譜読みと演奏。この難儀な取り組み。
これはつぶやき程度のことなのだけど、結構大事なことだとも思っている。
楽器はギターとチェロとピアノを、ぼんやりと思い浮かべながら書いています。
楽譜を読んで音にする作業って、この目→手→耳の情報の意向が、最初はとても面倒だと感じる。慣れるまでは。
(ここは読み飛ばしてもいいです。本題は、次の区分です。)
第一に、楽譜を見て(1)調号(何が主音で、♯と♭はどこにつくのか)を把握し、(2)音名(ドレミ)で読んでみて(3)全体の和声進行や構造(ストーリー)を把握して(4)音型の繰り返しや素材の活用のされ方などを絵的に確認する。
まずこれが、沢山曲を弾いたことがないと出来ない。というか僕の場合は、慣れるまで視野が狭くて、いろいろと気が付けなかった。
第二に、ドレミが分かったら次は、その音をこの楽器で演奏すると、どこにどの指を置いて演奏するのかを試しながら決定していかなくてはならない。そして適切な運指を見つける。
これもまた、沢山フレーズを弾いて経験がストックされていないと、適切な運指が自分では決められない。適切なボーイングも分からない。
ピアノでもチェロでもギターでも、跳躍のコツとか、運指のパターンとか、スライドのさせ方とか、そういう「明言されていないけどうまい人は必ずやっている暗黙のやり方」がある。こういうのをちゃんと説明しながら手渡してくれる先生につくと、成長する。
第三に、第一と第二の取り組みによって理解されたとおりに、先を予測しながら楽譜を眺め、身体を動かし、それによって実際に音楽的に美しく音が出ているかを聞く。
これがまた、長い道のりだ。音程、テンポ、リズム。崩れている所をチェックしながら、ゆっくりから、脱力しながら慣れさせて、整えていく。
それでね、言いたいことはここからです。
先日、クラシックギターで暗譜して演奏したんです。結構音楽的なストーリーが心で描けて、身体でも反映できて、聴衆の空気感も掴みながら気持ちよく演奏ができました。
でも、暗譜をする過程ですこし楽譜から離れすぎた感じがあったんです。どういうことかと言いますと、「楽譜を読んで音を奏でる」よりも「目と体で覚えた記憶で、耳と心で演奏する」という方向に行きすぎちゃったのです。だから発表会後に楽譜を読んだら「えーっと、これどうやって弾くんだっけ?」となったんですよね。弾けるのに。というか、身体は覚えているのに、楽譜が読めていない。やだ、この感じ。「楽譜を見ながら弾く」という練習から時間を空けすぎてしまった。
まだギターとの付き合いが短いので、音符と指板が仲良しになっていないのです。音型を見ても、ポジションやフォームがすっと思い浮かばない。これはチェロを弾いている時の感覚と比較すると明らかで、非常にもやもやしているところです。
チェロの場合は、楽譜をみながらすぐにポジションと運指がイメージできる。ポジション移動も、体の動かし方とセットでアイディアが浮かびます。一つではなく、複数の候補も思い浮かぶ。
でもギターは、まだ「ドは3弦だと五フレットだから…あ、ミは二弦だからその真上か」とか、うろうろやっている。考えれば、もたもたするけどわかる。でもそれでは遅すぎるーーーーー。
この、音名と左手のフォームというのが大変ややこしい。ギターは六本も弦があり、左手の四本の指で同時に最大六つの音を出す。どの指が、どの弦で、何の音を出しているか。まだまだ混乱する~。
ピアノは、オクターブの関係が分かれば、同じシステムがずーっと上下に続いている。チェロも、実はオクターブのブロックが繰り返し並んでいる。そしてギターもシステムとしては同じで、ある音程間隔の繰り返しなのだけれど…チェロよりも可能性が多すぎる。そして理解と慣れが足りていない。
まだ「一瞬で確信をもって押さえられる指板の位置」が少ないのだと思う。
いまはまだ譜読みに時間がかかりすぎる。
さらに、うまく弾こうとするとどうしても楽譜を離れざるを得なくなってしまう。これだと、いけない。取り組んでいる曲が難しすぎるのかもしれない。
「楽譜を読む」→「楽譜を見ながら弾ける」→「楽譜を見なくても弾ける」
このプロセスが大事なのだ。
「楽譜を見ながら弾ける」のステップで、十分に慣れる必要がある。
「楽譜を読む」→「耳と体で覚える」→「覚えたので、楽譜を見ないで弾く」
これではダメだ(と僕は思う)。これは、覚えて弾けているように見えて、実は「覚えないと弾けない」というダメパターンだ。覚えないと弾けない状態だと、いつまでも楽譜を読むことに慣れるのが遠のくばかりだから。
文字を見ながらを朗読するように、「楽譜を見ながら楽器で音にする」。
まずはともかくこの活動に慣れなくてはならぬ。
慣れれば、その先にはもっと自由に音作りができる世界が広がっている。
音読や、タッチタイピングの様に、もはや考える隙もなく自動的に体が動くようになる。そこまで、行きたい……と、危機感を覚えたので書いてみました。
これは僕の感覚なのですが、もし違う感じ方をしておられる方がおられましたら、気軽にコメントお寄せ下さいませ。このテーマ、長年もやもやしていることなんです。前に、ピアノのレッスンを辞めてしまったのも、これが原因です。「覚えないと弾けないのでは、辛い。曲が難しすぎる。譜読みに慣れたいです」と訴えたけど、伝わらなかったから…。
この考え方が合っているかどうか、不安でもあります。
わかるなぁというコメントも、嬉しいです。一緒に、コツコツやりましょう。