後悔しないコンサートのつくりかた(1)演奏会の内容を考える【吹部向け】
はじめに
いちおう暦の上での季節は秋。もうすぐ吹奏楽コンクール全国大会が開催されます。とはいえ、大多数の吹部のみなさんにとっては、きっとコンクールシーズンは終わりを迎えている季節でもあるでしょう。すでに最上級生が引退していたり、いったん学業に熱量を振り分けていたり、早ければアンサンブルコンテストの下準備をしていたり、または学内・学外で開催するコンクール以外の演奏機会に向けて、練習をしているバンドも多いことと思います。
きちんと先輩たちから引き継ぎのできているバンドは良いのですが、すべてのバンドがそう恵まれているとは限らないでしょう。また、新しく演奏の機会を増やしたくて、でも何から手をつけたらいいんだろう…?と思っているひともいるかもしれません。
経験者がいないとコンサートの企画制作・当日の采配なんかは、とかく苦労が多いもの。なにから始めたらいいのか、なにが必要で、なにに気配りしなくちゃいけないのか、ポイントを押さえて追っていってみましょうというのがこの記事です。すべては当日の成功と、楽しい打ち上げのために。
〜 もくじ 〜
(1) 演奏会の内容を考える★
(2) 場所を決め、準備する
(3) 曲目と曲順を決める
(4) チラシ、チケット、宣伝
(5) 対外手続きをする
(6) 役割分担
(7) 当日配布の印刷物
(8) 当日必要なあれこれ
(9) リハーサル
(10) いよいよ本番日!
※資金繰りやチケット販売計画などについては、これだけで充分難儀なものなので、別の記事にてまたご説明できればと思います。
※※マーチングの本番については私の知識の範疇を大きく越えるため、申し訳ないですがまたの機会に。(取材させていただける方募集中)
コンセプトをきめる(~半年前)
・何のための演奏会なのかを明確にしましょう。
・できれば会議をして皆で目的を共有しましょう。
ひとくちに演奏会といっても、様々な形態があります。そしてコンサートにはもれなく、そこで演奏をする目的があるはずです。
たとえば、
◆ 一年の総決算となる定期演奏会
◆ 依頼を受けて行う、依頼演奏
◆ 文化祭、学園祭など学内向けのコンサート
…などなど。
そして、演奏の目的によって求められる内容は異なることでしょう。依頼を受けて演奏をする場合、演奏してほしいとお願いしてくれた相手には、何らかのねらいがあるはずです。コンサートの内容を話し合っているうちに途中で意見が錯綜・混乱しても、演奏の目的をはっきりさせておけば、軸はぶれないはず。
また「なにがしたいのか」「なにを求められているのか」を、できれば演奏会に関わるひと全員に徹底させておきたいものです。定期演奏会など、毎年おこなっている演奏会でも、コンセプトの上では、細かな意見の食い違いがあるかもしれません。ですから面倒でもこの作業をしておいたほうがいいです。ちなみにこの作業は、できるだけ早くしておいたほうが、あとあとのスケジュールに余裕が生まれます。
演奏会を企画する
演奏会の内容を考える上で、確認・決定しておかなくてはならないことがいくつかあります。
たとえば、
◆ 演奏する時間
◆ 編成(演奏人数)
◆ 使える予算や物的・人的リソース
敬老会の主催者から「○○吹奏楽団さんには30分の持ち時間で演奏してほしい」と依頼された場合、できるだけすべての演奏(アンコールも含む)・転換・司会等がその時間ぴったりになるように計算する必要があります。長くても短くても、その会全体の進行に悪影響となってしまう恐れがあるからです。あれもこれも演奏したい、楽しんでほしいという気持ちは大事ですが、それで他の出演者や主催に迷惑がかかっては台無しです。
また、演奏する場所がとても狭い(あるいは広い)などの場合、連れて行く部員の数を調整したりする必要があるかもしれません。
予算やリソース(資源)の確保も重要です。楽器を運搬してくれる父兄やボランティアの存在なしに成立しない学生さんのコンサートでは、特に依頼を受ける前に、よく相談しておく必要があるでしょう。
…と、だいたい10回くらいに分けて更新していくつもりです。誰かのお役にたてば幸い。
次回は、演奏する場所についてのお話です。