"離島だからこそ" ICT教育で拡がる地域活性の可能性(後編)
こんにちは、現地スタッフの西貝です。
こちらの後編では、ICTのご担当の先生のインタビューを通してICT教育の可能生に触れ、私が携わった中で感じたことをまとめています!(完全に主観です。)
※前編はこちら
ご担当の宮城先生にインタビュー
ICTを活用して実際どうだったのか。良かったこと苦労されたこと、先生が感じる生徒たちの変化など色々と気になったので、津堅小中学校でICTのご担当をされている宮城先生にお話を伺いました!!
宮城 渉 先生
2019年から沖縄県うるま市立津堅小中学校に赴任する。担当教科は数学・技術で、ICTを活用したアクティブラーニングの視点を取り入れた授業を日々実践している。また、沖縄県マルチメディア教育研究会に所属し「ICTを活用した授業づくり」の研究や実践を研究紀要や学会などで発信したり、教職員研修やセミナーなどで講師を担当している。
——津堅小中学校では具体的にどのように学習の中でICTを活用していますか?
宮城先生:学習内容に関する動画の視聴、授業内容のまとめやドリル学習、生徒個人の考えをまとめて共有する際に使っています。
新型コロナウィルスの感染防止策や荒天時の登校できない場合にもオンラインでつないで授業を実施していました。
他にも、他校との交流学習の場面では、テーマに沿った意見交換や、プレゼンテーションスライドを作成、プレゼンも行っていました。
——やってみる中で大変だったことはありますか?
宮城先生:もちろんあります。
例えば、先生・生徒の機器操作に慣れるまでの時間をどこで確保するか、オンライン授業と対面授業の授業の進め方と生徒の学習定着度の把握のための工夫を考えたりですね。
あとは、休校時に生徒が家からオンライン授業に入ってもらうときの各家庭での通信環境の確保などがあります。島には固定回線がないので、津堅島のfreeWi-Fiに接続する方法を教えたり、各家庭の環境にうまく接続するための方法を教えたりしました。
——なるほどです。先生も生徒も使いこなしている印象でしたがその裏には苦労があったのですね。
そういったことを乗り越えて、ICTを活用してみてどうでしたか?
宮城先生:臨時休校時にも、学びを止めないためのオンライン授業を実施することが当たり前のようにできるようになったことはとても大きいです。
ネット授業・ネット部活等で全国各地の学校とつないで交流学習をすることのハードルも下がりましたね。
生徒たちを見ていても、良い変化は沢山あります。
例えば、授業中に発言が少なかった生徒が、オンライン授業では自分の考えを発言することが増えていたり、動画を視聴して学ぶ習慣が身についてきた結果、メモをするスピードが早くなったり、プレゼンテーションの場面では相手を意識した発表や発言・リアクションができるようになっています。
オンライン授業をよりよいものにするために職員間の情報交換の頻度も増え、とりあえずやってみて修正していくという、現場での柔軟な発想や対応がスムーズにできています。
——素晴らしい成果ですね。津堅島での教育にICTを活用することで目指していることや可能性について教えてください。
宮城先生:児童生徒が通いたくなるような居心地の良い小中学校を続けていくことですね。
小規模校なので人数によるデメリットをICTを効果的に活用することで、本島で学習している生徒と同じような経験ができればと思っています。
地元の良さを体感して見つけて発信していくことで、ここで生まれ育っていくことについての誇りを持ってほしいです。
今回のネット授業でnoteに触れられたことでこどもたちの発信や、私自身もnoteを活用して外部にこどもたちの様子を伝えられるようになったので、津堅島に興味を持ってくれる方が一人でも増えたらと思っています。
子どもたちの声がいつでも聞こえてくることで津堅島が元気になること、そして津堅小中学校が少しでも存続してもらえたらと考えています。
——宮城先生、ありがとうございました!
まさに先生がおっしゃるように、この島の環境だからこそ、ICTをうまく活用することで子供たちの可能性を広げられるんだと実感しました。
ICTを併せ持つことで拡がる可能性
私自身、津堅小中学校と関わりを持つ前は、少人数=デメリットなイメージを持っていましたが、全く逆で、実際に現場に入るとそれを感じさせないたくさんのメリットがありました。
少人数だからこその手厚いサポートに、先生だけでなく島全体となってこどもたちを育てていく。そこにICTを活用しているということがやはり重要なポイントだと感じています。
デジタルネイティブ世代だからこそICTは欠かせないツールの1つになっていて、習得は必須だと思います。逆にそこを突き詰めれば、すべてオンラインで完結することもできると思います。ですが、この素晴らしい島の環境に身を置くことができるのであれば、その環境は思う存分に活かし切ることが大切だと感じました。
自然環境でしかできない学びや、地域の営みの中でしかできない"生きた"学びが島には沢山あります。島の中で多世代の多様な方々との関わりがたくさんあることは、自分の居場所がある安心感や、これから先にも島でやりたいことができるかもしれないといったワクワク感や可能性を感じるきっかけになるのではと思っています。
ICTはあくまで手段なので、うまく使いながら、島の環境でしかできない五感を使った学びを伸ばし、その体感をアウトプットするのにICTも活用していく。そんなバランスが大切だと思っています。
それは都心ではできないことで、僻地のほうがむしろ環境を活かした生きていく上で大切な学びがあり、それでもってICTにも強く、世界とつながれている、そんなことが実現できると思います。
この島しょ地域でできれば、他の離島や全国の地方の田舎、どこでも可能性が広がりますし、教育の魅力化になって移住者が増えたり、島外から通わせたいというような人が増える可能生もあるかなと。
津堅島はかなりこどもが少なくなっていますが、ここでしかできない学びを提供できれば、教育に関心のある人たちが島に来る大きな理由になり得るなと思います。
ワーケーションがあるように、教育も場所を問わずに受けられ、外から島しょ地域にこどもが来て、島の子たちと一緒に教育が受けられるとか、教育留学ができるなど、外の人たちとネットでつながりつつ、リアルな場での学びも共にすることができたら素敵ですよね。
私たちが行うネット授業が地域の子供たち、そして地域のためになる存在になれればと強く感じました。この島しょ地域にこどもたちが増えて、笑顔と活気で溢れますように。
参考リンク
・各学校のnote
・津堅島についてのまとめサイト
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