《前編》自称盗撮ハンターの不審者に付きまとわれた話

 昨今、SNSで『私人逮捕』なる言葉を見かける機会がありました。
 盗撮や痴漢、あるいは窃盗など、そういった犯罪行為に対して一般人が現行犯逮捕を行うことと捉えていますが、先日、私自身が「盗撮しただろ」とあらぬ疑いをかけられたということがありました。

 SNSで流れる『盗撮ハンター』と比べると若干毛色が違う人間ではあったのですが、個人的に結構なストレスを受けたので、供養の意味もかねて当日起きたこと、ここで挙げている『不審者』に関する雑感、『私人逮捕』について思うこと等々、いろいろ思ったことを書き連ねていく所存です。
 また、これを読んでいただいた方にも、不審者に対しての注意喚起となればと思います。
 ことが起きてからある程度の時間が経っているので、なるべく正確に書き記していても若干の間違いがあるかもしれません。
 また、後で『私人逮捕』に対する個人的な意見を書きますが、専門家でなければ法の知識も素人な一個人の意見になります。ただ、盗撮ハンター(を名乗る人間)の被害(という法を犯さない程度の胸糞悪いこと)受けた人間の感想を知っていただければと思います。
 本稿前編では純粋に起きたことを語っていきます。


1.前後編目次

前編
1.全体目次
2.男に声をかけられてから警察を呼ぶまで
3.警察を待っている間の会話歴
4.警察に対応してもらう
後編
5.不審者に関する雑感
6.不審者の正体について
7.警察の方の助言
8.いわゆる『私人警察』に思うこと


2.男に声をかけられてから警察を呼ぶまで

 平日のことでした。駅を利用し、改札を出て階段を降り、駅構内に出たところで知人にスマホで待ち合わせの通話。その後スマホの画面で自分のいる場所を確認しつつ、その場を適当にたむろしていたところ、自分よりも10cm以上は高身長の、スーツを着た顔面と首と手の甲に入れ墨が入った男が急に近づいてきて声をかけてきました。

男「おい、~~××○○」←聞き取れなかった。
私「……はい?」

 男がすでに強引に自分のパーソナルスペースに押し入ってきた時点で違和感を感じたのですが、2・3会話を重ねると要は、

男「お前、今近くにいた女の人のこと盗撮しただろ」

ということでした。
 当然盗撮なんてしていないので、『何言ってんだこいつ』と思ったのですが、待ち合わせ時間が近く急いでいたこと、初めて盗撮なんて疑いをかけられたことで若干困惑したこともあり、結構焦りました。おまけに知り合いに遅れそうだと連絡しようとすると、「おいスマホのデータ消すんじゃねえぞ」と執拗にスマホ画面を除いてくる始末。いくら盗撮してないとはいえ、個人情報を、しかも知人の電話番号まで知られるかもしれないというのはウザすぎるため電話も使えず……仕方なく警察を呼ぶことにしました。


※補足:現場の状況。

 先の盗撮を疑われたしていた状況ですが、こんな状況で、私と女性が共に掲示板を見ていた時になります。声をかけられた時には私と男がお互いに近づいて、その時にもまだ女性がいたかどうかは覚えていません。

 相手が完全にこちらを疑いにかかっているため、「いや盗撮とかしてないですけど」と言っても、「お前そのスマホAndroidだろ、盗撮できるのは知ってんだよ」とかよくわからないことを言うので、何回かの問答の結果、「じゃあ警察を呼びましょうか」と言うと、「おう、呼んでみろよ」とか「早く呼べよ」とか(正確な内容は覚えていないのですが)とにかくオラついた感じで返答されました。

 とはいえ、ほとんど使ったことのない駅なので近く交番の場所がわかりません。下手にスマホに触ろうとすると相手がウザイくらいに顔を近づけてきて気色悪い。そこで私が思い至ったのは、『駅前の近くだし大きく人も多い駅なので、とにかく第3者の駅員さんに呼んでもらおう』ということ。

 来た道を戻って、階段を上り駅改札へ。この時点で「交番は反対方向だろうが、俺は知ってるんだよ」とか「逃げんじゃねえよ」とか言いますが、交番の場所知っているのが本当だとしても目の前の男が信用できないので、男のよくわからない文句は「そうだねぇ」とか「ほんとにねぇ」とか適当に返して改札付近まで来ました。

