人には人の地獄がある
自分の身に災難が降りかかることに対して心躍っている自分がいることにあるとき気づいた。
たとえば高校生の頃、部活の引退試合で私だけが試合に出してもらえなかったことがある。私はその日の夜、この上なく悔しい思いを抱えて布団の中で泣いた。
しかしこの上なく悔しい思いのすぐ隣で「いいぞいいぞ」とどこか満足気にこの状況を観察している自分がいた。
悲しい、苦しい、辛い、そういった感情から物語が生まれる。孤独や失敗が魅力的な線を描く。そんな妄想ばかりしてしまう。
私は常に孤独や失敗を探している。それは意識的なことではないのだけれど
これを人は業と呼ぶのだろう。