大学生が京都から東京まで歩く話⑤
6日目
今日は名古屋に入った。今までの道のりとは違い都会だったためテンションが上がった。名古屋駅の近くにあるDIORの前で記念撮影した。こんな汚い奴らが店の前に立って写真を撮影するなんてとんだ営業妨害とは思いつつ。そんなことをしながらたくさん笑った。イオンモールに寄って食料を調達した。イオンを出ると名古屋を南下する道のりへと切り替えた。観光してる暇なんてない。今日は大きな事件もなく順調に歩き進めた。東海道と書いた案内標識を見つけて写真を撮った。ここら辺で気づいたことがある。それはタクミは21時を過ぎると低電力モードになり一言も話さなくなるのだ。そんなことで既に低電力モードのタクミをいじってウサギとネオが盛り上がっていると順調に目的地も近づいていた。
順調と言っても終盤に差し掛かると足は棒なのだが。割とあっさり目的地にしていた刈谷の河川敷についた。
ネオ「なんか今日楽やった」
ウサギ「わかる。温泉の効能かな」
タクミ「・・・」
ネオ「明日雨降るらしいからみんな橋の下に入っとこう」
ウサギ「まじかー、嫌やけど明日のことは明日考えよー。寝よか」
寝袋に入りながらいつものようにご飯を作って寝た。
7日目
ペチャペチャという水が滴る音で目が覚めた。寝袋から顔を出して音のする方を見ると橋の裏についたパイプから雨水が落ちてきている。その直下はタクミが昨夜寝床にしていたところであった。そこには大きな水溜りが出来ていた。だがタクミは昨晩寝ついた所から移動していてウサギの足元にいた。ウサギとタクミはTの字になっていた。何があったのか事情を聞くと寝ている時、顔に冷たさを感じたため目を覚ますと上のパイプから雨水が滝のように落ちてきていたらしい。寝袋はびしょ濡れでタクミは寝不足の顔をしていた。これで朝からウサギとネオは大笑いした。実にたくみらしい。このエピソードは『タクミ陸溺れ事件』として語り継がれるのだった。
今日は雨が降っていたから出発準備の心が重い。ゆっくりご飯を食べて、川に石を投げて遊んだりした。出発は遅めで1130になった。雨の中に飛び出して傘も差さず歩いた。まるでブルーハーツのトレイントレインの歌詞のようだ。雨水のドラムに乗りながら。
ピンポンパンポン❗️
ここで新ルール追加のお知らせです。商店と名の付く文字を見つけたらウサギとネオがタッタラタラタラタンタンッ!とお馴染みの笑点ソングを歌いその後拓実がまるで笑点の様に上手い事言わなければならない。そんなゲームが始まった。安城市の商店街で短いスパンで5回ほどやって早速楽しんだ。タクミにとっては地獄の時間だっただろう。途中でスーパーに寄って休憩した。瓶コーラとココアシガレットを買った。
ネオ「一本入れてきていい?」
ウサギ「俺も行くわ」
2人は喫煙所でタバコの様にココアシガレットを吸った。
タクミはトマトをかじっていた。
今日も比較的歩きによる疲労は少なかった。理由としては休憩地点を明確に決めることによりモチベーションを保ち続けれた事が大きいと思う。これはネオの考えた策略だ。今日の寝床は海の横だった。蒲郡(がまごおり)という初見殺しの地名の場所だ。暗くて海はよく見えないけど明るくなった時を楽しみに今日は寝る。今日はテントを張って寝る。
シーサイドで寝て良いマインドで明日も挑みたい。