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料理ができないんじゃない、やってないだけさ。|オンライン料理教室やってみたの記録

新型コロナウイルスの自粛により、国が定める以前に、私たちの暮らしにさまざまな「新しい生活様式」が自然発生していると思います。我が家にも「新しい生活様式」がいくつか生まれましたが、私の中でいちばん大きく価値観が変わった「新しい生活様式」が「オンライン料理教室」です。

3月から今日(6月14日)までの約3ヶ月、私が生徒でオンライン料理教室を受講すること3回。私が先生でオンライン料理教室を開催すること4回。

ビフォーコロナまたはコロナが無い世界だったら、おそらく「オンライン料理教室」に参加することも、ましてや自身が開催することも無かったのでは…と思います。
今日はその私の中でいちばん大きく価値観が変わった「新しい生活様式」である「オンライン料理教室」についての記録です。
中でも、私が連続3回開催した「オンライン料理教室」について振り返ります。

私が「オンライン料理教室」を開催した理由は3つ。

私は同じメンバー8人に対して3回「オンライン料理教室」を開催しました。
このメンバー、年代は30〜40代の女性で前職の同僚で、よく我が家のホームパーティーに遊びに来るメンバーでした。

<photo:2020年1月12日に開催した我が家のホームパーティー。ここに集まったメンバーがそのまま「オンライン料理教室」の生徒になりました>

このメンバーで「オンライン料理教室」を開催しようと思った理由は3つ。

1)コロナが無ければこのメンバーと4月に台湾に行く予定だったが、その予定が無くなったので楽しいイベントで埋め合わせをしたかった
2)コロナ自粛で自炊の機会が増えるため、少しでも自炊を楽しんでほしかった
3)私からのアプローチで、人の料理習慣がどう変化するのか見たかった

特に2)は、自粛期間中に世の中にたくさん生まれる「世の中への貢献的取組み」に賛同・参加することにも、賛同しにくいものを見ることにも、少々疲れていた時期があって…「私は私の手が届く身近な人に、具体的に役に立ちたい」と思う気持ちで取り組みました。

参加者の料理習得レベルや料理環境はまちまち。さて、どうやっていこう…

参加した8人の料理習得レベルはまちまち。
もはや講師側でも良いのでは?というくらい料理をするメンバーもいれば、ビフォーコロナではほぼ外食の様子で料理の腕はまったくわからないメンバーもいました。

「オンライン料理教室」だと、当日使用する食材や調味料、料理道具は参加者に用意してもらいます。食材のほとんどは買いやすいものにしているので、こちらがよほど突飛なものを指定しなければ差が出ませんが、調味料と料理道具、キッチン環境はそうはいきません。

調味料は「みりん」が「本みりん」でなかったり、「醤油」をもらいものの「減塩醤油」を使っていたり、まぁさまざまです。同じ大さじ1でも、使っている醤油で味がだいぶ変わりますからね。

料理道具・キッチン環境も「鍋が2つしか無い」「蒸し器が無い」「オーブンが無い」「ガスではなくIH」などなど、こちらもさまざまです。

上記の「オンライン料理教室」開催の理由2)から、料理の腕がまったくわからず、おそらく料理習得レベルがあまり高くないメンバーをイメージしてレシピを考えました。

初回は料理道具・キッチン環境に影響されないレシピで。

初回は、
・私が「オンライン料理教室」を開催するのが初めてだったこと
・生徒が8人いること
から、スムーズに運営するため自身が慣れているレシピであり、

1)調理は簡単、調味料も料理道具も少なくて済む
 →料理の習得レベル・料理環境に左右されない
2)アレンジ料理が多数ある
 →主菜・副菜問わず、アレンジのコツを教えられる

ことを考え、1回目の開催のレシピテーマは「茹でおき」にしました。
「茹でおき」は、鶏肉・豚肉(スライス)・牛肉(スライス)を文字通り「茹で」て、茹で汁と一緒に「つくりおき」しておくものです。

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味を完成させる「つくりおき」に比べて、「茹でおき」は茹でるだけなので「つくりおき」をつくることに疲弊することもないし、それを食べる気分でないのに食べなければならないという義務感も生まれない。
それに予め「茹で」てあるから、仕上げの料理もササッと終わるので、簡単なんですよね。

