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「山のは」より - 2023/8/15 立秋

拝啓 お盆です。田舎のお盆は忙しいと聞きます。自分自身は、今年は帰省もせずなので、むしろ仕事が捗る連休ですが、まわりはいつもより少し慌ただしい空気が漂っています。

普段静かな我が家の前をいつもより多くの車が行き来し、時々、道案内を求められたりもします。しかしこちらはといえば、引越してきてまだ2ヶ月の新参者なので、「たぶん…」「…と思います」などと歯切れの悪い返事しかできないので申し訳ない気持ちになります。早く道案内くらいはできるようにならないと。

夏の風物詩といえば、スイカと草刈りです。

まずは涼しげなスイカの話から。こちらに引越してきてからというもの、本当に色々なものをお裾分けでいただきます。引越し直後にいただいた大量の玉ねぎを皮切りに、お米、青梅、きぬさや、えんどう豆、せり、トマト(苗)、ジャガイモ、ニンニク、カモミール、ねぎ、きゅうり、ピーマン、ズッキーニ、ししとう、茄子、白茄子(初めて食べましたがとても美味しい)…などなど。子どもたちが飛びつくのはフルーツの数々、ぶどう、メロン、桃、ブルーベリー。どれも最高に美味しいのです。

留守の間に玄関に置かれていた野菜たち

何かお返しをしようにも、お返しを持っていった先で「これ、持っていって!」と袋いっぱい、箱いっぱいにいただいてしまい、畑ができない自分は、物では到底返しきれないと思い至ります。何か自分のできる形でお返しできるようにならなくては、と考える日々です。

そしてこの夏大変お世話になっているのがスイカです。なんとなくスーパーでスイカを買って帰ったその日、まるまると大きいスイカを二玉いただく、というハプニングもありました。

しかし、スイカは多くても全く困りません。あの甘さと清涼感は本当に暑さにぴったりで、よくぞこのフルーツ(ただしくは野菜)が夏に実ってくれたものだと、感心します。とある日、長男は枕にもしていました。ひんやりして気持ちが良いそうです。実りのありがたさ、季節の移ろいの美しさ、知っていたつもりでしたが、より鮮明に感じる日々です。

子どもたちの手が止まらない

さて、もう一方の草刈りは大変です。これも噂には聞いていましたが、本当に大変です。今年は異常な暑さも手伝ってか伸びが良いようで、梅雨時期にあくせくと刈った草が、ひと月あまりで倍増したかと思うほど伸び盛っています。

家の前の草刈りはさておき、こちらでの任務の一つは漆畑の草刈りなので、これはやらないわけにいきません。畑の管理は4年目になるので、刈り払い機の使い方もだいぶ慣れてきました。しかし、真夏の草刈りはやはり大変です。熱中症にならないよう、日陰で休めるようにタープを張り、給水と塩分補給もこまめに。

漆も草も元気な夏

私たちの畑は数名で手分けして管理しているので、仲間とわいわい楽しくできるのですが、地元の方々は基本的に一つの畑は一人で管理されています。それがどれほど大変なことか、その一端を体験している程度ですが、想像が及ぶようにはなってきました。漆畑を育ててくださっている方々の活動が、いかに私たちの生活と日本の文化を支えてくれているか…多くの方に伝わって欲しいことです。

車を走らせながら眺める奥久慈の景色は本当に綺麗です。漆に限らず、畑や田んぼを作ることの大変さと尊さを感じます。是非一度、見に来てください。まだ不案内ですが、お待ちしております。 敬具

宜しければ「工房 山のは」の活動にご支援をお願いいたします。いただいたサポートは、奥久慈漆の植栽、漆畑の管理等の活動に充てさせていただきます。