鶴丸と右衛門作と静かの海のパライソ考
1.はじめに この鶴丸国永の叫びを聞いた時、心の底まで震えたことを思い出す。
我々は歴史を文字から学ぶ。書き残された、伝え残された歴史は「物語」となって現代に受け継がれる。だからこそ「島原の乱での一揆側の戦死者、三万七千人」の数字はただ数字としてそこにあった。私達はそこで流れた血を知らない、どのような血が、誰の血が、どうやって流れたのか、知ろうとしなければ知ることはないだろう。
「ただの数字じゃない」という鶴丸の叫びは、ともすれば歴史を一方向から、文字資料としてしか捉