2021年 都道府県の出生数ランキング
政府統計の総合窓口e-Statのデータをもとに、都道府県の出生数ランキングを作成しました。
都道府県別出生動向の分析
~出生数実数と人口比からみる日本の地域特性~
1. 出生数実数からみる地域の現状
上位5都道府県にみる大都市圏の特徴
日本の出生数を実数で見ると、その特徴は一目瞭然です。第1位の東京都は95,404人(偏差値92.1)という圧倒的な数字を示しており、2位の大阪府との差は約35,000人にも及びます。この数字は、日本の人口一極集中の現状を如実に物語っています。
第2位には大阪府が59,780人(偏差値72.9)で続きます。近畿圏の中心として、関西経済圏における人口の集積を反映した結果といえるでしょう。第3位の神奈川県は58,836人(偏差値72.4)を記録し、首都圏のベッドタウンとしての特性を示しています。
さらに、第4位の愛知県は53,918人(偏差値69.8)と、中京圏の中心として製造業を中心とした産業集積地としての地位を確立しています。第5位には埼玉県が45,424人(偏差値65.2)で入っており、これも首都圏の主要なベッドタウンとしての性格を反映した結果です。
上位5都道府県の顔ぶれを見ると、いずれも大都市圏に位置する都府県であり、日本の人口が都市部に集中している現状が浮き彫りとなっています。
下位5県に表れる地方の課題
一方で、下位5県の状況は日本が直面する地方の課題を如実に示しています。最下位の鳥取県は3,708人(偏差値42.7)と、上位都府県との格差が歴然としています。
46位の高知県(4,090人)、45位の秋田県(4,335人)、44位の徳島県(4,337人)、43位の島根県(4,415人)と続きますが、いずれも4,000人台前半という厳しい数字です。これらの県に共通するのは、地方における過疎化や若年層の流出という構造的な問題を抱えているという点です。
2. 人口1万人あたりの出生率が示す新たな視点
沖縄県と九州勢が示す地方の潜在力
人口比で見た出生率は、実数とは大きく異なる様相を見せています。最も特筆すべきは沖縄県の存在です。人口10万人あたり99.0人(偏差値93.8)という数字は、2位との差が25ポイント以上という圧倒的な強さを示しています。
さらに興味深いのは、2位から5位までを九州勢が占めているという事実です。鹿児島県(73.7人/万人)、福岡県(73.3人/万人)、熊本県(73.3人/万人)、佐賀県(72.6人/万人)という順位は、九州地方全体の高い出生率を示しています。特に、実数では中位にとどまる鹿児島県が2位に位置しているのは、人口規模を考慮した場合の地方の潜在力を示す好例といえるでしょう。
東北地方の構造的課題
一方で、人口比で見ても厳しい状況にあるのが東北地方です。最下位の秋田県(45.9人/万人、偏差値27.4)を筆頭に、青森県(53.3人/万人)、岩手県(54.1人/万人)と、下位5県中3県を東北地方が占めています。特に秋田県は、実数でも人口比でも最低レベルにとどまっており、深刻な人口問題に直面していることがわかります。
北海道(55.5人/万人)と山形県(55.9人/万人)が下位5位に入っているのも、北日本全体における出生率の低さを示す結果となっています。
さいごに
この分析から見えてくるのは、単純な出生数の多寡だけでは見えない日本の地域特性です。実数では大都市圏の優位性が際立つ一方で、人口比で見ると九州地方を中心とした地方の潜在的な強さが浮かび上がってきます。
特に注目すべきは、沖縄県と九州地方に見られる高い出生率です。これらの地域が持つ特性や社会的背景を詳しく分析することは、日本全体の人口問題を考える上で重要な示唆を与えてくれるかもしれません。
一方で、秋田県をはじめとする東北地方の状況は、実数・人口比の両面で課題を抱えており、早急な対策が必要とされています。今後は、これらの地域差を踏まえた、きめ細かな地域政策の立案が求められるでしょう。
出生数の全都道府県データ
出生数(人口1万人あたり)の全都道府県データ