至近距離射撃をやるならミット打ちをやっておいた方が良いと思う理由

 筆者はかつて某組織にて働いていた時に64式7.62ミリ小銃、9ミリ拳銃、9ミリ機関拳銃、5.56ミリ機関銃MINIMIを扱った経験がある。他の銃はせいぜい交流等で触った程度しか無いので、語る事は出来ないが、軍用小銃、軍用拳銃という括りである以上そんなに変わることは無い話をしようと思う。


★舐めてはいけないが………★

 筆者が扱った小銃は7.62×51ミリ減装弾という強力な弾薬を放つ。これは西側諸国がNATO規格の弾薬として制定している.308ウィンチェスター弾の発射薬の量を減らしたものであり、64式小銃を日本人の体格に合わせてコントロールしやすくしたものであると、ネット上で謳われている。
 さて、前置きで書いた通り、筆者は64式小銃以外を射撃したことがない。5.56ミリ小銃など撃ったことがないので、いくら「64式は反動が強い」と言われても比較対象が存在しない。故に、当小銃と拳銃を基準にタイトルにあった「ミット打ちをやっておいた方が良いと思う理由」を書きたい。
 筆者はかつての職務上、ありとあらゆる姿勢や動きながらでの射撃を経験してきた。恐らく殆どの軍隊、法執行機関において「反動に負けるな」と教育を行う。重心を落とし、背をやや前傾気味にし、膝をクッションを効かせる。これが一般的によく教育する射撃姿勢(立射)である。しかし、実際のところ、反動が強いと言われる64式小銃であっても、ダブルタップ(1発目は狙いを定めて素早く2発単発で発射)やコントロールペアーズ(照準をしっかり行い射撃、反動で跳ね上がった照準を再び敵に合わせて射撃する。ある程度速度が要求される)で射撃したとしても、大した反動に感じない。よっぽど疲労困憊でヘロヘロの変な姿勢とかの状態なら確かに危ないが、正直背筋を直立にしてても全く問題なく撃てる程度の衝撃である。
 筆者は立射で小銃及び拳銃を打つ際、慣れた格闘技の構えに準じた姿勢をオススメしたい。突き、打ち、蹴りを確実に行い、尚且つ力負けしない姿勢なら射撃の反動程度はどうにかなる。
 
 日本拳法および徒手格闘では縦拳を身体の中心から最短距離で突き出す。その時脇を開くような真似はしないだろう。脇を開けば力負けする。射撃も同じである。高重量の銃を保持し続けるため、脇を直角に開く据銃姿勢は確かにある。実際長時間構えるのが楽ではあるが、暴露面積を増やす上に反動に負けやすい。
 小銃は脇を締めて骨格で銃を支持(ボーンサポートという)し、拳銃も肘を絞るように身体の中心線から突き出す。こうする事で反動に負け辛い姿勢で安定した火力を集中させる事が出来る。
 
★ミット打ちは至近射のトレーニングに良いと思うワケ★

 しかし扱う物が指一本で人を殺せる道具であり、しかもリスクの大きい至近距離での立射となれば、前回の射撃と間が開けば開く分だけ「久々だし怖いな…」という感情が湧く。とはいえ、日頃から実銃もしくは模擬銃に触れておく事に付け加えてミット打ちをバディを組んで行うことでかなり予習になると思う。打つ側ももちろんトレーニングになるが、特にミット側は相手の拳を受け続ける以上、衝撃に備えた姿勢を取る必要がある。腰が入った突きの撃力に比べれば、7.62ミリの反動は「こんなもんだっけ?」と思えるハズだ。後は装具を着けた状態でやってみる事をオススメする。

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