行き当たりばったりと料理#2
こんにちは。最近なに食べてますか。
近頃は時間があるので、料理に手間をかけようと思い立つことが増えた。外にも出にくいし、好きなものを食べたい。料理は好きだ。
手間をかけるというのは必ずしもいいことでもないし、なんなら余計にまどろっこしくしている可能性があるが。簡潔に生きたい。
いまや買い出しに行くのも週2くらいになっている。おやつの買い出しにすら行かなくなってしまった。できれば行かないほうがいいのかもしれない。痩せねば。
部屋に籠ってディストピア的固形食を摂取するのも憧れるけれど、毎食はコストの問題で厳しい。COMPとかも気にはなっているが。どうなんだろう?
とりあえず、買いやすいキャベツともやし、少しの肉、たまご、その辺をストックされていればなんとなく安心する。キャベツ最近高いね。あとは日持ちするのでトマト缶、薬味系が好きなのでセロリかシソ、生姜とかにんにくとか。食べるときは生かレンジ加熱でどうにかなるのでどうにかなりそうなものを買う。
少ない材料でやりくりするのなら、お好み焼きがボリュームもあって作った気もするのでちょうどよい。
広島に旅行したときに食べたお好み焼きがおいしかった。そのときはおいしすぎて1日3食お好み焼きになった。
それから家で作るのはめっきり広島タイプになった。大阪タイプはひととおり具材を混ぜてから焼くのが主流だ。それも好きだけど、全部を混ぜずに重ねられた軽やかな層に魅力を感じる。重くないのでいくらでも食べられる。でもお腹は満たされる。
よく作る本体の構造は下段から、
①薄焼きの生地、②キャベツともやし(野菜)、③豚肉、④中華麺(広島ではうどんver.も見かけた)、⑤たまごをつぶして焼いたやつ。⑥その他。ソース。マヨネーズ。青のり。かつおぶし。紅しょうが。
食べたい欲に従って完璧に作り、しっかり食べた。食べるのだ!という気持ちが前のめった結果、上顎をやけどして水ぶくれをお見舞いされた。
美味しかったので懲りずに翌日もお好み焼きを焼くことを決めた。
しかしながらソースを使いきってしまったのでもう空っぽだ。お好み焼きソースではなく中濃ソースを使っていた。それがない。買い出しは当分行かない予定なのでソースだけ買いに行くのも面倒である。
お好み焼きがどうしても食べたい。お好み焼きを食べる口になったのはどうしようもない。
どうしよう?食べたいんだけどな……
心の中のマリーアントワネットが言う。
……ソースがないなら、いっそのこと家から出ないでソースを生み出せばよいのでは?
「中濃ソース 自家製」
検索する。
これができたら最高だな~と思って調べると、あるにはあった。
市販で間に合うものをわざわざ作る人が少ないのか、レシピもまばらだった。
何件か参考にしたところ、トマト、たまねぎ、にんじん、セロリ、りんご、生姜、にんにくが基本とのことがわかった。
冷蔵庫から一つずつ探して取り出した。
ある、ある、ある、あるな……
ついでに冷蔵庫の隅で萎れたりんごも発掘した。ちょうどいい。
運よく全て揃っていた。
完全にソースを作る気になった。時間はある。
レシピには、野菜を粉砕するのにフードプロセッサーを使うと書いてあったが、家にはない。みじん切りだとたぶん荒すぎるだろう。
すりおろし器ならあるので、地道にすりおろすことにした。たまねぎは後半ぬめりが出てきて滑る。
ところでソース1人前って野菜どのくらい必要なんだろう?レシピ読んでもピンと来ない。
想像で野菜たちを1個単位ですりおろした。
数々の野菜を凌駕して手がにんにく臭くなった。
あとは炒めていい感じにギュッとなるまで根気で木ベラを回し続けた。ぐるぐる
木ベラを長いこと持っていたせいで薬指に木ベラだこができてしまった。
ここで、スマホの充電がなくなったので、レシピを見るのを放棄する。これ以降は想像と勘で作ることにした。40分炒めて、トマト缶を入れて、10分炒めて、塊にした。
なんとこの時点で完全にソースの匂いがするようになった。味見すると甘いだけで特徴がない。それでも匂いだけはソースだった。
野菜をそれらしく煮詰めたらソース香になるのだろうか?
同じ食材から成り立つ野菜スープも野菜炒めもカレーもそれだけじゃソースの香りはしないのに。煮詰めたたまねぎとにんにくが決め手のような気がする。野菜と果物のスムージーにたまねぎとにんにくを足して煮詰めるとソースになるかもしれない。
ここまで炒めて水気がなくなったので醤油と砂糖と塩と水を入れて煮込む。
どろっとしたそれはカレーの見た目をしていた。でも嗅覚はソースと認識している。中濃ソースだからどろっとしたくらいでいいのだけれど、それにしてはどろどろのインドカレーくらいだ。野菜の繊維が多いからだ。
布で濾して液体部分を取り出して煮詰めようと思った。最初に見たレシピもそんなだった気がする。そうして液体だけを取り出して煮詰めた。
しかし煮詰まりすぎてソース風味の醤油に戻ってしまった。試行錯誤して野菜のしぼりかすを戻すことにした。見た目はどろどろのインドカレーに戻ってしまったが、シナモンと胡椒、水を足したりしながら味も落ち着いてきたのでちょうどよくソースになった。
これで完成とした。
繊維が多くて中濃ソースとは言えないけれど、この家のなかで一番中濃ソースに近い物体である。
味も問題ない。
お好み焼きを食べたいだけだったのに、結局ソースだけで計3時間かかってしまった。
そこから改めてお好み焼きを焼き、ソースをたっぷりかけて、ソースのためのお好み焼きとした。
ソースを食べるためにお好み焼きを焼かねばという気持ちになったのは初めてだ。
過程含めて満足した。めちゃくちゃ美味しかった。スマホのカメラは相変わらず壊れているので写真はないですごめんなさい。本当に作りました。
ソースは頑張ると作れることがわかったのでよかった。野菜をたくさん使ったので、栄養を全て摂った気になれる(摂れてはいない)。
冷蔵庫に必要な野菜が揃うことは稀なのと時間がかかるし、手作り至上主義でもない限りは市販で十分かもしれない。ソース買わなきゃ。
でも、なんかした気になれたのでよかったよかった。
丁寧に暮らすのはもう少し余裕がないと自分には難しいのだけど、怠惰の行く先に丁寧があるかもしれないと思った。(ほんと?)
食器洗いは全く楽しくないのでイヤホンで音楽聞きながら無理矢理やるといいです。おわり。
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