マストバイとは言わない。でも、お薦めしたい鍋3つ|形から入る料理の楽しさ
鍋でも、うつわでも、温泉でも(実はわたし、温泉ソムリエを取るほど温泉も好きです)、一定量のデータを持った上で“お勧め”を聞かれて困るのがその目的。
例えば温泉の場合、その目的が
・子連れで負担なく楽しむ
・カップルでまったり楽しむ
・ひとりでダラダラ楽しむ
では、お勧めする温泉はまったく違います。
泉質の好みや、施設の雰囲気、予算によっても違いますね。
こちらのデータが少なかったら、その少ない中で私が良いと思うものをお勧めすれば良いのでしょうけど…
ある程度データが貯まっている前提で問われた場合“「私にとって」というより「その人にとって」良いと思われるものをお勧めするべき”という意識が働きます。
なので、目的がとても重要になってきます。
鍋やうつわも然り。
料理し始めの初手でお勧めするもの、買い足しでお勧めするもの、普段づかい、ハレの日づかいでもお勧めは変わってきます。
今日お勧めする鍋は「マストバイとは言いにくいけれど、合う人はめちゃくちゃテンションがあがる、あったらきっと良いと思うよ」的なお勧めの鍋です。
このお勧めにビビッと来る人は、きっと私と心の琴線が近いかも知れない。そんな人がいたら嬉しいなぁ…と思いながら、書いてみます。
その壱:長谷園のやきやきさん
のっけから「これ、鍋なの?!」な、長谷園のやきやきさんのご紹介です。
正しくは「陶器製の卓上グリル」です。
卓上コンロの上において、使います。
水が貯まるようになっている下の器と、焼いた時に食材から出る余分な油を逃がす溝が刻まれた蓋で構成されています。
昨今の自粛生活で外食がままならなかった時、我が家で一番活躍してくれたのが、このやきやきさん。
<photo:ホットプレートも良いけど、やきやきさんはテンションあがる!>
お肉が特売の日にちょっと良いお肉を選び、焼き野菜を用意するだけで良い”おうち焼き肉”。自粛生活中、よくやりました〜…。
旦那さんが自家製タレづくりに目覚めてくれたのが、思わぬ副産物。これがとっても美味しくて!
やきやきさんと旦那さんと自家製タレのおかげで、手抜き料理の代表だった”おうち焼き肉”が、一気にご褒美料理になりました。
やきやきさんの後片付けは…はっきり言って、面倒です(苦笑)
溝に入り込んだ脂の汚れを取るのが結構面倒なんですよね〜。まあでも、その掃除をするくらいの価値はあるな、と思っています。
その弐:イッタラのサルパネヴァ キャセロール
こちらは煮込み料理を断然、魅力的に見せてくれるサルパネヴァ キャセロール。大人気の北欧デザインにさほどビビッとこない私ですが、このキャセロールだけは別でした。
流線型の木の取っ手、その取っ手でひっかけて持ち上げる蓋、そしてなんと言っても蓋を開けた時の白い琺瑯の鍋肌…
蓋がしっかり重いのでご飯を炊くにも良い鍋ですが、やっぱり煮込み料理がテンションあがります。
私はカレーをこのキャセロールで作ったりしますが、今のところ、色移りもしていません。
自粛生活中、このキャセロールでオックステールシチューを作りました。
昨年の出張で訪れたイギリスで、イギリス在住の料理研究家エリオットゆかりさんにご馳走していただいたのがお手製のオックステールシチュー。
それがとっても美味しかったんですよね〜…。
またイギリス行きたいな〜、またゆかりさんのお料理を食べたいな〜と思いながらつくりました(レシピはゆかりさんのブログに書いてあるので、興味ある方はぜひ御覧ください)。
キャセロールが写っていませんが(汗)、オックステールがとろとろふるふるで、とっても美味しかったです^^。
レシピが美味しいのも勿論ですが、鍋も美味しさに一役買っていましたよ。
冬に大きな具がゴロゴロ入ったクリームシチューや、ポトフをつくる時に引っ張り出してくるお気に入りのキャセロールです。
その参:新鮮な魚が丸で手に入るなら!フィッシュプレート
私が都内から、神奈川県の葉山町に移住したのが2013年12月。早いもので7年目になります。海や山に囲まれた葉山町に引っ越して良かったことは五万とあるけれど、なんと言っても新鮮な魚が丸のまま、そして手軽に入る環境になったことが一番の恩恵でしょう。
この環境になって重宝しているのが、丸のまま魚が入る楕円形のフィッシュパンです。
左はパリの合羽橋と言われている”モントルグイユ通り(パリ・2区)”の老舗”E.DEHILLERIN”で買ってきた、MAUVIEL1830(モヴィエル)の銅製のフィッシュパンです。
E.DEHILLERINはプロユースの料理道具や製菓用道具が所狭しと並んでいるお店。レイアウトはいつ行っても変わらないけど(笑)、ついつい立ち寄ってしまいます。
右はストウブのフィッシュホットプレート。
2つとも魚を丸のまま調理できるのが便利なのですが、ホームパーティー時にムール貝やアサリなどの貝類のグリルを出す時にも使っています。
<photo:いただきものの伊勢海老をテルミドールにした時の写真。贅沢な食べ方です…。>
<photo:アスパラガスもそのまま塩蒸しにできます。美味!>
オーバル型のフライパンはマストバイではないけれど、あったらあったで便利な料理道具です。
マストバイではない、一見、無駄に見えるものが実は一番モチベーションを上げてくれる。
今回紹介した鍋たちは、決してマストバイではない鍋。
人によっては、無駄に見えるもの。
でも、そういう万人に必要とはされないけれど、自分の心の琴線にグイグイくるものの方が、実は一番、料理のモチベーションを上げてくれるのでは?と思います。
そして、そういう”万人に必要とはされないけれど、自分の心の琴線にグイグイくるもの”って誰しも持っている気がしていて、そういうものを知ると、その人のヒトトナリの解像度がぐっとあがる気がします。
さて、あなたの”万人に必要とはされないけれど、自分の心の琴線にグイグイくるもの”は、何でしょう?