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可愛がれなかったドールの話
ドールにまつわる、ちょっと苦い話の懺悔。
あんまり良い話ではないです。
前の記事でMDDを組み立てた話を書いたが、実は大きいドールを購入するのは初めてではない。
10年以上前だと思うが、Tiny Fairyにものすごく憧れて、多分ヤフオクか何かを使って1人購入している。
当時あんなにナチュラルな顔立ちの子って他にいなくて、ほんとにすごくきれいで、雑誌かネットか何かで見て一目ぼれしてしまった。唯一無二の透明感を写真でずっと見てた。
私が購入したTiny Fairyは中古で、服とかウィッグもデフォじゃないけどその人が持ってたものがオマケで付いてたから、そのまま可愛がっていた。家にきてくれて本当にうれしかった。
が、正直その当時の自分には、段々と手に余るようになったというか……。
服やら靴を買うとか、ドールスタンドが欲しいとか、何をするにもお金がかかるドール趣味は、最低限のバイトしかしていない学生では思うように遊べなかった。言い訳みたいになるが、わりと難しめの大学に行ってたのでそんなにバイトの時間を取るわけにもいかなかった。
オマケしてもらった服も微妙にサイズあってなかったり、そもそも可愛いけど趣味じゃなかったり。ゴムがもう弱ってたり、アイも変えたかったり、部屋に撮影スペースがなかったり、なんとなーくじわじわした不満が解消できなくて、それを無理に納得しようと飲み込んだまま「可愛い可愛い」って言い続けていたら、些細な所からちょっとずつ気持ちがズレて真正面から可愛がれなくなってしまった。
多分それは、自分が妥協していることを直視しなかった事による、ドールに対しての、引け目だ。
結局その子は数年して売ってしまった。
他にも、名前は出さないけどいろいろなジャンルのドールに憧れて、その時の経済力で手に入る範囲の子を購入して、微妙に可愛がりきれなくて、手放すという事を、若い頃に何度かやった。
同じシリーズのドールの中でも、いわゆる不人気とされるような子達は手に入りやすかったりするし、個人的に判官びいき的な精神もあって買ってしまうのだけど、結局「その子が1番いい」という理由以外で選んじゃだめなのだ。人気とかどうとかでなく、自分が心から1番好きじゃなきゃダメだ。
(ブランド方式のドールってこれがあるからちょっと買いにくい。誰が来ても100%嬉しいラインナップじゃないと。)
思いっきり可愛がれたと思ってるドール達もいた。引っ越しなどで泣く泣く手放したり、今は手元にいなくても、好きだったな〜と思えた子たち。
私にとってドールはあくまで玩具だから、飽きることはあるけど、散々遊んだあとの「飽き」には後ろめたさがない。「今までありがとう」で終わるだけ。
苦い思い出になっているのは、決まって「価格でちょっと妥協した子」や「何かを理由に満足に遊べなかった子」だ。
なので今は、ドール等を買うと決めたのなら、その範囲の中では妥協しないようにしている。
「高いから買わない」は全然いい。財布と相談してやめるのは偉い。
でも「ちょっと安いからランクを落として選ぶ」は絶対やらない。多少の差額だったら頑張ってお金出すとか、苦労してでも時間かけて自作したほうが良い。
ドールは「この子が可愛い!」っていう気持ちだけで遊ぶものだから、そこに引け目を感じる余地を残してしまったら成立しないのだ。これは自分の心との問題だ。
往々にして「安さを理由に物を買うな」はよく言う事ではあるけれど、私とってそれは、可愛がれなかった子達の顔として浮かぶ教訓。(ちゃんと全員覚えてるんです)
今は、普通ぐらいのお金もあるし、ドールを飾る家具とかカメラとか移動の足も用意できる。
だから今いる大きい子も小さい子も、壊れたり黄変したりするのを恐れずにめちゃくちゃに可愛がって遊んでやりたいと思う。
もうすぐ春!暖かくなったら外撮影しよう!