自粛生活の自炊にも、きっと取り入れやすいだろうと考え、

●「鶏肉の茹でおき」からの
●アレンジ:茹で鶏の煮汁でつくるスープ
●アレンジ:冷菜 バンバンジー風味
●アレンジ:温菜 うま炒め

●アレンジ:「豚肉の茹でおき」からの
●アレンジ:冷菜 ねぎ塩ダレサラダ
●アレンジ:温菜 田舎煮

と、欲張りにも7品もつくりました。
それぞれは簡単なはずが、7品ですから説明と調理時間だけで3時間くらいかかったので、いま振り返るとだいぶ欲張りな構成でした(苦笑)。

<photo:初回のオンライン料理教室後に撮影した料理写真。>

レシピは渡さない。材料を買って、集合してもらう。

いつか私が料理教室をするなら絶対にしようと決めていたのは、最初からレシピを渡さないこと。最初に渡してしまうと「レシピ通りにつくること」に集中してしまうので、レシピは最後に渡すようにしています。

メンバーには事前に、揃えて欲しいマスト材料・マスト調味料(これが無いとダメなもの)、それ以外の材料は代用範囲を添えて連絡します。

この時に結構、代用の質問が出るんですよね。
「これが売っていない」「これが嫌い」「家にこれがある」「これが無い」などなど。
もともとよく知っている仲間内の料理教室ですから、気軽にそういった質問が出るのは良かったですし、逆に今まで知ることがなかった普段使っている調味料や使い切れていない調味料、キッチンがIHかガスか、近所で調達しにくい材料などがわかって面白かったです。

マスト材料であった「豚肉スライス」が冷凍庫にあると思っていたら、「オンライン料理教室」当日にそれが「ひき肉」と判明したメンバーもいました(笑)。

耳から聞く指示だけで、ひたすら料理するという新鮮さ。

「オンライン料理教室」は、
●今日つくる料理のラインナップと説明
●買ってきた材料の確認
からはじめます。

始める前はみんな、レシピが無いので進行についていけるか不安だったようですが、ここはやってみないとわからないので無理やり「オンライン料理教室」スタート。

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<photo:オンライン料理教室初回の記念ショット。人数多くて全員写ってない…写ってない人ごめんね!>

調理中によく出ていた質問は「どのくらいのサイズに切るか?」と「分量の再確認」が多かったように思います。
手元にレシピがありませんから私の指示に集中して、聞いたことを自身のキッチンで帳尻合わせながら再現する、ということにみんな集中していた感じです。

「鍋で湯を沸かす」ことも、使用している鍋の材質で沸騰時間もまちまちなんですよね。私がアルミの行平鍋を使っていた時に、鋳物琺瑯鍋を使っていたメンバーは沸騰時間がかなり遅れていたようですが、このメンバーは料理習得レベルが高かったので自分で帳尻合わせていました。

料理習得レベルが不明な(でも、そんなに高くは無いだろうなあ〜と思う)メンバーは、つどつど積極的に質問してくるタイプと、黙々と料理に集中するタイプに分かれました。
これはそのメンバーの性格によるものだと思いますが、誰かがしている質問と回答を耳で聞いて自己処理して進められたのだと思います。

かくして、初回から7品・約3時間、耳から指示を聞いてつくる「オンライン料理教室」初回は、つまづくメンバーもおらず、全員がほぼ同時に盛り付けタイムに進みました。

なんだ、みんなできるじゃない!

同じ料理も盛り付けは千差万別!うつわを見るのも楽しい

調理が終わると、盛り付け・撮影タイムでしばし自由行動になります。
初回の「オンライン料理教室」での出来上がり写真の一部はこちら。

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いずれも
●「鶏肉の茹でおき」からの
●アレンジ:茹で鶏の煮汁でつくるスープ
●アレンジ:冷菜 バンバンジー風味
●アレンジ:温菜 うま炒め
を、それぞれお気に入りのうつわに盛り付けています。

これは「オンライン料理教室」ならではの楽しみだと思うのですが、みんながどんなうつわを持っていて、どう盛り付けるかが毎回の楽しみになっています。

盛り付け写真を見て初めて「そう切ってたんだ!」と気付いたり、私もかわいいうつわを知れたり、合わせる飲み物や写真の構図のヒントがもらえたり。結構楽しいひとときです。

