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栗きんとんの正体
新年あけましておめでとうございます。
何か新しいことを始める絶好の機会において、長年ROM用に使用していたこのアカウントに投稿をしてみることに致しました。
本当は、元日からよそのブログサービスでブログを始めようとしてたんですが、何かしっくり来ないのでnoteにしてみました。
世の中には『たとえ一生知らなくても何の問題もないささやかな知識』というものがあります。それを、学生時代であったり社会に出てしばらくの間の人生の勉強期間であったりをずっとずっと過ぎてから……つまり立派なおっさん・おばちゃんになってから知ることで、大きな驚きや価値観の変化を味わうことがあります。
私にとってその一つが「栗きんとんのレシピ」でした。
別に栗きんとんを自分で作ろうとしてレシピを調べたわけではなく、ふと市販品のラベルに記載されている原材料をみて気づいただけなのですが。
栗きんとんと言ったら、その材料のすべてが栗だと思うじゃないですか。
厳密に調べれば『原材料・栗100%の栗きんとん』も存在するのでしょうが、市販品の大抵は「固形部分のみ栗・ペーストの部分はさつま芋」で出来ているのです。
私は驚きました。
栗と芋。おなじ食用の植物ではありますが、種としてはかなりかけ離れています。木の実と根菜、果実と根っこ……。お菓子材料として使われることが多いという共通点はありますが、なんというか流通においての希少価値みたいなものに差がありすぎる二者だと思うのです。スーパーでの立ち位置も
・栗:果実売場:季節は秋限定:一包装500~1,000円
・さつま芋:根菜売場:旬は秋だけど大体通年置いてる:一包装200~300円
といった感じで差がありありです。
彼らを原料とした代表的スイーツも
モンブラン vs 焼き芋
これは東京都港区と埼玉県川越市ぐらいのイメージの格差があります。
(川越市と芋と栗については「九里よりうまい十三里」という言葉がありますが、こちらのお話はまたの機会にしたいと思います)
「栗きんとんのペースト部分はさつま芋でできている」この事実に私は衝撃を受けました。なぜなら、私は栗きんとんのおいしさの70%は主たる固形の栗部分ではなく、芋でできたペースト状部分にあると感じていたからです。
原価としては栗より芋の方が絶対に低いはずであるのに。
ちなみに、もしも日本の土地の畑に使える部分をすべてさつま芋生産に集中させれば、日本のカロリベースでの食料自給率はスンゴイ上がるそうです。
土壌や気候をあまり選ばずに熱量の高い収穫が得られる作物がさつま芋なんですね。
私は知りました。
人間が作る社会で高い値段が付くものであっても、自分にとって価値が高いものだとは限らない。
また逆もしかり。自分にとってすごく価値があるものでも、世の中では高い値段がつかないことだってある。
知ってしまった後では「なんでぇ、そんなことかい。べらんめぇ」ぐらいの単純な真理に見えるんですが、知らなかったときは何ひとつ知らなかったんですから仕方ないのです。「栗きんとんは高級果実である栗で出来ているからおいしいのだ」そういう認識で一生を終えてしまっても何の問題もないのですから。
私は今、単身者向けおせち料理セットに入っていた少量の栗きんとん(をアルミホイル製カップに移して小さな重箱に詰めたもの)をお箸でちびちびつまんでいます。あまくておいしいです。
栗のように主役を張れなくてもいい。
さつま芋のように、やせた土地でもよく育って誰かを満腹にできるような作物になりたい。
そんなことを新年のあやふやな目標として思いついたのです。
それではまた。ごきげんよう。