【MTGAヒストリック】昆虫王者、哲子ング
ファイレクシア:完全なる統一(ONE)は《逃亡者、梅澤哲子》デッキに大きな衝撃をもたらした。
かつて《逃亡者、梅澤哲子》デッキは、《楕円競争車》《ネズミの群棲》などを採用した高パワー型、《厳戒態勢》《突撃陣形》などを採用した高タフネス型に二分されていた。そこに新たなる型がもたらされたためである。
新たなる型、それはパワー1の毒性クリーチャーによる毒殺型である。興味深いことに、この毒殺型哲子は、ネタデッキの域を出なかった従来の哲子と異なり、ランク戦を勝ち上がれる水準のデッキである。
ヒストリックの制限時間は4ターン
スタンダードにおける毒性アグロはダニ・トークンがアタッカーとして優秀である。これは大型公式大会の優勝実績がある強力な戦術だが、4ターンキル上等のヒストリックでは絶望的に速度が足りない。
ヒストリックにはパイオニア、モダンですらフォーマット違反の強力な踏み倒しカードが使用可能であり、4ターン目以降はコンボデッキの独擅場になる。畢竟、ウィニーデッキの賞味期限もそこまでであり、ダニ・トークンではこの速度に追いつけない。例えば《スクレルヴの巣》は2ターン目に唱えても、4ターン目までにたった1体しか攻撃できない。
実際、ゴブリン、エルフ、イゼット果敢といったヒストリックで人気のあるウィニーデッキも、これに間に合うように構築されている。そしてこれらも当然の権利のようにJumpStart産や《表現の反復》といった強力なカードを有している。
《逃亡者、梅澤哲子》がランク戦の舞台に上がるには、ONEのカードだけで無く、ヒストリックでしか許されないような強力無比な戦術が必要だった。そして、アルケミー:ファイレクシアのカード3種によって毒性アグロは遂に「完成」した。
デッキレシピ
デッキ解説
動かし方
このデッキの強みは大雑把に言えば、相手が抵抗しづらいことである。
キルターンが《神の怒り》より短く、ライフ回復は毒カウンターを癒せないので、白の一般的なウィニー対策では敗北を引き延ばすことが出来ない。ブロッカーを並べても《逃亡者、梅澤哲子》で回避されるため、相手は抵抗が難しい。
基本的には引いたカードを順番に出して片っ端から攻撃させれば良い。意識するべきなのは、このデッキの防御能力は0に等しいということである。接死を上手くチラつかせて相手に攻撃を躊躇させたり、除去が飛んでくる気配を察知して一番強いタイミングで《敬慕される腐敗僧》《屍気の拝領》を使わないと、あと1歩足りず負けるなんて事態になりかねない。
ちなみに、4色アグロというイカれた色拘束をしているが、ヒストリックはクリーチャーに使える5色土地が6種以上ある多色土地インフレの終末期に突入しているので何も問題が無い。このデッキでは制限無しで使える黒と青マナを確保するためにショックランドを採用している。
アルケミー産カードについて
このデッキでは、スタンとはうって変わってアルケミーで登場した昆虫3種が攻撃の軸となっている。
《ファイレクシア病の昆虫》は最強の毒性クリーチャーと言って良い。攻撃するたびに与える毒カウンターが1個ずつ増えていくので、これ単体が攻撃するだけでも僅か4回の攻撃で勝利できる。1マナのクリーチャーが与えて良いダメージ量では無い。この隣に昆虫が1体居るだけで4ターンキルが成立、ヒストリック水準を保証する最重要カードである。
《頭蓋穿ちの虻》は地味ながらも腐る場面が無いナイスカード。飛行が付いているので、工夫しなくても攻撃を通しやすく、手札への毒カウンターの課税も合わせて安定して2,3個の毒を稼いでくれる。
《ノーンのフェッチリング》も個人的には4枚採用安定の重要なカード。平地を生み出す能力が使ってみると想像の何倍も強く、デッキの土地を切りつめても土地事故を防いでくれるので、アグロなのに土地が止まらないというルール無用っぷりを見せつけてくれる。堕落後がひたすらに強く、クリーチャー2体分になるだけでなく、《逃亡者、梅澤哲子》や《別館の歩哨》を連れてきて攻撃の道を切り開き、試合のハイライトになることもしばしばある。
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