べ4.6%減少しました。
事業の中核である通信事業の売り上げが2.6%減少したほか、ワーナーのコンテンツ事業が12.2%減少したことが要因です。

一方で、設備関連の費用、放送やオペレーションに関する費用、一般管理費などコストを抑えた結果、純利益は49億6300万ドルと前年比14.1%増加しました。

1株当たり利益は0.63ドルで、12.5%の増加となりました。

なお、新型コロナの感染拡大や回復の影響は見通せないとして、収益見通しや財務のガイダンスを取り下げています。

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セグメント情報

内訳をみてみましょう。

AT&Tは通信会社ですが、タイムワーナーを買収したことでコンテンツ事業も加わりました。

現在のセグメントは次のようになっています。
Communications(通信事業)
 ・Mobility(モバイル)
 ・Entertainment Group(エンタテインメントグループ)
 ・Business Wireline(ビジネスワイヤライン)
WarnerMedia(ワーナー)
 ・Turner
 ・Home Box Office
 ・Warner Bros.
Latin America(中南米事業)
Xandr(広告部門)

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Communications(通信事業)

「モビリティ」は、ワイヤレス通信サービスと機器を提供する事業です。
この部門は堅調で、売り上げは前年同期比でほぼ横ばいを維持しました。
この1~3月期の契約者数の純増は331万件でしたが、そのほとんどが接続用のデバイス端末でした。

「エンタテインメントグループ」はコンテンツをユーザーに提供する(オーバー・ザ・トップ)事業です。主にディレクTV関連で、配信プラットフォームでの広告販売も含まれています。
この部門の売り上げは前年同期と比べ7.1%減少しました。
この1~3月期の契約者数は、テレビとブロードバンドあわせて110万件の純減となりました。

「ビジネスワイヤライン」は企業向けのサービス部門で、旧来からの電話サービスも含まれます。
この部門の売り上げは前年同期と比べ2.2%減少しました。

WarnerMedia(ワーナー)

ワーナー部門は、映画、テレビ、ゲーム、その他のコンテンツの開発、制作、配信サービスを行う事業です。
このうち「Turner」と「Home Box Office」はテレビでの有料配信やネットワークサービスで、「Warner Bros.」は映画、テレビ番組の制作、配信、ライセンスのほか、ゲームの制作と配信が含まれています。

この部門の売り上げは前年同期と比べ12.2%減少しました。
テレビ番組の配信サービスはほぼ前年と同水準を維持しましたが、広告収入が減ったことと、新型コロナの影響で映画などの制作が中断したことが大きな要因となっています。

Latin America(中南米事業)

この部門は、文字通り、中南米地域でのワイヤレス通信サービスやコンテンツ配信サービスの提供からなっています。
ワイヤレス通信サービスは増えましたが、コンテンツ配信が減ったため、部門全体の売上高は前年同期比7.4%減少しました。

Xandr(広告事業)

全体に占める比率は非常に小さいですが、売上高は14.8%増加しました。

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まとめ

・2020年1~3月期の売上高は前年比4.6%減少
・1株当たり利益は0.63ドルで前年より12.5%増加
・通信部門はワイヤレス通信が横ばいも、ディレクTV関連が減少
・ワーナー部門は広告と新型コロナ影響の映画が減少
・2020年通期のガイダンスを取り下げ


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