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2021年度 都道府県の製造品出荷額等ランキング

今回は、2021年度の都道府県別製造品出荷額と製造業従業者1人当たりの製造品出荷額についてご紹介します。この2つの指標を組み合わせることで、各都道府県の製造業の実力をより多角的に見ることができます。

製造品出荷額トップ5の都道府県

まずは、製造品出荷額の上位5都道府県を見てみましょう

  1. 愛知県: 478,946億円 (偏差値102.7)

  2. 大阪府: 186,058億円 (偏差値64.9)

  3. 神奈川県: 173,752億円 (偏差値63.3)

  4. 静岡県: 172,905億円 (偏差値63.2)

  5. 兵庫県: 165,023億円 (偏差値62.2)

製造業従業者1人当たりの製造品出荷額トップ5

次に、製造業従業者1人当たりの製造品出荷額の上位5都道府県を見てみましょう:

  1. 大分県: 7,308万円/人 (偏差値77.2)

  2. 山口県: 6,979万円/人 (偏差値74.4)

  3. 千葉県: 6,357万円/人 (偏差値69.2)

  4. 愛媛県: 6,177万円/人 (偏差値67.7)

  5. 愛知県: 5,930万円/人 (偏差値65.7)

両指標から見える特徴

愛知県の圧倒的な強さ

愛知県は、製造品出荷額で1位、1人当たり出荷額でも5位と、両指標で高いランクを維持しています。自動車産業を中心とした製造業の集積が、量と質の両面で高い競争力を生み出していることがわかります。

意外な強豪県の存在

大分県、山口県、愛媛県は、製造品出荷額の総額では上位に入っていませんが、1人当たりの出荷額では上位を占めています。これらの県は、効率的な生産体制や高付加価値製品の製造に強みを持っている可能性があります。

  • 大分県:1位(7,308万円/人)- 鉄鋼や化学産業が強み

  • 山口県:2位(6,979万円/人)- 石油化学コンビナートの存在

  • 愛媛県:4位(6,177万円/人)- 紙・パルプ産業や造船業が盛ん

大都市圏の傾向

東京都は製造品出荷額で16位、1人当たり出荷額で35位と、両指標ともに中位にとどまっています。これは、東京都がサービス業や金融業に特化している傾向を反映しています。

一方、大阪府は製造品出荷額で2位ですが、1人当たり出荷額では16位と、やや順位を下げています。これは、多様な製造業が集積しているものの、労働集約的な産業も多く含まれている可能性を示唆しています。

地方県の奮闘

岡山県(1人当たり6位)、三重県(1人当たり7位)、滋賀県(1人当たり10位)など、製造品出荷額の総額では上位に入らない県でも、1人当たりの出荷額では高いランクを示している県があります。これらの県は、特定の産業に特化した効率的な生産体制を構築している可能性があります。

課題を抱える地域

沖縄県、秋田県、高知県は両指標ともに下位に位置しています。これらの地域では、製造業の規模拡大と生産性向上の両面で課題を抱えていると言えるでしょう。


製造品出荷額と他指標との相関関係

製造品出荷額と他の指標との相関関係を分析することで、製造業の規模や生産性に影響を与える要因をより深く理解することができます。以下に、重要な相関関係を示します:

  1. 総人口との相関係数: 0.6093

    • この相関係数は中程度であり、人口規模と製造品出荷額には一定の関連性があるものの、それほど強くないことを示しています。

    • つまり、単純に人口が多い都道府県が必ずしも製造品出荷額が高いわけではありません。

  2. 製造業事業所数との相関係数: 0.8447

    • この高い相関係数は、製造業の事業所数と製造品出荷額の間に強い関連性があることを示しています。

    • 製造業の集積が進んでいる地域ほど、製造品出荷額も高くなる傾向があると言えるでしょう。

  3. 製造業従業者数との相関係数: 0.9700

    • この非常に高い相関係数は、製造業従業者数と製造品出荷額の間にかなり強い関連性があることを示しています。

    • 製造業に従事する人数が多い都道府県ほど、製造品出荷額も高くなる傾向が顕著であることがわかります。

相関関係から見える製造業の特徴

  1. 産業集積の重要性 事業所数と従業者数の両方が製造品出荷額と強い相関関係にあることから、製造業の集積が地域の製造業の強さを決定づける重要な要因であることがわかります。これは、産業クラスターの形成が製造業の発展に大きく寄与していることを示唆しています。

  2. 人口規模以外の要因の影響 総人口との相関が比較的弱いことは、製造業の強さが必ずしも人口規模に依存していないことを示しています。例えば、大分県や山口県のように、人口規模は大きくなくても1人当たりの製造品出荷額が高い地域があります。これは、特定の産業への特化や効率的な生産体制の構築など、質的な要因の重要性を示唆しています。

  3. 労働生産性の地域差 製造業従業者数と製造品出荷額の強い相関関係は、全体的なトレンドを示していますが、1人当たりの製造品出荷額のランキングを見ると、労働生産性に大きな地域差があることもわかります。これは、産業構造の違いや技術革新の度合い、設備投資の状況など、様々な要因が影響していると考えられます。


まとめ

2021年度の製造品出荷額と1人当たりの製造品出荷額のランキングを見ると、単純な製造規模だけでなく、生産性や効率性も含めた各都道府県の製造業の実力が浮かび上がってきます。

愛知県のような大規模製造業集積地の強さは依然として際立っていますが、同時に大分県や山口県のように、効率的な生産体制を構築している地方の強さも見逃せません。

最後に、全都道府県の一覧表を掲載しておきます。


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