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最近一気読みした漫画『ジャンケットバンク』
この記事はおもしろい漫画作品を紹介している。この説が有力です。
どうも、胡乱布団です。
今回は、わたしが最近一気読みした漫画、『ジャンケットバンク』という作品を紹介します。
『ジャンケットバンク』は『嘘喰い』を思い浮かべてもらうとわかりやすいと思います。ギャンブル×デスゲームもの(ただし、意外とそんなに人死が出ない)で、設定もかなり『嘘喰い』に似ています。
これを踏まえて、ざっくり構図を紹介しますと、ギャンブルを主催している銀行(嘘喰いでいうと賭郎)と、奇人変人超人だらけのギャンブラー(嘘喰いでいうと賭郎会員)がいて、そのギャンブラーたちが銀行主催のゲームに参加してギャンブルをするというものです。
*専属ではないですが、各ギャンブラーには毎回、そのギャンブラーを擁する班の行員がひとり付きます。これも嘘喰いと同じ感じですね。
ただ、ひとえにギャンブルといってもポーカーやルーレットのようなものではなく、すべて銀行オリジナルのゲームで、頭脳戦というより、心理戦のものが多い印象です。
この漫画のおもしろポイント
まず、魅力的なキャラたちの会話劇がおもしろいです。
どのギャンブラーも、主人公を含めどこか頭のネジがおかしくなっているので、そのギャンブラーたちが繰り出す口撃もどこかぶっ飛んでいます。
とくに、80話ちょっと前くらいで登場するユミピコはもう最高です。
ユミピコは神父で、懺悔に来た人の業をあの手この手でリークして、悪を誅するという、自称善人のやべぇやつなのですが、そのときの名言がこちら。
「「神様がどうこう以前に!!!
人が許すワケねェだろォがバアァァァアカ!!!」」
――まあ、これはほんとうにそのとおりだ(神父の存在意義揺らぐけれど)。
と、このようにたまに社会に訴えるような叫びが飛んできたり、単にかっこいい科白
「顕微鏡ばかり覗いていたら 落ちてくる隕石は見えない」
があったり、秀逸な煽り
「『あんよが上手』以降褒められなかったマヌケ共」
があったり、ほんとうに会話のバリエーションが豊富です。
あと、ゆみぴこに限らず、どのギャンブラーも自分にしか見えない幻覚世界を見ているので、よくわからないことを好き勝手言っている場面が多いです。
個人的にいちばん好きな科白は、わたしの現在最推しキャラである眞鍋瑚太郎氏の、
「ここからは 教育強度を上げる」
です。 ↑教育強度ってなんやねん!!
ほかにも、おもしろい構文が多く生まれている作品です。
冒頭に「この記事はおもしろい漫画作品を紹介している。この説が有力です」なんて書きましたが、この「――。この説が有力です」は行員である梅野の構文ですし、我らがユミピコの構文もひとつ紹介しますと、
「神は全能だ 当然反省もできる」
や、いちばん使えそうなのは、とある愛すべき雑魚キャラの「どうだルールが全然ピンと来ねえだろ!!!」(これ、ほんとうにピンと来なくておもしろかった)とかでしょうか。
次に、ギャンブル漫画の醍醐味、大逆転劇です。
まあ、メタ的なことを言っちゃいますと、主人公が負けるわけがないんですね。でも、負けるわけがない……ってわかっていても、ほんとうに勝負がつく最後の最後まで、どう見ても主人公が負けにしか見えないゲームばかりで、読んでいて「え?」「じゃあ負けじゃん」なんですよね。
それなのに、この漫画の主人公は、どう見ても負けな場面で、想像の斜め上を行く方法で逆転してきます。
この逆転劇は、ミステリのどんでん返しの爽快感というより、ゲームの溜め技を溜めきってぶっ放す感覚に近いと思います。
この逆転の仕方はほかのギャンブル漫画とは種類の違うもので、この作品ならではのユニークな部分だと思います。
このために、主人公はゲームに勝っても終了時には割と満身創痍です。タフネスを全面に張り出して、泥臭く勝つのはジャンプ漫画らしいといえばらしいか。
最後に、顔芸。
顔芸と言いますが、この漫画に登場するキャラの顔の造形は、どれも似た顔がいないレベルで描き分けられていて、(これは顔に限りませんが)作画コストが相当かかっている説が有力です。これで当初は週3話更新していたのですから、いったいどうなっていたんでしょうか……。
――上質な作画は、どう描いているかわからないモノ…………ってこと!?
この作画も相俟って、登場人物の狂人性が際立っているところもあります。
また、敵プレイヤーが自分の負けを悟ったときに、作画がキュビズムみたいになるのも凝っていていいです。
まだまだ連載中
本作は完結作ではなく、現在連載中です。冒頭にリンクを載せておきましたが、そこから読むと初回無料で最新話まで追いつけます。わたしも2,3時間くらいで追いつきました。
あと読むときのポイントなのですが、ルールはちゃんと読んでおいたほうがいいかもしれないです。読まなくても雰囲気がすでにおもしろいので、充分なのですが、ルールを読んだうえでどう裏切ってくるのか予想しながら読むとおもしろいと思います(実際、イカサマの方法や、最後の逆転を3回ほど当てることができました)。
胡乱布団