#55 「仕事を通して何を実現したいか?」が明確になっている人の強さ
キャリアアドバイザーという職業柄、
「仕事で成果を出せる人と出せない人」や「転職がうまくいく人とうまくいかない人」の違いを観察する毎日なのですが、
上手くいく人の共通点の1つとして、「仕事を通して自分が何を得たいのか?が明確であること」というのがやはりあるなあと感じます。
僕が出会ってきた、仕事への目的意識が明確な人たち
「仕事を通して何を得たいか?」という目的意識は人それぞれかと思いますが、
僕の場合は、
1社目の営業マン時代では、他部署や取引先との折衝経験を通して、相手立場で物事を考える力や、戦略的に売上を作る力を身につけること。
2社目の人材紹介会社では、対個人での信頼関係構築、広い業界の知見を身に付け、キャリア支援の幅を広げていくこと。
を目的にして就転職を行い、目の前の業務にあたってきました。
転職支援の現場で優秀な方々にお会いしていると、誰もが僕とは比べものにならないほどの解像度で、仕事に対して何らかの目的意識をお持ちで、いつも辟易する毎日です。
中には、「福祉における非生産的な現場を是正するため、DX事業を運営できる自分になりたい!」といった具合に、自分が社会に与えたい分野やインパクトの規模を明確にできる人もいますし、
一方で、本業はライスワーク(生活のための仕事)と完全に割り切り、地域のボランティア活動の中で、自身の自己実現を叶えている人もいます。
それぞれ、仕事で何を得たいのかが明確な人に共通しているのが、
「全て自分自身の選択で人生を歩んでいるため、後悔や不満は限りなく少ない。」という感覚です。
この感覚を早期に持てることは、自立した社会人としての条件の1つなんじゃないかと個人的には思っています。
他人の価値観に振り回されず、自分自身の指針を確立する。
社会人たるもの、何かの社会課題の解決を目標にしなくてはいけないと感じる人もいるかと思いますが、壮大な目標を全員が定める必要はありません。
大切なのは、目的のスケールや社会貢献度合いなどではなく、
「それが自分自身の内側からきた納得感がある目的なのか?」という観点です。
情報が溢れている現代の世の中、
単なる憧れや、親や世間体を大切にして仕事を選んでしまったり、周りと比較して常に隣の芝が青く見えてしまいがちです。
個人としての生きる目的というのは、
「〇〇の分野を極めた人間になりたい。」
「きちんと余暇を楽しめる時間的余裕が欲しい。」
「家族の健康を第一に持続可能な生活をしていきたい。」
など、限られた分野や主観的なものでよく、それを他人が否定する権利は全くありません。
「他人の価値観に依らない自分独自の指針」を持ち、仕事はそれを叶えるための手段でしかないとして思える人が、不平不満を抱え続けることなく、前向きに仕事に取り組めるのではと感じるのです。
「自分独自の指針」が自分を助けてくれ、転職の武器にもなる。
自分独自の指針や、仕事で自分が何を得たいのか?が明確になっている人ほど、
仕事で多少苦しくとも、そのほとんどを「自分の目的のために乗り越えるべきハードル」として捉え直すことが可能になります。
「やらされてるからやる仕事」という感覚がないため、不用意にモチベーションに左右されず、常に目の前の仕事に当事者意識を持って取り組み、高い成果も出せるようになります。
一方、1つの組織で長くいると、徐々に当初の目的と進んでいる方向がズレてきたり、その組織で得られる経験に歩留まり感が生じます。
その際、「仕事は自分の目的を叶える手段でしかない」と捉えることができていれば、
方向感覚のズレを察知し、自分にとってベストなタイミングで転職をしたり、仕事の目的をアップデートしたりなどの対策が可能です。
また、転職活動の際にも、
「〇〇が叶えられないから現職を抜け出し、△△な環境な御社へ転職にたい」と、説得力をもって企業へアピールすることができます。
目的意識を持ちながら働いてきた人材ですので、面接官としても、高い成果を出せそうなイメージができ、選考を優位に進めることができます。
少しでも納得感のあるキャリア選択をし、幸せを実感し、選ばれる人材になるためにも、
「なぜ自分はこの仕事をしているのか?」を言語化してみてはいかがでしょうか。