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漆塗りの家に生まれなかったら、漆器を使っていないだろう。食洗機で使える食器をそろえただろう。ある日、割れた器は金継ぎで直せるんだと知って、そこから漆って変わった物質だなと思って、漆器を気にするようになるだろうか。着物や麴などの文化に興味が出てきて、漆にも興味が広がっただろうか。
ああ、そうだ。我々はモノを売ってるんじゃない、文化を創っているんだ。
茶の美術は好きだ。歪んだ美しさが好きだ。お点前は嫌いだ。作法の意味がわからん。『茶道の正体』(矢部良明著、2022)を読んだ。茶の湯が誕生してから500年も経つのだから、形骸化して、型の稽古になっても仕方がないという。確かに。では、私は好きに茶を飲み、好きに茶道具を作ろう。
キチンと着ないといけないものが嫌いだ。左右対称にキレイに結ばないといけない制服のリボン、衿合わせだの背中心だの気になる着物。キチンと着なくてよい着物は大好きだ。あー、私はアシンメトリーが好きなんだな。
不昧公の偉功の恩恵により、我々は今まで生きてくることができました。その恩恵に報いるためにできること、それは、 日々研鑽を重ねること、 公の愛した美術工芸を 世界の人に伝え愛好家を増やすこと、 挑戦をし続けること、 なのであろうと想像いたします。