μ-210を双眼RFTにしたい(1)

スタート地点

ダイアゴナルは必須。望遠鏡が双眼なのももはや当然なので、単眼も考えない。ベストはもちろんEMSを使って鏡筒1本/眼球だが、身に余るにもほどがある。必然的に、双眼装置を使うことになる。高倍率での惑星観望が主な目的で、もともとのセットアップは以下のようだった。

1) Moonlight Focuser (光路消費80mm)
2) OCS (0mm) ダイアゴナル前方にねじ込み
3) 2インチEverbrite(103mm)
4) Power Switch (19mm)
5) Binotron(BT)-27 (双眼装置)(127mm)
Total=329mm

Power Switchは、μ-210では合焦のために必須のエクステンダーレンズ(OCS、optical corrector system)と併用し、倍率(合成焦点距離)を1.3倍(3140mm) 、2.3倍(5555mm)、3.0倍(7245mm)の3段階に切り替えるBT-27用のアタッチメントのこと。中倍には補正レンズは入っていない。ここからなんとかして双眼・低倍率・広視野・非裏像を目指す。

OCSを外す

ところで、バックフォーカスが長いシュミカセではOCSは不要で、Power Switchを使うと倍率は0.66倍、1.15倍(※後述)、2.00倍の3段階になるという。ひょっとして、OCSなし・Power Switch低倍で0.66倍が得られるのではと思い、OCSを外してみた。ところが、ピントははるかに前の方にあって、まったく駄目。これはまあマニュアル通りではある。

接眼部を短縮する

高倍率にしないなら、マイクロフォーカサーは不要だろう。標準の接眼部 (50mm)の50.8アダプタを短いバージョン(KA70110)に交換すれば20mm短縮するというが、Precisepartsでアダプタを作ってもらい、Borgのアダプタを併用してさらに15mm短縮、22mmになった。しかしこれでもまだ合焦には遠い。

●Low profileアダプタ(22mm)(右)
Preciseparts (特注)μ-210 rear cell (M71) - > M57 アダプタ(12mm) + Borg 2インチアダプタSS II(10mm)=22mm
真ん中は標準の接眼部。

+
3) 2インチEverbrite(103mm)
4) Power Switch (19mm)
5) Binotron(BT)-27 (双眼装置)(127mm)
Total=271mm
PrecisePartsは以下。

※ピント位置による焦点距離の変化について

Power Switchの中倍率の時、光路には補正レンズがないのに、なぜ焦点距離が伸びるのかわからなかったが、μ-210のマニュアルには、

”ピント合わせにより主鏡、副鏡間の距離が変わるため、合成焦点距離が変化します”

とあった。このことは、天文ガイド2004年9月号の引用として

http://iga3.sblo.jp/article/1112339.html

にも記述がある。

“・ノブを時計回りに1回転 主鏡は後方に1mm移動 像面は約16mm前方に移動 焦点距離は約48mm短くなる・ノブを反時計回りに1回転 主鏡は前方に1mm移動 像面は約17mm後方に移動 焦点距離は約50mm伸びる”

一方、このサイトが引く

http://hosiojisama.sakura.ne.jp/factory/PintNobCounterSystem.html

には、

“μ210の場合,ピントノブ1回転でピント位置は18mm移動します。(中略)ノブは14回転しますのでピント位置は約250mm移動することになります”

とあり、ピントノブ1回転あたりのピント移動距離や、ピント位置の総移動距離の情報にはばらつきがある。

この点については、Cloudy Nightのレビュー記事

https://www.cloudynights.com/articles/cat/user-reviews/takahashi-mewlon-210-review-r2713

に掲載されている、タカハシから提供されたという資料の信頼性が高そうである。これによると、ピント位置の総移動距離は223mm。ピントノブの回転数は実測で確かに14回転ほどだったので、回転数とピント移動距離が線形関係にあるとすると(天文ガイドの記述から、この仮定が間違っているのかもしれないが)、ノブ1回転あたりのピント移動距離は16mmとなる。また、ピント位置が16mm移動すれば焦点距離は48mm移動するということをそのまま採用させてもらう。