名古屋駅 12番ホーム待合室
やっと座れた。
長野行きの来るホームには待合室がなく、隣のホームの待合室にきた。
中には数名。
席は空いていたので座る。
水を飲む。
長野は午後から雷らしい。
出発まで30分。
思い立ってこの瞬間を文で残そうと思い今に至る
待合室の自動ドアが開くと、巻き舌とアクセントが誇張された英語のアナウンスが聞こえた。
ここは新幹線乗り場ではありません、これは回送電車です…
自動ドアが閉まる。暑さから逃げてきた人もみんな電車に乗ったみたいで、今は一人な待合室。
付いているかわからないくらいの、ほの暗い蛍光灯が光っている。
入った時うるさかったエアコンの「強」の音もすっかり慣れてきた。
これを書いてると、また扉がひらいてモップをもったお爺さんが入ってきた。
僕と目が合う。
ありがとうございます、と地べたに置いてた荷物をあげると、会釈してどこかに行った。
自動扉がまた開く。
次もおじいさんが入ってきた。
どっかり座る。
そしてスー、スー、っと隙間風のような音が聞こえる。
自動扉が開いているのだろうか。
いいえ、閉まっている。
この音はどこから…?
おもむろに、さっきのお爺さんを見る。
首にガーゼと、そこから細い半透明のパイプが。
目をスマホに戻した。
人工呼吸器の音だった。
おっと時間だ。