1回目は品数は多かったものの、料理工程はさほど難しくなかった為、料理習得レベルが高い人はつまらなかったんじゃ無いかな…という不安があったのですが、「自分とは違う味付けの料理が知れて新鮮」という感想が出て、密かに安心しました。(私も自粛スタート時期に、自分の味に飽きた谷間があったのを思い出しました)

2回目、3回目と少しづつ前進する「オンライン料理教室」。

2回目は、もともと台湾に行く予定だったメンバーなので「台湾料理」をテーマにし、メンバーリクエストにより台湾朝食の定番「鹹豆漿(シェントウジャン)」、「魯肉飯(ルーロウハン)」、「海鮮塩炒め」にしました。

いずれもつくる工程はさほど難しくなく、スペシャル調味料として「五香粉」を取り入れました。

初回の7品から3品とかなり品数を減らしたこともあって調理時間がだいぶ短縮され、みんなも余裕でついてきていました。

<photo:台湾旅行が中止になったので、料理で台湾気分を味わいました>

そして昨日(6月13日)に開催した3回目は、メンバーも大好き「韓国」をテーマに「ポサム」「ニラチヂミ」「ナムル2種」をつくりました。

3回目は今までしなかった「蒸す」工程を入れ、蒸籠や蒸し器が無いメンバーは代用蒸し器で乗り切りました。

無い、嫌いなどには、なるべく代用を伝えるようにしています。
「オンライン料理教室」は自身のキッチンでつくりますから、代用でも成功体験ができれば再現性がぐっと高まります。

<photo:蒸籠はお安いものでもいいから、あると便利です>


3回目のみんなの盛り付け写真。

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3品、事前説明なども含めて1.5時間でつくり終えました。
特にネギチヂミは、みんなきれいに焼けていて美味しそう!

みんな料理はできないんじゃない、やってないだけさ。

3回の「オンライン料理教室」を通じて、私が思ったこと。
それは「みんな料理はできないんじゃない、やってないだけさ。」ってこと。

だって初めてつくる料理だって、レシピが無く耳で聞きながらでも作れちゃったんだから。

だから、当初抱いていた「自粛で自炊生活が続いて、みんな大丈夫かな?」と思っていた心配は消えました。

メンバーのひとり(料理習得レベルが不明だったメンバーで、現在、花嫁修業と称して料理をよくしている)は、オンライン料理教室とは別に自身で春巻きに挑戦して、上手に揚げていました。やればできるじゃん!すごいすごい!

また別のメンバーがインスタグラムに「オンライン料理教室は自身のキッチンでつくるから再現性が高くて良い」と書いていたのも納得だし

また別のメンバーが「リアルな料理教室だと自分が作らなくても食べられるけど、オンライン料理教室は自分で作らないと食べられないから一生懸命ついていった」というのも、笑っちゃったけど上達する極意だと思いました。

「次はもっと工程が難しい料理をしてみたい」という声も出てきて、おお!しっかりモチベーションも維持されて学習意欲が高まってるじゃない!と嬉しい3回目でした。

私たちが集う楽しみの1つの形として、これからも。

自粛が段階的に解除されています。私たちがまた、リアルで集まる日も近いでしょう。この先「オンライン料理教室」がいつまで続くかはわからないけれど、私たちが集う楽しみの1つとして、しばらくは続きそうです。

この「オンライン料理教室」をきっかけに、うつわへの興味が高まったメンバーもいるようなので、リアルな陶器市に一緒に出かける楽しみも増えたし

みんなでわいわい作った台湾料理を、実際に台湾の現地でみんなで食べる楽しみも増えました。

そしてノリよく3回も「オンライン料理教室」に参加してくれたメンバーに、ありがとうと伝えたい。
(ついでに、「オンライン料理教室」のたびにカメラセッティングをしてくれた旦那さんにも、ありがとうと伝えておく。)

新型コロナウイルスはいろんな試練を与えたけれど、一方で新しい楽しみや仲間のありがたみの実感も与えてくれたなぁ。
そして「料理」はやっぱり良いなぁ。
そんなことを感じた「オンライン料理教室」でした。

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