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慶應通信、はじめての卒論(1)

はじめまして。
私は社会人になってから、慶應義塾の通信教育部、いわゆる「慶應通信」に普通入学し、卒業しました。
こうして書くと、入学から卒業まで一行で終わってしまい、終わってみるとあっけなく感じます。今から書く話もいきなり(通信過程の終盤となる)卒論の話なのですが、記憶が新しいうちに色々書き残しておこうと思います。
ターゲットとしては、これから初めて卒論に取り組む方、または、通信制大学への入学を検討されている方をイメージしています。ご参考になるかは分かりませんが、ご笑覧いただけましたら幸いです。

三田キャンパスの東門から入る時の景色

卒論テーマを決める

入学時点では卒論の分野も未定だった

 私は文学部I類(哲学専攻)に入学しました。その時点では、哲学、美学、教育学、心理学(発達心理学、認知心理学)、言語学に関心があり、それらを垣根なく学べる文学部I類の懐の深さに魅力を感じました。余談ですが、入学願書に添えた書評においても、こうした学際的な本を選びました。
 いざ入学すると、同じく文学部のII類の史学系、III類の文学、語学系科目も「文学部」という大きな区分で類に関係なく配本され、スクーリングも含めて制限なく履修することができました。卒業までに必要な単位として、自分の類から必要数の単位を取得しなければならない決まりはありますが、卒業に必要な単位全体からすれば「どの類からでもOK」という枠はそれなりにあり、好奇心の赴くままに楽しく学びながら、卒業要件を満たしていくことができました。

※必要単位数などのルールは変更になる可能性があるので、あえて具体的には表記しないことにします。


手書きレポートの清書は、この万年筆を使っていました。

 テキストを読んだり参考文献を読んだりするなかで、「この学問は面白いな」と思ったり、これまでの関心と紐づいて「○○をこの△△学の切り口で卒論テーマに出来るかも」と思ったりして、卒論テーマ候補が様々な分野でぽつぽつと出てきました。
 とはいえ、卒論よりはレポートよりも長く付き合うものなので、「書けるかも」というよりは、確信を持って「これぞ」と打ち込める特別なテーマを見つけたい。まだ履修していない科目が超面白くて、ビビビッと運命を感じるかもしれない、と思い、さまざまな科目を履修しました。
 「この分野で書いても楽しそう」「この分野なら○○かな」と思いながら履修していくのは、レポートを書きつつその世界の醍醐味を覗こう、触ってみよう、とする行為なので、参考文献を読むにしても(教科書や課題の範囲外の分野でも)「棄てるところなし」というか、結構楽しいものでした。入学時点で明確に卒論テーマが決まっている方は別として、漠然としている方はぜひ、あまり焦らず、よりどりみどりの時間を楽しまれてはいかがでしょうか。

相談しよう、そうしよう

 私は当時、卒論を書いたことも、(じっくり)読んだこともなかったので、好奇心から湧いた卒論テーマ候補が本当に候補たりうるのかは、全く確信のないものでした。一方で「これは時間をかけて探究したいぞ」と思える熱があるかどうかは、自分でも分かります。従って、(1)まずは自分に問いかける、(2)先生に相談、の順に「卒論のタネ」を精査していくことになります。
 スクーリングを受けて、先生のお人柄、ご専門分野、そして授業内容のどれをとっても「これは」と思える科目があれば、その分野で卒論テーマを書くことを想像して、その「卒論のタネ」を休み時間に先生にご相談しました。先生方は私の関心に合わせて、そのテーマのトピックや関連する参考文献等をたくさん教えてくださり、私がだいぶ昔に読んで面白かった本の著者が、長くSFCで教えていらっしゃる先生だったことも知りました。先生の手のひらに置いた小さな種から、植物がぶわっと芽吹いていくような、そんな不思議でワクワクする経験でした。教授は魔法使い。
 学術的に勉強になるのは勿論のことですが、通信生の私にとっては、直にアドバイスをいただけるというのは本当に貴重な機会で、大いに励みになり、勇気づけられました。スクーリングでは授業後の質問に「授業内容に直接関係ない○○学全般の質問でも良いですよ」と言ってくださる優しい先生も多かったです。この時、いつか卒論指導もしていただきたいと思ったら、そのお願い(ご相談)もしておくことをおすすめします。難しい場合も何らかの建設的なアドバイスをいただけると思いますし、もし「先生の内諾あり」の場合は、初めて卒論指導を申し込む際、備考欄などに明記することでスムーズに事が運びます。
 そんなこんなで、私は学位にして3つ分の「卒論で取り組んでみたい」テーマのタネを見つけました。どの科目も面白かった!とはいえ、「卒論」で取り組めるのはひとつですし、貰える学位もひとつです。
 どうやってそれを絞るか、という話は、本人がどうしたいか、に尽きるのですが、客観的アドバイスが欲しい場合には、卒論テーマを所属学部の教員に個別相談できる機会があります(※最新の情報は塾生ガイドをご確認ください)。担当してくださった先生からのアドバイスは、私の短期の努力では全く出てこない、第一線の研究者目線で、その後も強く心に残るものでした。文学部は前述のように多くの学問領域を持つので、相談に乗ってくださる先生と必ずしも分野が一致するとは限らないのですが(I類の先生とII類の学生の組み合わせなど)、麻酔科や小児科の専門医は、それ以前に医師であり医学全般の基礎を修めているのと同様、大船に乗ったつもりで相談したら良いのではないかな、と私は思います。
 まとめます。先生は凄い。親切な先生が多い。相談できる機会があれば、ぜひ!(スクーリング、講師派遣、事務局主催の卒論個別相談会など)

夏スクで食べた、1F生協食堂のデザート(単品で購入可能)

テーマ決定

 自分のなかで(大まかでも)テーマが決まったら、その分野の文献収集をして、先行研究を分析しつつ、自分のテーマの研究計画を立てて、卒論指導申し込みをします。この進め方も準備時間も、どこにこだわるのかも、本当に人それぞれだと実感しているので、特に何か申し上げることもないのですが、あえて言うなら「本当に人それぞれ」です。
 とはいえおそらく、「私の卒論テーマはこれだ!」と(少なくとも自分では)決意する、というのが卒論の始まりなのではないかと思います。私自身のもう少し詳しいへっぽこ経験談は、また別の機会に。

 ここまで読んでくださり、ありがとうございました!つづ…く?


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