銃を扱う基本of基本 フィンガーオフ
昨今X(旧Twitter)上にて、銃を構えてポーズを取るコスプレイヤーに対して外野が「指が掛かってる!!」等と指摘している場面をよく見る。確かに構えてない姿勢とかで有れば分からないでもないが、「そういう場面でもないし、良いだろ別に」というのが筆者の意見ではある。
★銃を扱う基本of基本★
筆者の古巣は勿論ながら、銃を扱う団体では殆ど確実に叩き込まれる(……ハズ…)の原則がある。筆者の古巣では
「絶対安全守則」と「レーザールール」と呼ばれていた。
「絶対安全守則」
全ての火器は装填済みのものとして扱え
射撃を決意した時以外、引き金に指を掛けるな
銃口は常に安全な方向へ向けよ
標的及びその後方を確認せよ
「レーザールール」
銃口から常に殺人光線が出ているものとして、武器を取り扱うルール
細部解説は省くが、これらを暗唱できない限り、武器を取り扱うことは許されない。筆者の古巣は日本のあらゆる組織の中でも特にこれらの統制に関する教育が厳しく、一度逸脱すれば容易に人間が死ぬ以上、教官の熱意の籠もった厳しい「指導」を戴いた。
さて、今回語りたいフィンガーオフであるが、訓練でどのように矯正したかは恐らく語らない方が良いであろうから解説しない。
銃は指一本で人間を殺傷出来る恐ろしい道具である。その一方で、基本的には弾丸の発射には引き金を引く必要がある(厳密に言えばこれだけが絶対条件ではないのだが、ややこしくなるので割愛)。
指を引き金に掛けない
銃口を厳正に管理する
安全装置は射撃しない時は掛ける
薬室に弾がない
弾倉が不要な時に着いてない
等などの条件が揃えば、銃による事故は大幅に抑えられるし、発生したとしてもリスクを低減出来る。
故に、まともな軍隊、警察組織等、団体、銃のオーナーであれば、上記5項目は確実にチェックする。
さて、筆者達は古巣組織にて訓練中、教官に厳しい愛の鞭を受けていたのだが、そんなある日のことである。
食堂にてデザートのバナナが出た。それを握る同期の人差し指がピーンと真っ直ぐに伸びた状態で異様に上に離れていた。中指や薬指は普通にバナナを握っている。普通なら意識せずにバナナを手に持てば中指と人差し指がくっつくか少し隙間が空く程度であろう。
「お前バナナ持つ手までフィンガーオフやねぇか!!」
同期全員爆笑したのは言うまでもない。事実、拳銃を使用した厳しい訓練が連日続き、嫌でもそうなるのは自然とも言えた。実際バナナ持ったままフィンガーオフしてみたら恐ろしい程にしっくり来たので……。
※フィンガーオフ→引き金に指が掛からないように指を引き金より遥かに上に置いた状態
さて、同期を笑ったのは良いが、その日の私は旗手だったため、食堂から教場がある建物まで炎天下の中フル装具で坂道を課程旗を持って走らなくてはならなかった。
走ってる最中、ふと旗竿を持つ自分の右手を見て唖然とした。
私の右人差し指もまた、見えない引き金を外すように他の指を大きく離れ、真っ直ぐに伸び切っていたのである。