 その駅はJRで大きく、また改札横の駅員室(透明な壁で囲まれ、ICカードエラーなどで対応してくれる駅員さんがいるところ)が隔離されているので、とりあえずそこに駆け込む(歩きで)。で、駅員さんにはこう伝えました。

私「すみません、駅のすぐのところでこの不審者に絡まれて。警察を呼んでもらえますか?」
 男は食い気味に「てめえが不審者だろうが!」と言ってきました。私の声をかき消すぐらいうるさかった。

 駅員さんはすぐに対応してくれました。どうやら近くには駅の北口と南口(東と西だったっけ?)二か所ほど交番があるらしい。さすがに発言が支離滅裂な男と二人だけではいたくないので、警察官が来るまで駅員室で待機。男の様子が明らかに変だったので、一般利用客は近づけなかっただろうし、仕事の邪魔して申し訳なかった……実際自分たちがいる間1人しか駅員室に利用客が来なかった。


3.警察を待っている間の会話歴

 警察官が来るまでの恐らく5分ほど。この間にしても、いろいろありました。なお、時系列順ではありません。

男「マスクは鼻まで上げないと意味ねえんだぞ」と、確かに私は会話を続けると骨格のせいか装着方法のせいか頻繁にマスクが下がるのですが、だから何だよとしか思えないようなことを言われたり。

男「おい、鼻毛が伸びてんぞ。きたねえな」なんて真偽は知りませんが、だから何)ry

男「どうしてデータ見せられねえんだよ。エロ動画があるんだろ」
私「なんで個人情報を見せなきゃいけないの。ないけど」
男「2次元のエロ画像があんのか? あんだろ」
私「ないよ」
男「変態だな」
 なんてのもありました。

男「おい」
私「なに?」
男「俺のこと怖いんだろ」
私「そうだねぇ。怖いねぇ」
男「なんで怖いんだよ」
私「だっていきなりよくわからないこと言われたら怖いからさ」
男「背が高いから怖いと思ってんだろ。入れ墨入れてるから怖いんだろ」
私「そりゃ確かに怖いねぇ」
男「そういうの何ていうか知ってるか? 差別って言うんだよ!」
なんて会話だったり。最後の言葉には「???」と思いました。

男「~~××○○」
私「そうだねぇ」
男「○○~~××」
私「だねぇ」
男「~~○○××」
私「ほんとだねぇ」
男「お前、さっきから『そうだねぇ』しか言わねえな」
私「だねぇ」
男「なんでだよ」
私「だってそうとしか言えないからなぁ」
 言葉が通じるだけで会話が通じないので、この時『下手に抵抗したら急に殴ってきそうな人間かも』と考えていた私は、正直マジでビビりながら会話してました。

 あとは、私と男が駅員室に待機しているとき、一人だけ来た利用客の方。さすがに鮮明な内容は覚えていないのですが、よくある「○○駅に行くにはどうすれば?」的な内容だったと思います。
客「○○××~~」
駅員「それは○○で、~~なので──」
 と話しているところに急に男が割って入って、
「それは○○だろ」と発言。
 客は適当に返しつつ、駅員と2・3会話して客が退室。その後も男は駅員に対して会話を継続。
男「(駅員に向かって)○○だよな?」
駅員「確か……」
「○○だろ調べてみろよ! 俺はこの駅よく使ってるからわかってんだよ!」
 みたいなこと言ってました。駅員さん本当に巻き込んで申し訳なかった……。

 あとは知人から通話が数分スパンで電話が来るので、その通話を切ろうとするたびにスマホを除いてくるので、一度相手を押し返したり(これはちょっと失敗行動でした)。
 手首につけたスマートウォッチで時間を確認すると(すでに5分くらい遅刻なので)、男が「お前それで動画消すつもりじゃねえよな」と言ってきたり。

極めつけにイライラしたのは、この会話でした。
男「ほら、警察行くぞ。わざわざここにいて、怖いのか?」
私「でも、駅員さんが警察呼んでくれたんだし、ここで待とうよ」
男「だいたいな、こっちだってわかってんだよ」
私「なにが?」
男「経験上、てめえみたいに警察呼ぶような奴は盗撮しないってわかんだよ。だからこんな時間使うのがもったいねえんだよ」
私「……(思考停止で言葉が出ず)」
男「なのになんでこうして待ってるのかわかるか? こっちだって意地なんだよ! 時間の無駄なんだよ!」
 最後の『時間の無駄』に関してはそういう主旨の言葉だったのですが、ここで恐怖と呆れの中に怒りが湧きました。

