見出し画像

#38 「強み」と「スキル」は全く別物ですよという話。

就職や転職の際、自分の強み(得意なこと、長所)と、スキル(これまで身につけた知識や技術、経験)とを一緒くたに考えてしまう人がいます。

人材市場でのマーケティング的に考えると、スキルや経験も強みの1つになりうるのですが、「自分はどんな仕事をやりたいか?」を考える場面においては全く異なる概念です。

ここを分けて考えないと、手持ちのスキルや過去の経験に引っ張られすぎて、自分本来の強みや志向性を見失う危険もあるので要注意です。

強みとスキルの違いは、「後天的に身につけられるかどうか」

強みとはいわゆる先天的に身につけられた「資質」のようなもので、どんな仕事にも通用し、やや抽象的な形で表現されることが多いです。

例:初対面の人と打ち解けるのが得意、物事の隠れた問題に気づくのが得意、環境の変化に適応するのが得意、決まった目標に突き進むのが得意、等。

対してスキルというのは、後天的に学べたり経験できるもので、具体性があって外部から評価がしやすい一方、ポータブル性にやや欠け、時代と共に過去のものになりやすい特徴があります。

例:プログラミングができます、看護師免許持ってます、経理経験あります、広告業界10年います、等。

過去のスキル・経験に引っ張られ、新しい可能性が狭まる危険

「スキルや経験を活かして転職しましょう!」という発信者やエージェントも多くいますが、過去のスキルや経験ありきの職場選びは、

・選択肢が一気に狭まり、自分の適性や志向性とかけ離れる。

異なる経験同士の掛け算ができず、希少性向上やシナジーが図れない。

という危険性があります。

本音のところでは新しく他にやりたいことがあったり、今の仕事が向いていないと薄々感じてたとしても、

「せっかくお金かけて勉強してきたんだし…」「頑張って取った資格を使わないと…!」「長く勤めた○○業界でしか働けない…!」という、過ぎ去った過去に引っ張られすぎている方が多くいらっしゃいます。

サンクコスト効果」という、これまでの投資してきた時間やお金を取りもどせねばという心理も相まってのことですが、そういった過去しがらみによって、心の声を押し殺し続けている人とお会いすると、大変胸が痛みます。

スキルや経験を第一に考えるのは、「就職/転職先の決定=ゴール」とするのなら正しいかもしれませんが、それが自分の幸せにとって正しい考え方かどうかはまた別の話です。

経験やスキルというしがらみをほどいて、強みと向き合いましょう。

上記の状態は、
・学校等で学んだ知識を活かして専門職に就職した人
・特定領域でのビジネス経験が豊富な人
・人材流動性の低い業界に身を置く人
などに多い傾向です。

しかしこれからの時代は、経験は深さよりバリエーションの方が重視されつつあります。

スキル、経験、知識は後からいくらでも身につけられますし、過去のインプットは磨かなければあっという間に陳腐化します。

一方、自分の強みというのは、人生の中で大きく変化することはあまり無く、活かし方次第で価値を発揮し続けるものです。(使い方次第で弱みにもなります。)

そのため、強みとスキルを切り分けた上で、

強み→他者とのふれあいや対話の中で探し出し、その活かし方を考える。
経験→過去に囚われることなく、積極的に増やす。(次にどんな経験を増やそうか?を定期的に考える。)

というのが正しいスタンスだと僕は考えています。

「これやりたいな~勉強したいな~」と思ったことを叶えるインフラは十分整っています。

ご自身の強みを活かしつつ、初めてのことでも臆さずに挑戦し、スキルのバリエーションを増やしていけるようなキャリア選択をしていきましょう。

いいなと思ったら応援しよう!