お気持ち表明 特殊作戦部隊を侮るなかれ。

 ロシア連邦による「いわゆる特別軍事作戦」に朝鮮人民軍の特殊作戦部隊が送り込まれた際に、本邦内のネット上で彼らを侮るような発言が蔓延ったため、お気持ち表明させて頂きたい。
 また、あくまで今回北朝鮮から派遣された戦闘員の多くは下記に書かれた特殊作戦部隊とは性質の異なる「精鋭部隊」ではあるものの、一般的によく言われる「特殊作戦部隊」の隊員も派遣されていると見るのが自然である。

■特殊作戦部隊とは。

以下、Weblio辞書から引用
特殊作戦】(とくしゅさくせん)

特別に選ばれ、高度な訓練を受けた人員で組織された小規模部隊、いわゆる特殊部隊により行われる軍事作戦。

一般的に、特殊作戦は敵の勢力下におかれている地域や公然とした軍事活動が政治的問題になる地域において行われる。

従って、特殊作戦は不正規な軍事活動に属する高い危険性を伴った作戦である。

こうした作戦を遂行する部隊を特殊部隊と呼ばれる。

特殊部隊に属するメンバーは正規部隊から綿密に選抜され、特別な訓練を施した後、通常戦力とは別の部隊編制として運用される。

主な特殊作戦

長距離偵察
対テロ作戦
革命・反乱支援
心理操作・宣撫工作
民生活動(医療、衛生、食糧、教育)
治安維持
諜報活動
後方攪乱
敵手脱出支援
要人暗殺


 と書かれており、上記の達成に辺り、長距離を長時間、高負荷の条件で行動し続ける強靭な身体能力、語学力、医学、薬学、爆発物に関する知識及び技能、コンピュータに関する技能、敵対勢力の保有する装備品を扱いこなす能力を有する隊員を保有し、凶器から本来武器ではないものを武器へと応用出来る技術及び極めて高度な徒手格闘の技術、遠距離至近距離を問わない射撃技術を有し、それらを支えるバックボーンとして国家、部隊及び部隊員に対する強い忠誠心、帰属意識を有し、特殊な死生観及び高い思考力(柔軟かつ意思決定サイクルが極めて高速)を持つ戦闘員の集団と言える。これは、全世界の特殊作戦部隊員において概ね共通して言える普遍的性質と言えるものであり、程度の差はあれ、北朝鮮の特殊作戦部隊員も例外ではない。特に「偵察兵」と呼ばれる者達が秀でている。

 ネット上において、「痩せた連中」などと言われるが、これは彼らが「弱い」という事にはならない。
 陸自におけるレンジャー訓練最終想定の帰還式の隊員の体格を知るものなら分かるはずだが、長距離を長時間、高負荷で活動する戦闘員の肉体は最終的にあのような身体つきになりやすい。
 
 ここからは完全にお気持ちであるが、ある程度タクティカルを齧った者であれば、彼の国の特殊作戦部隊を侮る様な思考には比較的陥り難いと思うのであるが。特に無形戦闘力(乱暴に言えばメンタルの強靭さ、技能と解釈してもらっても良いかもしれない)に関して言えば、彼の国の精鋭部隊員は東アジア最強クラスの戦闘員であると言っても過言ではない。

 特殊作戦部隊の恐ろしさは正直書ききれないが、上記のバラエティに富んだ任務への対応力とそれを支える技術、少人数で独立して行動できる高度な意思決定能力と少人数故の高度な秘匿性、良い意味で(対処側からしたら悪い意味で)軍隊らしくない、型に囚われない柔軟性をもって、その威力を敵対勢力に対して卑怯かつ狡猾に指向して来る点にある。
 
 
 さて、特殊作戦部隊員ではない我々は世界各国の特殊作戦部隊をやたらランキング付けしたくはなるが、ある米陸軍特殊作戦部隊OBの言葉を借りるならば、「特殊部隊に上座も下座もない。全て均しく強く、恐ろしい存在である。」 という言葉が本質であろう。

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