 と、盗撮とはほとんど関係ない会話を続けること5分くらい。ようやく警察官が2人で来てくれました。


4.警察に対応してもらう

男「ほら、警察来ただろ。行くぞ」
私「あ、そうなの。どこ?」
男「あそこだよ」
私「え、どこ?(一般の人が100人は優に超える駅構内なので見つけられない)」
男「右だよ、右側」
私「んんー?(真面目に探すけど本当に見つけられない)」
男「右だっつってんだろ!」

 しばらくして、本当に警察の人が2人来ているのを見つけました。手招きをして、来ていただく。
 そこからの詳細な会話内容と喋り口までは覚えていないのですが、よくある感じです。
 警察の2人が「どうかしましたか」みたいな感じで聞いてくるので、「この人に盗撮したと疑われているんです」という旨のことを言いたかったのですが、男がこっちが喋っているのに構わず「こいつが盗撮したんだ」的なことを言っていたので、二重に聞こえていたかもしれません。

 ともかく、私のスマホのデータを確認することに。警察の人にはともかく、男に対しては本当に面倒で見られたくなかったので男と私の間に警察官の位置関係でスマホを見てもらったんですが、普通にみられました。そういえば、この時も「二次元のエロビデオがあるんだろ」とか言っていたような気がします。警察官は「それに関しては別になんとも言えないけど……」みたいなことを返していたような。

 私のスマホには、数日前の旅行の写真や映像だったり、アニメやらでお気に入りの画像がありました。また、本件とは関係ない知人に向けたメッセージ映像としての『私自身を正面から撮った画像』があったのですが、それを見て男が「なんだよこれは。盗撮してんじゃねえか」と言っていたので、警察官も「いや、これは(盗撮とは)全然違う画像だよ」と言ってました。本人です

 ともかく、警察の人にも私が盗撮はしていないということが理解されました。
 その後、男は(最初から叫ぶ時も含めて)ニヤニヤ笑いながら高圧的に話す感じだったのですが、「あ、すみませんでした」みたな感じでなんもないように一言。そして、こちらに「お前も謝れよ」みたいに言われました。
 この件、先の私の「男を押し返した失敗行動」に対することということで、私の怒りはかなり頂点に達したのですが、警察官も下手に事を面倒にするよりはと思ったのかな。「まあお互いにわだかまりをなくすということで」みたいな主旨のもと、私にも一言を求めました。私も「目の前の男に下手に抵抗するよりはさっさと終わらせた方がいい」と思い、簡単に「すみませんでした」と一言。

 そうして、男は去っていきました。警察官を待っている最中の発言から、今度は別の場所で盗撮をハントしに行くのだと思いました。

 その後、警察官に1人は「念のため男のほうを見に行きます」みたいな旨の発言をしつつ、駅員室から退散。私は駅員さんに謝罪しつつ、残る警察官1人の方と改めて会話。
 警察官の方も「まあ○○だし(駅名)治安悪いからね」と言ってくれました。
 念のため警察官に氏名・生年月日・電話番号・住所など情報を伝達。この時には開放された安堵で手が震えていたので、ペンが上手く持てなかった。
 こちらもすでに15分くらいは遅れていたので、警察官にそれを話し、私自身は早々に退散。

 不安障害持ちの私は、そのあともしばらく心臓のバク付きが収まらず、その日は最悪な1日となってしまいました。帰りに地元の警察にも行って対処法を相談したり(これは私の独断と不安を解消するためのやや独りよがりな行動です)。しばらく頭から男のイメージが離れず、散々な数日間を過ごすことになりました。


まだまだ続く。後編では、これを受けてのいろいろな雑感を語っていきます。


いいなと思ったら応援しよう!

ウリボーの学び舎
記事を最後までお読みいただきありがとうございます。 創作分析や経験談を問わず、何か誰かの糧とできるような「生きた物語」を話せればと思います。これからも、読んでいただけると嬉しいです。