ダヴィッド・オイストラフ
ダヴィッド・オイストラフのベートーヴェンのヴァイオリンソナタをたまに聞く。滋味豊かな演奏で落ち着く。
(ちなみにベートーヴェンのカルテットはズスケ・カルテットが好きだ。)
オイストラフにしろハイフェッツにしろ、映像は白黒なのに演奏が飛び抜けて個性的で鮮烈だ。コンチェルトのカデンツァなど、なぞにやたらと難しいバージョン弾いてないか??ヴァイオリンの技術は現代の方が高くなっている…のか、疑わしい。個性が豊かな芸術家というのは、狭く深く濃く楽しく磨かれている感じがするので好きだ。情報の少ない昔の方が情報が濃縮していたのかも。白黒がカラーに思えるほど鮮やかな演奏だ。
彼の頬がまるでダヴィッド・オイストラフのようなので、これから彼のことをダヴィッドと呼ぶことにしよう。意味がわからない方は画像検索してください。
ダヴィッドは2日前に寝返りの技術を習得した。今までは重たい頭が上がらずに上手く回れなかったのだが、顎を引いて足を回して振り子のようにすれば寝返りできることを見出したようだ。習得したのがさぞかし嬉しいのだろう。ふと目を離すと寝返っている。顔を上げて目をキョロキョロさせている。でも自分でうつ伏せになったくせに、まだ仰向けには戻れないので疲れて泣き出す。手の焼けるダヴィッド。戻るほうも習得して欲しいので、ゆっくりと足を引っ張って、重心移動を体得させている。(ダヴィッドって書きにくいな。)
ダヴィッドは好奇心旺盛だと思う。周りのものを探してはずっとキョロキョロしている。
音にも敏感だ。これは感度がかなり高いと思う。まだ音圧が高いと怖くて泣いてしまう。今までチェロは何度か聞かせたけど、今にも泣きそうなへの字口をするので「大丈夫だよ~怖くないよ~」と宥めながら弾くので疲れてしまった。今日はヴァイオリンを聞かせたら、なぜか無表情でじっと楽器を見つめていた。泣かなかった。低い音の方が怖いのかな?ダヴィッド自身も<キエェェェエエェェェ という甲高い声を武器に使うようになったことも関連してるだろうか。
珈琲が飲めるようになるのと同様で、ある種の聴覚の鈍麻によって音が楽しめるようになるのかもしれない。敏感すぎると音楽は楽しめない。
音そのものの美しさという情報と、音楽という時間芸術の両方を感じること。また聴覚と身体感覚の連動。楽器と音楽はどこまでも深く豊かで楽しい。