強いが無敵ではない。特殊作戦部隊
前回の記事でお気持ち表明混じりに特殊作戦部隊の性質に関して書いたが、今回は弱点に関して解説する。
特殊作戦部隊であるが、その任務の性質上、敵地域における少人数かつ秘匿性、機動力に優れた活動を要求されるため、装備品、食料等の補給、味方の数に限界がある。故に、生存自活(サバイバル)や敵対勢力の装備品を鹵獲、取り扱う能力に長けている必要があるわけだが、これは継続的な作戦遂行能力、火力の面でどうしても不安があり、また、敵地域の文化、慣習、言語、流行等に精通していないとどうしても完全に溶け込むのは困難という障壁がある(韓国に対する朝鮮人民軍の工作員が浸透工作を行った江陵浸透事件においては、民間人にバレてしまっている)。
また、敵地においてこれらの状況で任務に当たる隊員達の心理的負担は計り知れない。特に特殊作戦部隊は「政治」に絡む任務が多く、担う任務が「国家の未来」に直結してしまうことも珍しくないという性質がある。
メディアにおいて少なからず「特殊作戦部隊員1人は一般的兵士200人の強さに相当する」等と謳われるが、あれは単純な殺し合いの強さではないということは押さえておきたい。特殊作戦部隊10人に対して一般歩兵部隊2000人で拮抗するかと言われたらそんなことはない。あくまでも特殊作戦部隊は特殊作戦における任務遂行のための部隊であり、脅威の掃討を任務とする一般部隊とは全く性質が異なる。
「いわゆる特別軍事作戦」において、ロシア連邦軍は軍最高の特殊部隊であるKSSO「特殊作戦軍」をウクライナ国防軍との「殴り合い」に投入し、少なくない死傷者を出している(「少なくない」どころではないらしいが…)。